ソニーは来春「AIBO」で再参入。トヨタ、NTTなど「国内大手20社」のロボット事業の動向を一挙紹介 - (page 3)

KDDI

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コミュニケーションロボット「Jibo」

KDDIは、2014年7月に発表され、世界中から注目を集めているコミュニケーションロボット「Jibo」を開発する「Jibo,inc.」にコーポレート・ベンチャー・ファンド「KDDI Open Innovation Fund」を通じて出資をしている。

Jiboは、クラウドファンディングサイト「Indiegogo」を通じて発表されたロボットで、MITのシンシア・ブリジール准教授が開発を行ったことで知られている。ファミリー向け知能ロボットとも呼ばれる通り、まるで家族の一員のように一家団欒をサポートするコンセプトムービーは、その未来感が世界中から期待を集め、クラウドファンディング達成率「2288%」という大きな成果を残した。Jiboは、その後のクラウドファンディングで発表されるロボットが目標とする存在にもなっており、特にコンセプトムービーはJiboのムービーと同じテンプレートを使用したかのように似たような映像が作られている。


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KDDIはその他にも、株式会社ispaceが運営する日本初の民間月面探査チーム「HAKUTO (ハクト)」のオフィシャルパートナーとなり、HAKUTOの月面探査ロボットの通信システムの共同開発に取り組んでいる。ソフトバンクとの違いは、ロボット会社を買収して自社でロボット開発をしていくのではなく、出資や技術提供を通じて支援していくというスタンスを取っていることだろう。リスクも低いが、その分ロボット事業を行っているという世間の認識も低い。ただし、Jiboの日本語対応版も販売されることがJibo社より発表されており、この日本語版Jiboが発売されて以降は、よりロボット事業に力を注いでいくことが想定される。auショップでは、現在スマートスピーカー「Google Home」の取り扱いも始めている。近いうちに「Jibo」もauショップに並んでいくことだろう。


講談社


講談社がロボット? と疑問に思う人も多いかもしれない。同社は、この春より、株式会社手塚プロダクション、株式会社NTTドコモ、富士ソフト株式会社、VAIO株式会社の4社と協力し、日本を代表するロボット・キャラクター「鉄腕アトム」を目指し、「ATOMプロジェクト」を開始した。その第一弾となったのが、「コミュニケーション・ロボット 鉄腕アトムを作ろう!」というパートワークの創刊である。これは、デアゴスティーニのロビと同じく、毎週届くパーツを組み立てていくことで、鉄腕アトムをもとにモデリングを行ったロボット=「ATOM」が完成するというものだ。「家族の一員」として、家族や友達の顔を認識して12人まで名前を覚え、会話を重ねることで成長していくといった機能を備えている。

4月4日に創刊されたこのパートワーク。特に年配のアトム世代は、自分でアトムを組み立てていることに喜びを覚えていることだろう。


バンダイ


株式会社バンダイは、バンダイナムコグループが取り組むIT エンターテインメントサービスブランド「BN Bot PROJECT」の第1弾商品として、「ガンシェルジュ ハロ」
を、2018年に発売するとの発表を行なった。「ガンシェルジュ ハロ」はアニメ『機動戦士ガンダム』の話題を語り合うことができる AI(人工知能)搭載の対話型コミュニケーションロボットだ。

この「機動戦士ガンダム」の内容に特化した会話AI開発に日本アイ・ビー・エムが、ハロ本体の機構・回路設計及び生産にVAIOが協力している。

本体サイズは直径約 19cm で、Wi-Fi を使いネットワークに接続することで会話をする。アニメ『機動戦士ガンダム』に関する質問やうんちく、クイズなどさまざまな会話が楽しめるという。

バンダイは過去にもハロをロボットとして発売してきた。ここに最新の対話技術が投入されて出来上がったのが、この「ガンシェルジュ ハロ」だ。バンダイは、「BN Bot PROJECT」を通じて、今後も新たなロボットを開発していくようだ。


東芝

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東芝が開発中の「Apripetit」

東芝はロボット「Apripetit(アプリプチ)」の開発・事業化を進めている。アプリプチは「片手で持ち運び可能なサイズのインタフェースロボット」。見守り・注意喚起をおこなう目的で開発されたため、どこでも役割を果たすことができるようにと、小型化(105mm × 100mm × 150mm)とバッテリー駆動を実現しているのが特徴の一つ。

「今後は、家庭での高齢者や子どもの見守り、家電機器とのインタフェース、及び公共施設や店舗での案内や監視などの応用を考え、実用化を進めます」と2013年にサイト内で説明しているが、販売情報が大手新聞に取り上げられたこともあり、近々発表される可能性も高い。


LINE


クラウドAIプラットフォーム「Clova」を開発し、同社のスマートスピーカーへの導入を進めているLINE。このClovaは、スマートスピーカー「WAVE」や今後発売していく「CHAMP」「FACE」などのラインナップにも導入されていく予定だ。

Clovaは、「Clova Interface」と「Clova Brain」という二つの要素で構成されている。人の耳や目のようにインプットをするのが「Clova Interface」、アウトプットを最適化していく「人間の頭脳」に当たる部分が「Clova Brain」だ。言語処理や言語理解、会話制御を中心とした会話エンジンが投入されており、これらは使えば使うほどシーンに最適化していく。

スマートスピーカーという、Amazon、Google、Appleなどの競合ひしめく分野で、LINEがどのような戦いをしていくのか、ロボット業界のみならず注目されていることだろう。

一方LINEは、このClovaの提供先であるハードウェアを他社との連携により、増やしていく方針だ。ソニーエージェントテクノロジーを搭載したスマートプロダクトを展開するソニーモバイルコミュニケーションズや、スマートトイの分野で市場を牽引するタカラトミーとの提携も発表している。



また、LINEは、バーチャルホームロボット「Gatebox」を展開するGateboxを買収し、傘下に納めた。Gateboxは、好きなキャラクターと一緒に暮らせる世界初のバーチャルホームロボット。最新のプロジェクション技術とセンシング技術を組み合わせることで、キャラクターをボックス内に呼び出してコミュニケーションをとることができる。

初回生産の300台の予約を開始すると、世界各国からの注文が相次ぎ、1ヶ月で予約分が売り切れてしまったという。価格は298,000円で、決して安い買い物ではないにも関わらずだ。このGateboxにもClovaが入っていく。

このように、今後も様々なハードウェアにClovaを導入していくためにLINEは提携を進めていくことだろう。競合ひしめく分野だからこそ、Clovaの成長は想像以上に早いのかもしれない。

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ロボットスタート株式会社

ロボットスタートはネット広告・ネットメディアに知見のあるメンバーが、AI・ロボティクス技術を活用して新しいサービスを生み出すために創業した会社です。 2014年の創業以来、コミュニケーションロボット・スマートスピーカー・AI音声アシスタント領域など一貫して音声領域を中心に事業を進めてきました。 わたしたちの得意分野を生かして、いままでに市場に存在していないサービスを自社開発し、世の中を良い方向に変えていきたいと考えています。

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