デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻(トーマツベンチャーサポート)の授業が行われました

3月1日、デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻の授業が行われました。今回の講師はトーマツベンチャーサポート瀬川さん。講義内容は「ロボット共生社会のビジネスと安全性への配慮について」です。


まずは、瀬川さんの自己紹介から。



大学時代はロボット研究を行っており、その時のロボットが2005年の愛・地球博に展示されていたそうです。社会人になってからは大手シンクタンクに所属。政策を作る業務に関わったり、ロボット革命実現会議の立ち上げ支援などに携わりました。


この後実際に色々動いてみるしかないと思い根っからの支援家気質だったことから、ベンチャー企業の支援を行う現在のトーマツベンチャーサポートに入りました。入社後ロボット業界の様々な委員会での有識者活動も行っています。先月はNewsPicksのマンスリー・プロピッカーの活動も行っていました。


最初にロボットの種類についての説明です。


様々な分類方法があるのですが、瀬川さんは大きく「実体のあるロボット」と「実体のないロボット」に分類します。


「実体のないロボット」とは、既に存在している機器をロボット化した自動運転車やスマートハウスのような住宅のロボット化、人工知能のようなソフトウェアもこのカテゴリに入れています。


「ロボットとはなんですか?」という質問を受けることが多い瀬川さんは、この問い自体には意味が無いと考えています。ビジネスにおいてはロボットの定義を厳密に決めることよりも、技術を組み合わせてビジネスを解決に至らせることの方が重要と考えます。


ロボットの構成についてです。


ロボットは「感じる(センサ系)」×「考える(知能系)」×「動く(駆動系)」の組み合わせで捉えられます。この点から、ロボットはIoT、AR/VR、ドローンとも関連が深いと言えます。



ロボット新戦略についてです。


日本は国として「ロボットによる産業革命」を目指していて、これはほぼ全ての産業に変革をもたらす可能性があります。スライドの「分野別」を見てみると、ものづくり、介護(重点5分野)、インフラ・災害対応・建設、サービス(バックヤード)、医療、農林水産業・食品産業とあり、確かに広い範囲の産業に関係しています。



ロボットに注目しているのは日本だけではなく、世界規模での競争がはじまっています。



日本国内のロボット産業は2035年には9.7兆円に拡大すると期待されており、中でもサービス分野ロボットは社会課題の解決に資する国策として注目を集めているそうです。


世界でのサービスロボットの市場は、軍事・フィールド・医療が中心であり、Pepperやロボホンのような、いわゆる「サービスロボット」の市場はまだ世界でも立ち上がっていません。


一方、産業用ロボットは成熟産業と見られがちですが、まだまだ成長余力があります。


ロボット産業のエコシステムは、産業用ロボットを除き、ロボット製品に多くプレイヤーが集中しています。


ここからロボット・ドローン産業創出の課題と解決のポイントについて、既に産業として確立されている製造業向けロボット分野で重要な役割を果たしているシステムインテグレーター、サービスロボットのビジネス化事例、ベンチャー×大企業の提携パターンについてお話を頂きました。



後半はロボットの安全性についてです。


ロボット・ドローンに関連する主な規制・法令です。新たな工業製品であることから、現状では安全基準が未確立とも言えます。



今日の授業では特にISO13482について説明を行います。


ISO13482が作られた流れと背景、そして体制です。



特筆すべきは、日本の提案が採用される形で作られた国際基準であるという点。このようなことは今まであまりありませんでした。


認証までの流れは以下のとおりです。


他にも、JIS B 8445・JIS B 8446についても説明頂きました。


最後に今日のまとめです。


今、2つの止められないトレンドがあります。1つ目は、日本の労働力不足。成り行きでは、2040年には全産業合計で586万人が不足する見込みです。


2つ目は、機械システムの高度化。ソフトウェア技術の発展により、機械システムのあり方が変わっていきます。具体的には、ITと機械システムの融合(IoT/M2M)、人と機械システムの融合(マンマシン系)、ライフスタイルを見据えた機械システムの流れはトレンドとなるでしょう。


製造業もサービス業もデジタル技術によるビジネス変革の時代と言えます。変革の時代の次の一手となるツールが、IoT、ロボット、ドローンといったデジタルハード技術となっていくでしょう。



今日の講義は以上です。今回はビジネスを行うにあたり必要なロボットの安全性についての理解が深まった内容でした。

みなさまお疲れ様でした。



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北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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