【dots. Conference Spring 2016 】「IoT最前線」PART1. Cerevo岩佐琢磨氏、ユカイ工学青木俊介氏

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イベント&コミュニティスペース「dots.」にて、2月24日〜3月1日「dots. Conference Spring 2016 – ドッツカンファレンス」が開催され、開催6日目となる2月29日(月)「IoT最前線」というテーマで注目のIoTスタートアップ企業が登壇しました。

今回登壇したのは、「Dominator」「Tipron」などユニークな製品を開発する株式会社Cerevo、家族を繋ぐコミュニケーションロボット「BOCCO」や「iDoll」などの可愛らしいロボットで知られるユカイ工学株式会社、好きなキャラクターと一緒に暮らす未来を目指して「Gatebox」を発表した株式会社ウィンクル、誰でも簡単にIoTでものづくりができる「MESH」を開発したソニー株式会社、ロボットに関する様々な事業を行うロボットスタート株式会社の5社。

Part1となる本記事では、前半部分のCerevoさん、ユカイ工学さんのパートをお届けします。


Cerevo

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はじめに登壇したのは、株式会社Cerevo CEOの岩佐琢磨氏。同社のユニークな製品の紹介やグローバルニッチ戦略について、そして同社が積極的に行っているPRの可能性についてお話頂きました。


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「Consumer Electronics REVOlution」という考えから社名がつけられたCerevoは、「いまだ電気が通っていないモノをスマホ連携/ネット連動で改革する」「誰も作っていないモノをつくる」というアプローチで、ユニークな製品を立て続けに発表してきました。


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その一例が先日発表された「Dominator」です。「Dominator」は、アニメ「PSYCHO-PASS」に登場する特殊拳銃。劇中からサイズを割り出してつくられたフォルムに、多色LEDを30個以上用いることで、アニメに出てくる「Dominator」を現実世界で再現しました。形がそっくりなだけでなく、スマホと連携し、形状が変化したり、音が鳴ったりするというCerevoならではの代物。価格はなんと79,800円です。岩佐社長は、この高価格設定も重要だと語ります。理由は2つ。


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1つ目の理由は、同社が取る「Offensive PR」という戦略に紐付いています。「Offensive PR」とは、言葉通り「攻めのPR」のことで、PRを念頭に置いた商品企画をすることだと岩佐社長は語ります。「Dominatorというアニメの世界のよく分からない製品を作った日本の会社がある。しかも価格は79,800円らしい」その結果、世界中のメディアで取り上げられ、DominatorのYoutube動画は700万PVを記録します。価格設定までもPRに取り込むというのが、同社の考える「攻めのPR」です。

2つ目の理由は利益率。極端な例で言うと「利益1万円の製品を1万個販売して1億円の総利益を出すのではなく、利益が1億円の製品を1個販売して同じ利益を出す」ということ。ユニークな製品であればあるほど、1億円は言い過ぎですが、ある程度の単価であっても購入する人はいるはずです。他社が作らない製品で大きな話題を作って、たくさん売るのではなく少数の人にでも販売することができれば利益が出る。そのようなモデルを商品企画の段階からきちんと設計しているところがCerevoの強みと言えます。


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また、Cerevoの戦略でもう一つ特徴的なのが「グローバルニッチ」という戦略です。グローバルニッチとは「100か国で100個ずつ売れば1万台売れる」という考え方。日本国内だけで販売するのではなく、最初から世界中で販売するという前提で商品を作っています。実際に現在約50か国の国々で同社の製品は販売されており、売上の半分以上が海外での売上です。「世界50か国で販売しているというと、プロモーション費用がとてつもなくかかっているんじゃないかとよく聞かれます」と岩佐社長。しかし、そこはCerevoがユニークな製品を生み出していることにより、プロモーションをしなくても世界中の様々なメディアで取り上げてもらえると言います。

会社規模も90名にまで拡大し、年間13製品をも生み出している同社。他社が作らないユニークでワクワクするような製品を、今後も発表し続けていくことでしょう。



ユカイ工学

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続いて、ユカイ工学CEOの青木俊介氏による講演です。ユカイ工学は家族とつながるコミュニケーションロボット「BOCCO」を開発し販売しています。

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昨年の7月にリリースされたBOCCOは、その可愛らしい見た目から「Good Design賞」も受賞しています。「家族がつながる、もっとたのしくなる」というコンセプトを掲げ、一般の人が手に取りやすい価格での販売も実現しています。

冒頭で青木社長は近年のロボットの進化について触れます。


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「2015年、PepperやAmazon Echo、JIBOなど、音声の入出力を持っている対話エージェントが出てきました。これまでのロボットとの違いはネットワークを使うことを前提にしているところです。クラウドベースの音声認識やアプリとの連動。このような進化をもたらした技術的な要因は “無線のネットワークの進化”、”スマートフォンの進化” そして “WEBサービスの登場” といえるでしょう」と2015年のロボットについて振り返ります。

続けて「これから5年間に影響するのは “AIの進化” です。AIというとざっくりし過ぎていますが、音声認識や画像認識などが安く提供されるようになるはずです。大事なことは「ロボット自体は賢い必要がない」ということ。センサーを使えば賢くなっていくので、ロボット本体が賢い必要はありません。それでもロボットが必要な理由は、ユーザーインターフェースとしての存在です。ユーザーインターフェイス以外はロボットの中にある必要は無くなっていると私は考えています。」と今後のロボットの進化とUIについて語りました。


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BOCCOは、BluetoothとWi-Fiを搭載しています。中身はスマホと似ていて、ソフトウェアのアップデートが簡単にできて、サービスを追加できるようになっています。最大8個までセンサーを追加可能で、今後は人やペットの動きを認識するセンサーも販売予定。また、YahooのMythingsなど、様々な外部サービスとも連携しています。食卓でニュースや天気予報をスマホで見ていて怒られていたお父さんが、BOCCOと会話をする中で情報を得られるようになる。すると、怒られることもなくなります。「スマホのインターフェイスは、家族や仲間など複数の人がいるときには、コミュニケーションを分断してしまうのです」と青木社長。

現在メッセージ機能がフォーカスされることが多いBOCCOですが、今後は「ユーザーインターフェイスとしての機能の追加」を考えているとのこと。

「今後、家の中に溢れていくであろうIoTデバイスノこの先家の中に溢れていくIoTデバイスをロボットが制御できるように、スマホにはないロボットの価値を作り上げていきます。」と今後のIoTのハブとしてのロボットの可能性を語りました。


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最後に青木社長は、先日発表された「iDoll × Nendroid 初音ミク」を紹介しました。


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「iDoll × Nendroid 初音ミク」は、コミュニケーションのインターフェイスとしても使うことができるようにと作られたロボット。基本的な考え方はBOCCOと同じですが、歌って踊ってコミュニケーションをとることができます。初めて踊ったのを見た時「開発チームのみんなが思わず泣いてしまった」そうで、それくらい動いた姿が可愛らしかったようです。

まだ発売は未定ですが、今後家庭に普及する可能性を大いに秘めたロボットといえるでしょう。


今回の記事はここまで。次回の記事では、後半3社のスピーチの模様、そして最後に行われたトークセッションの模様をお届けします。お楽しみに。

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望月 亮輔
望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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