【中国ロボット市場最前線 vol.03】中国コミュニケーションロボット市場の最新レポート「世界ロボット大会 2016」

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前回の中国産業用ロボット市場の事情に続きまして、今日はコミュニケーションロボット市場の最前線についてお話しします。

中国では、ロボットの分類上、産業用ロボット、サービスロボット、特殊ロボットのように大まかな分類があるものの、「コミュニケーションロボット」といった言葉はまだよく使われておらず、細分化もされておりません。本稿でいうコミュニケーションロボットは、会話や触れ合いによって人とコミュニケーションを取ることができるロボットと定義し、サービスロボットの一種類と捉えています。

この数年間、高齢者社会の到来、子供教育への投資増大、娯楽・趣味への生活スタイルの変貌などを背景に、コミュニケーションロボットのニーズは今までない勢いで高まってきています。大型イベントのロボット出演、展示会のロボット登場の機械も増え、「ロボットが面白い」「ロボットがほしい」とロボットが話題になってきています。
一方、人工知能技術、インターネット技術などの発展に伴い、人とのコミュニケーションの精度が高まり、ロボットの利活用シーンも広がってきました。例えば、金融機関での受付、レストランでの接客、大型イベントショー、子供の遊び相手などでだんだん登場してきています。

これから紹介するコミュニケーションロボットは、2016年10月20日から北京で開催された「世界ロボット大会 2016」の博覧会で出展されたロボットで、写真もその場で撮ったものです。ご参考になれば幸いだと思います。




1、家庭用知能ロボット:優友(ユーユー)

北京康力優藍科技有限公司(英字:Beijing Canbot Robotic Technology Co., Ltd. 略称:康力優藍)は、2006年に設立されたサービスロボット専業会社であり、幼児教育、知的開発、教育娯楽、受付案内、お年寄り付き添いなど知能ロボットの研究開発・生産・販売事業にフォーカスしています。
主力製品としては、幼児教育、家電制御、遠隔地コントロール、スマートアラートなどの機能を備えた家庭用知能ロボット「小優」(ショーユ―)です。
今回紹介するコミュニケーション型ロボット「優友」(ユーユー)は、中国初の量産可能なコミュニケーションロボットであり、Pepperに対抗するロボットとも言えます。人とのコミュニケーションでは、会話の文脈を考慮した上で、スムーズでクールな会話をしてくれます。太鼓などの演技もできます。

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以下は、「優友」の詳細情報です。

  • 身長は1.28メートルで、体重は60キロ。移動速度は時速最大3.2km/h。
  • 人間の6情(喜・怒・哀・思・驚・恐)をまね、25セットの基礎表情動作、486種類の感情言語表現が可能。
  • 時間軸で自主的に意識するエンジンを搭載し、発生したことのすべてを記録し、仏学観点での意識を保有。
  • ロボット本体の運動制御システムを搭載し、2 Master(2主1副構成の基盤駆動)、360度全方向自由移動、5~10度斜度の無障害通行を実現。
  • センシングテクノロジーを搭載し、AutoMapper(知能的マップ作製)、AutoFix(自主的ポジショニング)、UWB(超広帯域無線通信)、Smart(全局的な通行ルートプランニング)などを実現。
  • 神経ネットワークに基づいた語彙解析能力を備え、オープン的な語彙理解、会話シーンの自動適応、持続的なインターアクティブ会話、文脈理解に基づいた複数回に渡る自然な会話を実現。
  • 顔識別、顔追跡、物体識別、動作識別、ジェスチャー識別などの画像識別技術を搭載し、TwinSight、RealSenseなどのテクノロジーを活かして視覚能力を向上。
  • 95%の音声識別率を保持し、24種類の方言を網羅する中国で最も強力な科大訊飛社の中国語音声識別システムを搭載し、最高レベルの音声識別レベルを実現。
  • 自社独自のURobotシステムを採用し、ビデオ、画像処理、音声処理、感情識別技術などを総合的に制御可能。
  • 目は人とのコミュニケーション状況により色や画像が変わったり、スマホのようにタッチスクリーンで操作したりすることが可能。頭は2つの自由度で、上下50°、左右150°の回転が可能。腕は10自由度があり、全方位での回転が可能。10本の指はそれぞれ単独で運動することが可能。
  • バッテリーが低下した場合、充電位置を特定し、自主的に電源を探し充電可能。




2、中国国産サービスロボットの最高レベル:佳佳(ジャジャ)

中国科学技術大学(英字:University of Science and Technology of China、略称:中科大)は、1998年から知能ロボットの研究がスタートし、2008年にロボットシリーズの開発プロジェクト「可佳」(コジャ)を推進し、数多くの成果が挙げられています。

今回紹介するロボット「佳佳」は、「可佳」(ジャジャ)シリーズの中でヒューマン・マシンのコミュニケーション体験を重点的に研究・開発するもので、2016年4月に「佳佳」の名前で世の中に公開。佳佳は、中国国家サービスロボット標準テストで2012年から連続で総合成績トップの座を維持し、中国国産サービスロボットの最高レベルとも言えます。

