【動画あり】江ノ島の公道を走るSBドライブの自動運転バスに乗ってみた

江ノ島の公道を走る自動運転バス。セーリングワールドカップシリーズ 江ノ島大会の期間中(9/11~16)に、片瀬江ノ島駅近くのバス停と、大会の会場となる小田急ヨットクラブの間を走ります。一般の方も乗れるのですが、予約は約24時間で満席となったそうです。

江ノ島ヨットクラブの前を快走する自動運転バス

小田急電鉄と江ノ島電鉄が、神奈川県と連携して行う実証実験の一環で、自動運転バスはSBドライブと先進モビリティとの協力によって実現しています。小田急グループや神奈川県の取り組みや意気込みについて、その背景の詳細は別の記事「日本初、観光地の公道で自動運転バスが走る!江ノ島で小田急と江ノ電、SBドライブが実証実験を公開」をご覧ください。

そんなわけで、報道関係者向けに体験会が実施されたので、ロボスタも参加し、その自動運転バス第一号車に乗せてもらいました。
その様子は詳細に動画でお届けいたします(このページの末尾に!)。
10分の動画の解説を兼ねて、まずは今回の自動運転バスのポイントを解説していきましょう。「動画見ている時間ないよ」「ギガが足りないよ」という方も読んで頂くときっとタメになります!


自動運転バスの実証実験はどこまで進んでいる?

ソフトバンクグループのSBドライブは先進モビリティと協力して、自動運転バスやトラックの隊列走行を開発し、実証実験を積極的に行っています。自動運転バスについては既に沖縄の宜野湾や慶應義塾大学の敷地内等で自動運転の実験を繰り返し行っていて、実績も重ねています。

「トラックの隊列走行」とはこれ。1台めだけドライバーが乗り、後ろのトラックは自動運転でカルガモのように追尾するシステム。既に実証実験が行われている

更に今年の10月には、産総研とSBドライブの連携で茨城県日立市において「ひたちBRT」を中心にした自動運転バスの走行実験も行われる予定です。「BRT」というのはBus Rapid Transitの略称でバス高速輸送システム、いわばバス専用道のこと。バスしか走っていないのなら自動運転も比較的実現が早そう、という感じがしますね。(関連記事「SBドライブが産総研「自動走行小型バスによるラストマイル実証評価」(レベル3相当)に参画、茨城県日立市で一般の乗車体験も公募」)

そして今回はここ江ノ島で、小田急グループと実験を行いますが、こちらは公道。しかも「人やクルマが多い観光地」という意味においては「日本初」の実験ということになります。(その意味では六本木~大手町のZMPのロボタクシーの実験の凄さがわかりますね。関連記事「世界初!ZMPが公道で営業走行する「自動運転タクシーサービス」に自腹で乗ってみた」)

SBドライブの自動運転バスの特徴

SBドライブの発表によれば、地域でのバス会社の運営は165社中82%が赤字というから、かなり深刻です(国土交通省の2016年度発表に基づく)。
そこでSBドライブは「自動運転実用化に必要な2つの安全」を掲げています。ひとつは自動運転車として事故なく安全に運行すること。もうひとつは車内の乗客の安全を確保し、親切に案内もして、安心して乗ってもらうこと、としています。


そこでSBドライブでは、乗客の頭の動きを認識して、走行中に立ったり異常な動きをする乗客を検知したら、遠隔管理をしている担当者に自動で通知するシステムがあります。頭の動きを認識するシステムはAI技術で機械学習したものです。
今回の体験会ではその辺りもチェックしてみたいと思います。

運転席左横に大きなモニターが。車内を上から写したモノで、頭がカラーで塗られ、動きをシステムが確認しています。運転中に立ち上がるとAIがすぐに解ります



遠隔監視システムとは

ところで、遠隔監視や遠隔管理とはどういうことなのでしょうか。
遠隔監視をしている担当者はSBドライブ独自の遠隔監視システム「Dispatcher」を操作して、自動運転バスが通常通り運行できているか、車内で異常が起きていないかを確認することかできます。もちろん、バス1台に1人が監視していたら自動化にならないので、バス数台に対して1人の監視がつき、バスごとの異常の検知にはAIが活躍するというわけです。前回の記事で神奈川県の黒岩知事がコメントしていた、乗客の安全を管理できる体制というのはこのことを示しています。






車両を見てみよう

今回の自動運転バスは日野自動車のポンチョを改良した自動運転バスで、次のようなセンサーやハイテク機器を装備しています。


実際の走行車両の写真。前方にLiDAR(レーザーセンサー)が見える

車両の後方上部、側面と中央にもセンサーだらけ

今回は、バスの自動運転区間は主にシステムが自動で運転するものの、ドライバーが座席に座って一部の運転を引き継ぐ「レベル3」と呼ばれるものです。神奈川県と小田急は2020年の東京五輪までにここで「レベル4」(ドライバーなし運転)を実現したいと目標を語っています。

自動運転バスの運転席

ドライバーの方が乗った状態。今まではたいていSBドライブの2種免許を持ったドライバーが乗り込んでいましたが、今回は小田急バスの実際の運転手さんが乗ります

乗客席最後部。だいたい8人が乗れるようにセッティングされていました



いよいよ出発

レベル3ですが、今回は運行区間以外(バスのUターン場所など)はドライバーが運転します。そのほか、横断歩道では必ず停止し、そのあとの発車の操作はドライバーが操縦することになっています。また路駐している車がある場合もドライバーが担当します。これらは安全を考慮しての対応です。路駐と横断歩道は自動運転で動作して欲しいところですが、そこはステップ・バイ・ステップ。今後の進化に期待しましょう。
ところでZMPのロボタクシーを体験したときも最大の課題となるのは路駐しているクルマということでした。この日も警察官の方が路駐しているクルマを取り締まったり、声かけして減らすように頑張ってはいましたが・・。

向こうからこちらに向かって自動運転で走行してくるバス。反対車線はこの通り路駐のクルマだらけ。これが最大の課題

今回のコースでは自動運転バスの最高速度は30km/hです。
では、走行中の動画、自動運転バスの体験をご覧ください。

■ 江ノ島で公道を走るSBドライブの自動運転バスに乗ってみた

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ロボスタ編集部

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