ソニーは来春「AIBO」で再参入。トヨタ、NTTなど「国内大手20社」のロボット事業の動向を一挙紹介 - (page 4)

デアゴスティーニ

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2013年に週刊ロビの創刊号を出版したデアゴスティーニ。その後、ロビは12万台以上も販売され、デアゴスティーニ史上最も大きな売り上げを残す商品となった。ロビの声優は、ピカチューやチョッパーの声優も務める大谷育江さん。ロボットデザインは高橋智隆さん。可愛らしい声と可愛らしいデザインにより、既存のロボットファンだけでなく、女性層にも支持された。

ロビは、中国・シンガポール・イタリアなどへの世界展開も始まっているが、同時にロビのライセンスビジネスも行っている。デザインに熱烈なファンが多いロビは、ロビの幼少期をイメージして作られたロビジュニアや、ロビと共に出かける気分を味わうことができる「ロビスマホ」など、派生商品も広がっているのだ。



そして、今年6月には、ロビの後継機となる「ロビ2」がついに創刊された。ロビ2には、ロビのデザインを引き継ぎながら、新たな技術がいくつも投入されている。パートワークにより、毎号組み立てると完成するというロボットの新しい体験を作り出したデアゴスティーニ。今後はロビ以外のロボットにもチャレンジをしていくことだろう。


富士ソフト

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コミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」

独立系のシステムインテグレーターである富士ソフトは、2010年に二足歩行ロボット「PALRO(パルロ)」を発表。全国の介護施設に導入されている。PALROは特に会話性能の高さやレクリエーションの多さなどが支持を集めている。発表後もアップデートを繰り返しながら、2015年12月には介護施設向けPALROの後継モデルも発表した。後継モデルでは、両手をまたぐ胸筋のような軸が導入されたことにより、腕を使ったより豊かな表現ができるようになった。

また、今年に入り、PALROのコンシューマーモデルを発表している。一般向けにもこのロボットを広めていきたい考えだ。


富士ソフトがハード・ソフト両面から支援をする、講談社の「ATOM」。富士ソフトは、PALROで培ってきた技術を、講談社のロボット「ATOM」にも提供している。

富士ソフトはロボットの開発だけでなく、ロボット技術者の育成にも力を注いでいる。中でも同社が毎年開催している「ロボット相撲」は、日本のみならず世界中から参加チームを集め、年々その規模を増している。

富士ソフトは今後も「PALRO」のアップデートやラインナップの拡充に力を注いでいくことだろう。他社のロボットも介護施設への導入を進めていくことが予想されるが、同社が培ってきた介護施設向けの知見は大きなアドバンテージになるはずだ。


ヤマハ発動機株式会社

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ヤマハ発動機は、車両運転ロボット「MOTOBOT」の開発を進めている。世界中でしのぎを削る「自動車の自動運転化」というアプローチではなく、乗り物本体の改造を必要としない「通常の車両を運転するロボット」というアプローチを取っているのが特徴だ。

ヤマハはMOTOBOTで、今年は最高時速200km/h以上のスピードを出してのサーキット走行を目指している。

MOTOBOTは、スピード・エンジン回転数・姿勢などの情報を元に、搭載した6つのアクチュエータ(ステアリング・アクセル・フロントブレーキ・リアブレーキ・クラッチ・シフトペダル)を操作・制御し、自律的な車両の運転操作を行う。

今後は自車位置を認識する技術や機械学習により、サーキットコースの最適ラインやマシン性能の限界をMOTOBOT自らが判断し、走行を重ねることでラップタイムを向上させていくことを目指している。これらにより、車両を操作・運転する人側の情報の可視化、およびそれに対する車両の挙動の関係性を解明し、より感動を与えられる車両開発に生かす狙いだ。


株式会社DMM.com

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DMM.make ROBOTSで販売されているコミュニケーションロボット「Palmi」

DMM.comは世界初のロボットキャリア事業「DMM.make ROBOTS」を2015年にスタート。ハードウェアを作るのではなく、各社のハードウェアを扱う「キャリア」としての地位を確立した。


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ユカイ工学のコミュニケーションロボット「BOCCO」

富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi」やユカイ工学の「BOCCO」、MJIの「Tapia」など複数のロボットをDMM.make ROBOTSのサイトで販売しているほか、イオンなどの実店舗を持つ小売業者と連携し販売網拡大を画策している。またDMMは昨年4月、PwCコンサルティングやハウステンボスと連携して年間来場者約310万人を誇るハウステンボスの敷地内でロボットの実証実験を行っていくという発表を行った。ハウステンボスがこの夏開始した「ロボットの王国」内でも、DMM.make ROBOTSのロボットを活用した取り組みを行っており、来場客からの意見を参考にロボットをより良いものへと進化させていきたい考えだ。

今後も、コミュニケーションだけではない、様々なロボットの販売を行っていくことに期待したい。


富士ゼロックス

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富士ゼロックスは、新商品開発プラットフォーム「Wemake」を通じて採択されたファシリテートロボット「ROX(ロックス)」の事業化を検討している段階だ。ROXは、会議中のアイディア出しを手助けするというコンセプトのロボットで、アイディアを出しやすい雰囲気作りや情報の提供など、あらゆる角度から会議を助けていく存在になることが期待されている。現在は社内で希望者を募り、部署をまたいだチームによって開発が行われているが、今後事業化を進めていく上では専任部隊が必要になる。事業化のタイミングはまだ不明だ。

ROXは現在、開発の初期段階といったところ。昨年の「Maker Faire Tokyo 2016」でモックアップが展示された。そのメーカーフェアでは、富士ゼロックスだけでなく数社のスタートアップ企業とともにブース出展をしており、ROXの開発を進める際にも、社内だけでなく社外と連携して進めていくことが想定される。


まとめ

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ロボットは、現段階では成功が難しい市場の一つと言える。なぜなら未だ誰も成功パターンを知らないからである。しかし、それでも大手企業がこぞってこの市場に参入しているのは、未来の世の中を見据えた上で、データを蓄積するために、知見を蓄積するために、”今”参入することが必要不可欠だと感じているからだろう。

この先9.7兆円まで拡大していくと言われるロボット市場。日本のロボットは特に海外でも注目度が高く、海外のメディアでもしばしば日本のロボットが紹介されているのを見かける。国内の市場だけで争うのではなく、海外市場も含めた展開を、各社に模索していってもらいたい。

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ロボットスタート株式会社

ロボットスタートはネット広告・ネットメディアに知見のあるメンバーが、AI・ロボティクス技術を活用して新しいサービスを生み出すために創業した会社です。 2014年の創業以来、コミュニケーションロボット・スマートスピーカー・AI音声アシスタント領域など一貫して音声領域を中心に事業を進めてきました。 わたしたちの得意分野を生かして、いままでに市場に存在していないサービスを自社開発し、世の中を良い方向に変えていきたいと考えています。

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