産業革新機構、産業用ロボットの知能化を進めるベンチャー「リンクウィズ」への4億円の出資を発表

株式会社産業革新機構は、産業用ロボットの知能化を実現する三次元制御システムソフトウェアの開発・販売を行う静岡県浜松市に本社を置くリンクウィズ株式会社に対し、同社の新たな事業展開を推進するための資金として、4億円を上限とする出資を行うことを決定したと発表した。

産業用ロボットは、現在、多くの生産現場に導入されているが、単純作業の反復など大量生産体制を前提としたものが中心で、かつ、ロボットに対し事前に動作を教えなければならないためコストも継続的にかかる。そのため、導入先は大企業が中心で、労働力不足が深刻な中小企業への導入は限定的なものとなっている。

2015年に設立された「リンクウィズ」は、そのような産業用ロボットの使い勝手を格段に改善し、知能化を実現するための制御ソフトウェアを開発・販売するベンチャー企業だ。同社の制御ソフトウェアは、形状処理AIと独自の形状認識アルゴリズムを備えており、産業用ロボットに最適化された三次元計測・解析・制御に強みをもつ。

具体的には下記の様な特長を持っているという。

1)2Dレーザーセンサと形状解析プログラムによりロボットへの事前学習を大幅に削減
2)作業毎に対象物の形状を確認し、誤差を自立補完することで高品質作業を実現
3)どのメーカーのロボット・センサとも組み合わせが可能であり、導入が容易

「リンクウィズ」では、既に大手自動車メーカーに対し、溶接位置補正ロボットシステムや製品検査ソフトウェアなどのカスタマイズ製品の納入実績があるようだ。今後は、汎用向けの基本ソフトウェアパッケージの開発を行い、さらに中小企業向け簡易版ソフトウェアパッケージの開発を行うことで、これまで産業用ロボットの導入が困難だった中小企業への導入を容易にしていくという。また、製造現場における「Industry4.0」の実現に向けて、様々な分野の大企業との連携も進めていくとしている。

産業革新機構は、産業用ロボットの導入が容易になることで、生産ラインの効率化や高付加価値化に加え、中小企業の製造業現場での深刻な労働力不足解消への貢献が期待されること、また同社が目指す生産工程データのクラウド化は、工場での生産工程改善のみならず、製品の設計、部品の調達などの企業経営戦略にも大きな影響を与える可能性が期待できIndustry4.0の実現に資することから、今回「リンクウィズ」に資金を提供するとともにハンズオンの支援を行うことを決定した、と今回の出資の経緯を述べている。

また、産業革新機構だけでなく、SMBCベンチャーキャピタル株式会社も同社への出資が決定しているという。

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ロボスタ編集部

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