第7回ロボット大賞、ソフトバンク「Pepper」やMUJIN「Pick Worker」、サイバーダイン「HAL」などが授賞

一般社団法人日本機械工業連合会と経済産業省や総務省を始めとする各省庁が共催する「第7回ロボット大賞」の授賞ロボットが本日発表された。

「ロボット大賞」は、ロボット技術の発展やロボット活用の拡大等を促すため、特に優れたロボット等を表彰する制度。昨年まで経済産業省が「経済産業大臣賞」としてロボット大賞の選定を行ってきたが、今年から「ロボット新戦略」に基づき、新たに総務大臣賞、文部科学大臣賞、厚生労働大臣賞、農林水産大臣賞、国土交通大臣賞の5つの大臣賞が創設されている。

結果は以下のとおり。


経済産業大臣賞「Pick Worker」

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経済産業大臣賞を授賞したのは、株式会社MUJINの完全ティーチレス/ばら積みピッキングMUJINコントローラ「Pick Worker」。こちらは、産業用ロボットによるばら積みピッキングを人間がロボットに動作を教示(ティーチング)することなく「完全ティーチレス」で実現するコントローラである。

評価のポイント

自動車産業に加え、物流でのピッキング工程の自動化を推進するなど、労働力不足等の社会的課題解決への貢献と生産性向上に寄与している点を評価。タッチパネルを用いて直感的な操作で対応可能なシステムにするなど、ユーザー視点で利用環境を提供している。また、ロボットメーカーを選ばない汎用性を備え、ロボットの適用範囲の拡大に資する優れた製品であると評価できる。


総務大臣賞「Pepper」

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総務大臣賞を授賞したのは、ソフトバンクのコミュニケーションロボット「Pepper」。人の表情と声から感情を推定し、自然なコミュニケーションが行えるアルゴリズムを搭載している。また、幅広い人々にPepper向けアプリの開発環境「コレグラフ」を提供している。

評価のポイント

ロボットおよび開発ツール等が一体となったプラットフォームを提供し、ユーザー参加型で社会的ニーズを作り出していくという新たなロボットビジネスモデルを、実際に実績が上がるまでに実現した点を評価。


文部科学大臣賞「自走式イチゴ収穫ロボット」

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文部科学大臣賞を授賞したのは、モジュール分散協働型収穫支援ロボットシステム(自走式イチゴ収穫ロボット)。国立大学法人宇都宮大学(尾崎功一研究室)、アイ・イート株式会社が共同開発を行っている。同システムを活用することで、色を相対識別する手法により、イチゴの熟度及び茎の切断位置を正確に認識し、果実に触れずに収穫できるため、イチゴの商品価値を損なわずに販売することができる。

評価のポイント

自走式ロボットの要素機能をモジュール分散化し、各モジュールが協働動作するロボットシステムは技術的にもユニークであり、完熟イチゴを傷めることなく収穫できるため海外輸出が可能になるなど、生産者にとってメリットが多い点を評価。


厚生労働大臣賞「HAL医療用下肢タイプ」

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厚生労働大臣賞を授賞したのは、CYBERDYNE株式会社の「HAL医療用下肢タイプ」。人の動作意思を反映した生体電位信号(BES)に従って駆動し、装着者の運動機能を改善させる、新医療機器として承認された治療用ロボット。患者の脳・神経系から筋肉への指令信号を反映した微弱なBESを計測することでアシスト動作を決定。各関節に配置されたパワーユニットを駆動する。

評価のポイント

進行抑制治療において歩行機能を改善する医療機器として承認を得るなど、ロボット医療機器の実用化成功例である点が高く評価された。海外も含め他社を追随させない高い技術により、これまで有効な治療方法が無かった進行性の希少難病の患者において、歩行機能の改善効果が認められた功績は大きい。


農林水産大臣賞「ロボットトラクタの研究開発」

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農林水産大臣賞を授賞したのは、ヤンマー株式会社のロボットトラクタの研究開発。圃場内の決められた経路を自動的に走行するロボットトラクタと、人が運転するトラクタが協調して農作業を行うシステムで、あらかじめ圃場の形状や作業工程を登録したタブレットを用いて、ロボットトラクタのスタート・ストップなどのコントロールが可能となる。

評価のポイント

高度なロボット技術を有し、労働力不足等の農業特有の課題に対応する社会的ニーズを満たすと共に、省人化と安全性の両立を目指す取組を評価。また、人の監視下での自動化を経て2020年における遠隔操作によるロボットトラクタの完全自動化を目指した取組の将来性に期待。


国土交通大臣賞「SPIDER(スパイダー)を用いた高精度地形解析による災害調査技術」

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国土交通大臣賞を授賞したのは、ルーチェサーチ株式会社の「SPIDER(スパイダー)を用いた高精度地形解析による災害調査技術。SPIDERは、人が立ち入れない災害現場や急傾斜地において、天候に左右されずに地形データを取得し、三次元点群データの作成までを迅速に行うことを可能としたGPS制御による高性能無人ヘリロボット。

評価のポイント

ハードの設計開発・組立てから、現場での調査・計測オペレーション、データ解析までを一気通貫でソリューション事業として顧客に提供し、ロボットを活用した検査・調査事業領域でのソリューションビジネスのひとつの成功例といえる点を評価。

その他にも、審査員特別賞にレスキューロボットコンテスト、優秀賞にセコムドローンなどが選ばれている。

今回のロボット大賞には、151件の応募があり、第7回ロボット大賞審査特別委員会の審査等を経て、各賞の表彰対象が決定された。

10月19日から始まる「Japan Robot Week 2016」の会場にて、表彰式や受賞者によるプレゼンテーション、合同展示などが行われる。

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ロボスタ編集部

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