脳で操作するBMIが将来のロボット操作の主流? 一体感が強くて適応力が高い -内閣府とATR、JSTが研究結果を共同発表

脳による操作は体による操作よりもロボットへの適応力が高い

国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と、科学技術振興機構(JST)、内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)が共同で発表したニュースです。

logo
脳によりアンドロイドを操作した場合と、体の動きで操作した場合のユーザの反応を比べると、脳で操作した方がアンドロイドに対してより強く適応できる、一体感を感じる、ということが実証され、2016年9月22日午前10時(英国時間)発行の英国科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。

どういうことかをもう少し簡単な言葉で解説します。アンドロイドやロボットの操作方法のひとつに、モーションセンサー(モーションキャプチャ装置)による操作があります。これは一部のゲーム機などで実用化されているのと同様に、ユーザーの身体の動きに応じて、ロボットが同じ動作をする操作方法です。

今回の発表で、身体の動きによる操作と比較したのは、ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)です。ごく簡単に言うと、脳波を読み取り、考えただけでそのとおりアンドロイドが動く操作方法です。未来的ですが、まだまだ反応速度等に課題があって、健常者への実用化には時間がかかりそうです。

具体的には、手を握る動作の場合、身体による操作ではユーザが手を握った動きに合わせてアンドロイドが手を握る様子を、脳による操作では手を握るイメージを思ってロボットが手を握る様子、をそれぞれを観察し、アンドロイドがどの程度自分の身体と感じたかをアンケート集計しました。また、アンドロイドへ刺激を加えた時にユーザのがどんな反応を示すかを皮膚で測定しました(皮膚コンダクタンス反応)。


atr-jst-02
その結果、いずれの測定においても、体での操作より、BMIを使って脳で操作した場合の方が、アンドロイドをより強く自分の体として感じられることがわかりました。

現状の技術では、BMIの性能は限定的で、かつ操作遅延も大きいため、一般的にはリアルな操作感はなくなると考えられていますが、身体による操作と比較して0.5秒程度レスポンスが悪いながらも、BMIによる操作ではそれを遅延として感じず、むしろ強い一体感を感じたことになります。

このプロジェクト「内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」のプロジェクトマネージャー山川義徳氏は「今回の成果は、通常、人が行っている運動による制御と比べて、脳情報を用いる制御、BMIの優位性を示すもの。これは科学的な発見であることはもちろん、これにより人により強く働きかける仕組みの糸口を見つけ、新たな脳情報サービスへの大きな一歩を踏み出せた」とコメントしています。


ABOUT THE AUTHOR / 

ロボスタ編集部

ロボスタ編集部では、ロボット業界の最新ニュースや最新レポートなどをお届けします。是非ご注目ください。

PR

連載・コラム