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以下は、「佳佳」の詳細情報です。

  • 身長は1.6mで、体重は50kg以下。
  • 2014年のブラジルROBOCUPで優勝取得。世界ロボット大会2016に出展されているものは、その第三世代となっている。
  • 外形は、中国科学技術大学の5名美人をモデルにしており、美貌と智慧の両方を備えた美人ロボットと位置付けられている。
  • 人間のように、品格の視点からもロボットを捉え、ロボットの外形と機能、品格の協調を取る方針で、善良、勤労、智慧の品格が付与されている。
  • 人工知能とロボット技術を深く融合したもので、常識の推理、辞書など文字型知識の語意の変換などがとても得意。表情の細かい動的表現、口の動きと音声の連動、自主的な環境適応などは徐々に精度高まっている。

佳佳の研究開発チームによると、今後、佳佳の深層学習能力、表情識別能力、交流能力を向上する予定で、普通の家庭に入ることも視野に入れられています。将来的には、この佳佳は、好きな人を見る目と他の人を見る目とは、違うものになるだろうとされています。




3、児童向け付き添いロボット:i宝(アイバオ)

南京阿凡達機器人科技有限公司(英字:(AvatarMind Robot Technology Co.,Ltd.略称:南京阿凡達)は、2014年に設立された知能ロボットの専業会社であり、知能ロボットの研究開発、生産、販売を行っています。

今回紹介する「i宝」(アイバオ)は、1~8歳の児童向け付き添いロボットで、同社の主力製品となっています。

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以下は、「i宝」の詳細情報です。

  • 高さ1.05m、重さ12.5kg。
  • 日常会話。自主開発の語彙処理システムを搭載し、児童の話しを聞いてクラウドの児童語彙ライブラリを通じてスムーズに会話できる。
  • 感情反応。感情処理システムを搭載し、ロボットへの近づき、触り、音声などで感情的なレスポンスが見られる。
  • 成長日記。毎日写真やビデオで児童の成長を記録し、保存する。スマホ用のアプリを利用してコメントしたりすることが可能。
  • 友達作り。i宝を利用しているほかの児童と友達になったりすることが可能。ただし、保護者の許可処理が必要。
  • 生活助手。天気予報、時刻アラート、お手洗い催促など生活面のアシストも可能。




4、チヤットボットから進化したロボット:嬌娃(ジャオワー)

上海智臻網絡科技有限公司(英字:Shanghai Xiaoi Robot Technology Co., Ltd. 別称:小i機器人)は、バーチャルのチャットロボットと実機のロボットの両方を保有するロボット専業会社で、ガートナーの「Cool Vendors in CRM Customer Service and Social, 2013」などで評価されています。

今回紹介する「嬌娃」(ジャオワー)は、もともとインターネットのチャットロボットとして生まれ、iPhoneのSiriと同じイメージの知能音声システムです。マイクロソフト社のWindows Live Messenger コンテストで優勝し、グローバル戦略的パートナー関係を構築し、数多くのクライアントを保有しています。いまは、バーチャル形式のチャットロボットから物理身体を持つ実機ロボットへ変身し、いま銀行など金融機関で受付機能として利用されています。

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以下は、「嬌娃」の詳細情報です。

  • 精度の高い中国語処理能力を持ち、ヒューマン・マシンインターアクティブテクノロジーを実現。
  • 人間の声源を特定し、適切な角度で姿勢を調整する。人間の顔の位置を識別し、自主的に話しかける。
  • 感情を識別するテクノロジーを搭載し、利用シーンに合わせたサービススタイルを調整可能。
  • 半径4メートル範囲内で障害物を自主的に回避し、進行ルートを調整する。会話でお客様のニーズを理解し、目的場所へ案内する。
  • リアルタイムに収集したデータを分析し、サービスを行うアドバイスを提供する。



上記以外にも、数種類の国産コミュニケーションロボットが登場していました。
全体的には、AsimoやPepperなどのように精緻な動きまでできているものではないものの、金融機関・公共機関・レストラン・ホテルなどでの受付、子供の遊び相手、イベントでの出演、スーパーでのアシストなどの利用シーンに合わせて応用するものがどんどん出てきている模様。ロボット利活用意識の向上や政策面の優遇措置の強化などは、ロボットの発展動力になることは間違いありません。膨大なロボット市場は、最終的にロボット研究開発の技術力にもつながるのではないか、と思われます。


中国ロボット市場最前線は短期連載(全10回の予定)です。
更新時はロボスタ・メールマガジンでもお知らせします。
お楽しみに!

About the author / 

Dequan Tang
Dequan Tang

イーパオディング株式会社代表取締役社長、北京璞華機器人(ロボット)情報技術有限公司CEO。東京・北京にてITシステム化、日中間ビジネス、グローバルビジネスコンサルティング業務に十数年間携わり、いま中国でロボットのメディア、展示、販売、研究開発を行うロボット事業、及び「個客」ビジネスの「自由自在」を支援するグローバルリサーチ、コンサルティング、インターネットサービス事業に従事。IT関連の講演・著書多数。 Email:tang_dequan@epaoding.com

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