ソニーは来春「AIBO」で再参入。トヨタ、NTTなど「国内大手20社」のロボット事業の動向を一挙紹介 - (page 2)

日立

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日立製作所が昨年発表した「EMIEW3」

2007年に発表された「EMIEW2」の後継機である「EMIEW3」を2016年4月に発表した日立製作所。同社はEMIEW3の2018年度内の販売を目指し、現在開発を進めている。


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倒れても自ら起き上がる

90cmの身長のEMIEW3は、いわゆる二足歩行ロボットではなく、足の下についているタイヤで移動するロボット。最大移動速度は6km/h。商業施設や店舗、受付などでの使用が見込まれており、周囲の情報をセンサーでキャッチする「環境認識機能」や複数体の間で情報の共有をするなど「複数台連携制御」を搭載している。また、利用時にEMIEW3自身がアクシデントで転倒してしまう可能性も想定して、自律的に起き上がる機能を持っている。

リモートブレインと呼ばれるクラウド上のロボットIT基盤を活用することで、ネットワーク内のIoT機器とも連携が可能、多言語にも対応していく予定だ。

一方、グループ会社の日立システムズは、ロボットの保守・導入・運用をサポートする事業「ロボティクスサポートサービス」を展開している。全国にいる同社の技術スタッフが、ソフトバンクのPepperの保守を行うなど、縁の下の力持ちのような存在として活躍している。ロボットが広まるにつれて、この分野の競合も増えてくることだろう。


富士通

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富士通のメディエイタロボット「ロボピン」

昨年5月に開催された「富士通フォーラム2016」で発表されたのが、富士通のメディエイタロボット「RoboPin」だ。メディエイタとは、仲裁人を意味する単語。”人と人”、”人とシステム”の間にRoboPinが入ることで、良い関係性を築く手助けをしたいという思いが込められている。

フォーラム当日、RoboPinは、ビーコンなどの外部デバイスを活用し来場客の事前登録情報を把握、そして相手が興味があるブースまでのルートを教える道案内役を担っていた。

富士通は、富士通研究所を通じて1980年代からロボットの研究に取り組んできており、過去には小型ヒューマノイド「HOAP」の開発も行っている。RoboPinは2016年1月に開発がスタートしたばかり。富士通フォーラムを実証実験の場としても活用していたようだ。その後も、各展示会にて、ロボピンの姿を見かける。これら展示会や実証実験でのユーザーからのフィードバックを得て、今後、機能やデザインがどのように変化していくのかに注目していきたい。


タカラトミー

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猫型ロボット「ハロー!ウ〜ニャン」

近年休止をしていたトイロボットの事業を2014年に再開。犬型ロボット「ハロー!ズーマー」や猫型ロボット「ハロー!ウ〜ニャン」、恐竜型ロボット「ハロー!ダイノ」、デアゴスティーニのロビの幼少期をイメージして開発された「ロビジュニア」など、「オムニボットシリーズ」というトイロボットシリーズで低価格帯のロボットを数多く販売している。これらは「おもちゃ会社が作るロボット」というスタンスのため、役に立つことを狙っているものではないが、一方で前述のOHaNASのように対話が可能なコミュニケーションロボットの領域にもドコモと共に参入している。OHaNASは、遊ぶためだけのロボットではなく、天気を教えてくれたりニュースを教えてくれたりするなど、人の役に立つことも一つの目的とされている。


今年の9月より「COZMO」の日本向け発売も開始した

そして9月には、米国で大ヒットを記録したロボット「COZMO」を日本向けに発売した。COZMOは、自律的な動きが魅力的なロボット。ピクサーのアニメーターが参加していることで、可愛らしい動きを実現している。日本発売後も、テレビを中心に様々なメディアに取り上げられるなど、上々のヒットを記録しているようだ。

同社が持つ「簡単には壊れないものを作る技術」「最先端の技術に固執しない “バランス感”」は、おもちゃだけでなくコミュニケーションロボットに求められているものでもある。おもちゃ会社として子供用のトイロボットを作りながらも、「ロボット」という領域でどのような展開をしていくのか。他社とは違った視点でのものづくりにロボット普及の手がかりがあるかもしれない。


パナソニック

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パナソニックのロボットということで最近話題に上るのは、先日IFAで発表され、CEATEC JAPAN 2017で国内でも初披露された「cocotto」だろう。移動機構が気になり、ロボスタでもその動向を追ってきたが、幼児の教育向けの展開を進めていきたい考えだという。

また、今年始めにはCES2017にて、タマゴ型のロボット「PICO」も発表している。


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自律搬送ロボット「HOSPi(ホスピー)」

パナソニックはこれまでにも、病院内で働く自律搬送ロボット「HOSPi(ホスピー)」の開発を行なってきた。ホスピーは、病院内の地図をあらかじめインプットしておくことで、目的地までの経路を自身で判断し移動することができるロボット。エレベーターでの移動も可能だ。使用目的は、薬や検体などの搬送。20kgまでの搬送を行うことができる。目的地に到達したかどうかの確認や、現在の運行状態が確認出来る他、開錠記録やどのスタッフがいつ搬送させたかなどを記録に残すことができ、トレーサビリティに優れている。国内だけでなく、海外の病院での導入も進められているようだ。


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パナソニックのグループ会社「アクティブリンク」が開発するパワーアシストスーツ

パナソニックは過去に乾電池EVOLTAの性能をプロモーションするロボットとして、EVOLTAロボットをロボットクリエイターの高橋智隆氏と共に開発している。今年の8月には、同ロボットがノルウェーのフィヨルド登頂に挑むチャレンジを行ない、話題になった。またパナソニックの子会社であるアクティブリンク株式会社がアシストスーツを開発するなど、社内でのロボット技術の蓄積は進んでいると見られる。


NEC


NECは、前身となる「PaPeRo」を発表してから約17年後の昨年、「PaPeRo i(パペロ アイ)」と名付けられた後継機を発表した。「PaPeRo i」は、座布団にちょこんとロボットが座ったデザインをしている。実はこの座布団部分が高速ネットワークルーターになっており、他のロボットとは活用法が少し異なる。「PaPeRo i」のアプリケーションの流通は、NECプラットフォームズが提供するマーケットプレイス「コラボマーケットプレイス」上で行われるといい、様々なパートナーと共に、現在このロボットの魅力を高めるようなアプリケーションを拡充している。

そして、同グループのNECフィールディングは、観光、教育、介護、販売店舗でのおもてなしなど、ロボットの活用を広めるためのサポートサービスを展開している。コミュニケーションロボットだけではなく、ドローンや物流支援ロボットなど、あらゆるロボットを活用した法人向けのサポートを行なっていく考えだ。



また、同じくNECグループのNECネッツエスアイは、米国のロボットベンチャー「サヴィオーク」が開発した客室用デリバリーロボット「Relay(リレイ)」の日本展開をサポートしており、先日品川プリンスホテルにも国内初の事例としてRelayが導入された。NECは、グループの様々な会社からロボット事業が生まれてきている印象だ。各社がシナジーを生み出すことができれば、さらに存在感を増すことができるだろう。

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ロボットスタート株式会社

ロボットスタートはネット広告・ネットメディアに知見のあるメンバーが、AI・ロボティクス技術を活用して新しいサービスを生み出すために創業した会社です。 2014年の創業以来、コミュニケーションロボット・スマートスピーカー・AI音声アシスタント領域など一貫して音声領域を中心に事業を進めてきました。 わたしたちの得意分野を生かして、いままでに市場に存在していないサービスを自社開発し、世の中を良い方向に変えていきたいと考えています。

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