フィンテック、VR/AR/MR、ドローン、最新分野の技術やサービスとのコラボレーションを模索 ソフトバンクイノベーションプログラム(2)

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ソフトバンクイノベーションプログラムとは、革新的なソリューションや技術を持つ企業から提案を募り、ソフトバンクが革新性や優位性があると認めた企業を選出して、プロトタイプの開発費用やテストマーケティング実施の環境などを提供、最終的にはプロダクトやサービスの商用化の実現を目指すプログラムだ。
募集は既に開始されていて、9月30日に締め切られる。


このプログラムは第2回めとなるが今回、新たに3つの部門、フィンテックVR/AR/MRドローンが追加された。いずれもこの数年で急速に注目されている最新技術であり、ソフトバンクはこれらのビジネス分野でもイノベーションを起こすべくパートナーを募集する。ソフトバンクの説明会から同社が考えるビジネスと、パートナーとして望む企業像を探りたい。




フィンテック

フィンテック」は、ファイナンスとテクノロジーを併せた造語で、金融、投資、銀行、財テクなどに導入するITシステムを主に指す。日本は海外諸国と比較して出遅れていて、2015年の日本のフィンテック関連企業への投資額は首位の米国の0.5%の規模にとどまっていて、中国と比較して30分の1、インドと比較すると25分の1の規模、そんなショッキングなニュースを最近、日本経済新聞が報じていた。ソフトバンクは出遅れているフィンテック市場に対して、ビックデータ/AIレンディング/InsurTech決済/バリューストアブロックチェーン等の角度から革新的なサービスを募集する。

フィンテック部門についてはソフトバンク株式会社 事業開発統括 事業開発本部 ⾦融事業企画部 部⻑ 柳瀬将良氏が登壇して解説を行った。
ソフトバンクは既に、1万円から投資が学べるスマホ証券「スマホ証券One Tap BUY」とパートナーシップを結んでいる(2016年3月に10億円投資)。「One Tap BUY」で取扱う銘柄はすべて1万円以上、1万円単位。気軽に株主になれて、少ないリスクではじめることも可能だ。

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従来、投資に手を出せなかったユーザー層を開拓できると期待されている。

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「One Tap BUY」ではこの画面の下部にある有名企業や有名ブランドの株を1万円から買えるようにすることで、フィンテック市場の裾野が広がり、盛り上がるとしている。

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スライドの下部には一般消費者もよく知っている有名なブランドや企業のロゴが並ぶ。これらの企業に1万円から投資できる

ソフトバンクが募集する具体的な例としては次のスライドのとおり。

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柳瀬氏によれば「ひとつめのポイントは「電子決済の普及」。
VISAの発表によると、日本で電子決済は個人消費のうち17%しか使われていない。電子決済を拡げればフィンテック市場は盛り上がると考えられる。

ふたつめのポイントは「バリューストア」。
言葉は聞き慣れないかもしれないが、従来はお金を預ける先は銀行口座が主だったが、最近は銀行口座以外でもお金を預けたり、引き出したり、送金できるしくみが増えている。身近では例えば、スターバックスのモバイルアプリケーション、iTunesやAmazonなどがあるが、ソフトバンクカードもお金をチャージできて、引き出しや送金もできるので、ソフトバンクカードと連携したしくみも考えていきたい。

3番目が「ビックデータ&ファイナンスAI」。
膨大なデータから分析、学習するシステムで、ロボアドバイザーなどに発展できると素晴らしい。

最後が「オンボーディング」。
銀行口座やクレジットカードを作ったり、金融サービスを利用したいと思っても、捺印して身分証明書を添付してマイナンバーを記入したりと、実書類のやりとりと手続きにとても手間がかかる。それらを簡略化し、スマートフォンだけで簡単に申込みできるようにして、金融サービスをすぐに利用できるしくみの実現と普及を目指したい」としている。



VR/AR/MR

VRバーチャル・リアリティ(仮想現実)の略称で、3D技術等を駆使したヘッドマウントディスプレイ(HMD)が急速に注目されている。VRは外界と隔絶された没入感が特長で、ARやMRとはその点が異なる。

ARオーギュメンテド・リアリティ(拡張現実)の略称で、実際の景色の映像にシステムが創り出す情報を合成すること。解りやすい例で言えば「Pokémon GO」(ポケモンGO)で、カメラで写した実際の景色の映像にポケモンが合成されてうごく画面は最もシンプルな一例だ。

MRミックスド・リアリティ(複合現実)は、実際の映像とシステムが生成した映像を合成して違和感なく見せる技術。センサーなどと連動して視界や視野に応じてシステム映像が変化して違和感なく見せる点でARとは異なる。

ソフトバンクイノベーションプログラムに話を戻そう。
ソフトバンクが掲げた「新30年ビジョン」では「体験による感動で人々を幸せにしたい」というテーマがある。Pepperなどのコミュニケーションロボットの誕生もそのひとつだが、それをVR等で実現していこうという組織がVR事業推進室となる。
VR事業推進室は今年6月に新設された組織で、プロダクト&マーケティング統括 サービスコンテンツ本部 VR事業推進室 室⻑ 加藤欽⼀氏が登壇してプログラムの説明を行った。

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スライドには「距離を超え、時を超えて、人と人をつなげる」と書かれているが、その意味について加藤氏はこう語った。「”距離を超え”の意味は、遠く離れたスタジアムで行われている野球の試合をVR技術を使えば、臨場感タップリに、まるでその場のいるかのような体験が可能になるのではないか、そして”時を超えて”とは家族で出かけた旅行を360度映像で残しておけば、数年後、数10年後もその時と同じ体験を再現することができるのではないか」と。

VRの主要テーマは下記のスライドにあるように多岐に渡る。YouTUBEやFacebookなどに代表される配信プラットフォーム、ヘッドマウントディスプレイ、画像処理技術と撮影技術、コントローラー、音響、ロボットが自分の代わりとなって動くテレプレゼンス、VR酔い止めなど8項目をあげた。

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なお、ソフトバンクはVR映像のライブストリーミング配信を行う会社「NextVR」に出資することを8月10日に発表している。こういった連携で実現できることを含め、法人ビジネスパートナー40万社、ソフトバンクショップ等3000店舗、約3200万回線を利用するコンシューマにリーチできる点が強みとして、プログラムのパートナーを募りたいとしている。

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ドローン

ドローンについては同社 法⼈事業統括 法⼈事業開発本部 事業企画室 担当課⻑ ⻄原和弘氏が解説した。
西原氏によれば「低空域と呼ばれる地上から上空150m未満を飛行するのがドローンであり、「空の産業革命」と呼ばれている。安全性が向上したことによって様々な分野での利用が急速に考えられるようになってきた」という。

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ソフトバンクは既に空撮・映像制作に最適なドローンを使った撮影キット「ドローンバンク」を発売し、7月には測量、太陽光パネルの点検など、利用シーンに最適なパッケージ展開をはかっている。

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ドローンのビジネスの展開先は例えば下記のスライドに明示したが、これに限らず、思いもよらない展開先を提案して欲しいとしている。
また、将来的にはドローンはインターネット通信に常時接続して用途が拡がっていくと考えている。7月に電波法が改正され、ドローンに携帯電話の技術を接続できるようになった。

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こういった背景から、多くの技術やソリューションの応募を待っているとのこと。
技術やソリューションをビジネスにつなげるソフトバンク・イノベーション・プログラム。
革新的なサービスの登場と迅速なビジネスの実現の可能性が拡がっている。

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ロボスタ編集部
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