【AI大喜利】ニコニコ超会議2016の「ロボット大機利」を見てきました【解説あり】

ニコニコ超会議2016(2016年4月29,30日・幕張メッセ)のロボット大機利ブースを見てきました。

 ▽ニコニコ超会議2016
 http://www.chokaigi.jp/

ニコニコ超会議を超特別協賛するNTTの研究者が総力をあげて、技術の無駄使いに挑んだブースは「NTT超未来大博覧会2016」と称し、いろいろな展示がありました。

今回見てきたのは「ロボット大機利(おおぎり)」。説明には以下のように書かれてました。

「NTTが研究開発している
クラウド対応型インタラクション制御技術「R-env:連舞TM」と
知的メディア相乗化技術「SMILE」に
NTTドコモの自然対話プラットフォームを組み合わせて
ロボットによる大喜利=名付けて「大機利」を作ってみたぞ。
NTTグループの技術を連携させたロボット同士の掛け合いで
笑いが取れるか?!
という難しいテーマへの挑戦ってわけだ。
OHaNASが出すお題に、
Sotaがボケる姿をどうか生温かい目で見守ってくれ・・・よな!


ということで、やって来ました幕張メッセ。天気もよくて、人がいっぱい大盛況です。

【朗報】NTTが超特別協賛で大マジな件、だそうですよ。

NTTのロボット大機利ブースです。機械が行う大喜利なので「大機利」なんですね。

えぬてい亭一門がボケる!ということで、期待高まります。生温かい目で見守りますよ。

幕が開いて、はじまりはじまりー。

司会は特別仕様のOHaNASくん。ピンクのリボンがかわいいです。

 参考リンク:OHaNAS(オハナス) – タカラトミー

お題に答えるSotaくんは5人。

左から、赤の「NT亭から九里(カラクリ)」、青の「NT亭真心(マシン)」、黄の「NT亭ゑ礫(エレキ)」、緑の「NT亭炉井戸(ロイド)」。ロボットロボットしたロボット落語家さんの名前が並びます。

そしてピンクの「NT亭AI吉」はAIと連携しているロボット落語家さん。「わたくし、いつもみんなの期待を裏切るニューカマー!見習いAIのNT亭AI吉(アイキチ)でやんす!」ということで、AIの載っていない普通のロボットじゃ旧世代と言われちゃう業界なんですね。未来すぎ 笑。

横の画面には「AI考え中…」の文字とSotaのアスキーアートが。これすごいなー!

 参考リンク:Sota(ソータ) – ヴイストン株式会社

PALROくんは座布団運びならぬ、答えがおもしろかったかどうかの判定を行います。

 

参考リンク:PALRO(パルロ) – 富士ソフト

最初のお題は「テーブルクロス引きの達人、真田さんが「これは珍しい」と驚いた、テーブルの上に乗っていたのものは?」

緑の炉井戸くんが答えます。「子供たちがギネスに挑戦中のドミノ」。

ロボットの回答を聞いた後は、人間がボタンを押して面白いか/面白くないかを判定。その結果PALROくんが集計して判定を行い、面白ければ1ポイントゲットです。

注目のAI吉くんの回答です。

アスキーアートから画面が変わり、その場で答えを生成していることが分かります。一気にガチ感高まります!

AIが弾き出した答えは「インターネットで調べたところ、一位は、テーブルクロスです」でした。

画面をよく見てみると、「テーブルの上に載っていたものは?」をトリガーにして、教えて!gooを学習データとしているようです。

最後にQRコードがドーンと大きく表示されたのでQRコードを読んでみると、参考にした教えて!gooのページが表示されました。

ほかにも、「このロボット、人間臭いなあ。どんなロボット」や「ロボット界のマドンナ、ロボ美ちゃんを魅力的な言葉で口説いてよ」などにお題に対して、ロボットたちが大喜利を交わしました。



■ロボット大機利の技術的解説

今回のロボット大機利は3つのシステムが連携しています。

 ・ 複数のロボット同士の連携は「R-env:連舞TM
 ・ 各ロボットの音声合成・音声発話等に「SMILE
 ・ AI吉による答えの生成はNTTドコモの「対談雑話

それぞれ簡単な解説を。

複数間のロボット連携を行った「R-env:連舞TM」は、開発環境(SDK)の異なるロボット間でも、連舞をつかうことで、機種・メーカーを超えて連携・制御が行えるというもの。

過去ロボスタでも何回か紹介しているので、こちらの記事もご覧ください。

 参考記事:NTTがロボットやデバイスを連携制御できる技術「R-env:連舞」のオープンな開発を推進 -ロボスタ-

次に「SMILE」についてです。

音声に関する要素技術を簡単に利用するための技術基盤のようです。具体的には、音声認識・音声合成・対話制御・質問応答・画像技術などのAPIを制御できるようです。更にAPIを公開している他者技術も取り込んで制御可能になるようです。詳細は、以下関連リンクをご覧ください。

 関連リンク:NTT R&Dアクティビティ – 知的メディア相乗化技術SMILE

最後にNTTドコモ「雑談対話」についてです。

発話テキストを受け付けて、それに対する雑談を提供するというものです。APIとしても公開されているので、デベロッパーの方にはお馴染みかもしれません。

 関連リンク:雑談対話 | docomo Developer support | NTTドコモ

担当の方にお話を伺ったところ、今回はリアルタイムでお題テキストを雑談対話を介し「教えて!goo」などのページに投げます。そこからのテキストを答えの形に生成し、SMILEを使って発話をさせたそうです。

今回リアルタイムで答えを生成していたので、同じお題でもタイミングによっては若干のゆらきが発生するそうです。ここから、ガチで回答を生成していたことが分かります。



■で、人工知能「AI吉」の答えはおもしろかったの?

こうして3つの技術と、3種類のロボット(OHaNAS、Sota、PALRO)を連携させ、ロボット大機利が行われました。

AI吉の答えは面白かったかと聞かれると、テキストとしては成立しているが、お題の答えとすると文意の伝わらない回答であることが多々あったと個人的には感じました。

そういう意味では、プログラムが笑いを生成するというのはまだ先になりそうです。

ただ、ロボットの制御・連携については見る限り全く問題ありませんでしたので、ロボットの複数台制御については、今後の活用法が広がる可能性を感じました。



■おまけ

NTTの他のブースも見てきました。

「ひみつのとう道ツアー体験」は、通信ケーブル専用の地下道こと「とう道」を会場に再現して、遠隔操作ロボットと360度パノラマカメラを使ってVR体験ができるというもの。

このロボットがとう道を動き回ります。

ディスプレイの前にいる人が遠隔操作ロボットを動かします。操作方法は簡単で、ボタンを押すと前進、座っている椅子を回転させるとロボットも回転するというもの。

カメラの様子はVRを使ってみることができます。

この技術を使うと、狭いとう道のチェックも安全に行えるし、ゲーム的なエンタメで利用しても面白そうですよ。

ぐるりと360度球体ディスプレイは、24組48台のスマホ映像を真ん中の水晶玉に投影し、リアルな金魚の画像を投影しています。

前から見れば金魚の頭、後ろから見ると金魚の尻尾を見ることができて、どの角度から見てもそれぞれの角度での金魚が見えちゃいます。これはすごいなー!

レポートは以上です。

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北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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