【密着】史上最大Pepperハッカソンの「特大ペッパソン」に行ってきた。その3(1日目:API提供企業 ソフトバンクロボティクス) #‎MA11‬

シルバーウィークの9月22日(火)、23日(水)に開催された「特大ペッパソン」に行ってきました。

参加者75名が2日間かけて行う史上最大のPepperハッカソンなので「特大ペッパソン」なのです。

イベントの説明はこちらになります。
https://mashupawards.doorkeeper.jp/events/30795


続いて、ソフトバンクロボティクス株式会社(以下、SBR)鈴木さん。2013年7月からPepper業務に従事されています。ロボアプリの企画開発を担当されています。


SBRの中の方からアプリのtipsを教えていただける貴重な機会です。

まず「良いロボアプリの考え方」について。

SBR社内で共有されているアプリ開発指針がこちら。

「未来を感じる、ロボットとの生活」を具体的にすると、未来の部分は「自律/成長」「感情(認識)」で、ロボットならでは・成長してる感・理解されてる感。生活の部分は「愛着」「習慣」で、かわいい、触れ合う、飽きさせないとなります。

ここで改めて問います。「Pepperらしい」とは?

まずは「キャラクター」です。
 ・Pepperは人に寄り添うロボット
 ・今どき、こんなやつがいたら面白いな、ということを意識
 ・「僕はロボットです」といった感じ、昔のロボットの感じはNG
 ・いかにもロボットの会話のテンポではなく、人間の会話のテンポを意識する
 ・自分のことは「ボク」と呼ぶ

キャラクターを意識した開発の一例です。Pepperを喋らせるときにこのようにするとPepperらしくなります。

次は「ヒューマノイドであること」。
 ・物理的にそこに存在するということ
 ・手や指先の動きを活用すること
 ・人の認識や人のトラッキングを活用すること

ヒューマノイドであることを意識した開発の一例です。1〜4までのこの動作を実装するとこのようになります。

最後に「家族で一員であること」。
 ・家族一人ひとりは役割を持っている
 ・自分の個性や能力を生かして、家族のために何かをしたり、意識すること無しに何かを家族の誰かにもたらす
 ・家族間の Give & Take。例えば、お父さんは小さな子供にキャッチボールの仕方を教えます。その子供は笑顔でボールを投げ返し、お父さんの心を暖めてくれます。

ヒューマノイドであることを意識した開発の一例です。Pepperが手を広げてもののサイズを教えてくれる「スケーラー」は、ポスターの大きさを教えてもらっても家族の一員らしくないので、子供の身長を計測するアプリになりました。

「Pepperらしい」のまとめはこちらです。


次は、Pepperにおける「インタラクティブ性」とは?」

Pepperは人とコミュニケーションするロボットなので、受け手のことを十分に考えたUXを考慮する必要があり、そこがスマホとの大きな差別化ポイントとなります。

ロボットUIとロボットUXです。

ロボットUIはテクノロジーの進化に大きく依存し、ロボットUXはテクノロジーの進化だけでは補えません。


「継続性」/「エンドユーザー満足」について。

「継続性」
 ・毎日使う
 ・毎日変わる
 ・ゲーム性を入れる

「エンドユーザー満足」
 ・より多くの人が、より多く使う
 ・ターゲットにマッチしている
 ・完成度の高いロボアプリ
  ・がしゃがしゃしない動きの実現
  ・理解しやすいインタラクション
  ・シンプルで質の高いタブレット画像の提供
  ・期待値コントロール
  ・音楽/効果音の利用

「継続性」を考慮したロボアプリの事例は、毎日変わる「日記」やゲーム性を入れた「ココログミ」などがあります。

「完成度を高くする」工夫の例です。

「理解しやすいインタラクション」では文字で左手だけあっても、人のかPepperのかが分かりづらいのでPepperの全体像に丸をつけて表現しました。

「シンプルで質の高いタブレット画像」では、タブレットのボタン数を2つにするという工夫をしています。これは、ボタンが多すぎると混乱するためです。

「期待値コントロール」は、「だいたい」という表現をしています。Pepperだと「だいたい77センチ」という表現でも許されがちだそうです。


ロボアプリ企画・開発方法の紹介です。

初期アプリは、300個以上のアイデアから絞り込みを行ったそうです。

「ロボットならでは」や「毎日使える」などの機能別の評価をマッピングしてどのアプリを実装するか検討していきました。

次に「ユースケース別の評価」をマッピングして検討していきました。

アプリ完成までの工程一覧です。2つのトールゲートがあることに注目してください。

アイデアの企画&ブレストから台本を作成した時点で最初のトールゲートがあります。ここで水準に達していないアプリは落とします。

そして、アプリのベータ版が完成した時点で、次のトールゲートがあります。2つのトールゲートを通過してアプリだけが、ブラッシュアップを行い完成となります。

ソフトバンクロボティクス(SBR)鈴木さんからは以上です。

(その4に続きます)

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北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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