ドコモ イベントライブ配信で高精度の翻訳字幕を表示 オンラインの自転車ロードレースで専門用語を加味した中国語翻訳

NTTドコモは、大分県佐伯市が2022年2月23日に主催したオンラインサイクリングイベント「バーチャル・ツール・ド・佐伯」のインターネット生配信で、リアルタイムで中国語(繁体字)の字幕を表示する翻訳ソリューションの実証実験を実施した。
この実証実験は、インバウンド需要の回復を見据え、自治体や企業の動画を使った海外向けPRのソリューションにするため、2022年度内の商用化に向けた翻訳精度ならびにシステムの有効性の検証を目的としている。(冒頭の画像はイメージ 素材提供:ROUVY)


翻訳はイベントに合わせてチューニング

既存のものでもインターネット生配信に翻訳字幕を表示する機能が見られるが、今回の実証実験で使用する翻訳ソリューションは、それらと比べて配信内容に合った文章の翻訳を表示できることが特徴(イベントに合わせて翻訳内容をチューニングしたもの)となっている。

今回のイベントは自転車のロードレースが対象なので、ドコモの事前のコメントによると「現時点で最高クラスの音声認識と翻訳の精度を持つエンジンをベースに使用しつつ、今回のイベント用に「プロトン」(ロードレースの際にレーサーが集団やグループになること)や「ハンガーノック」といったロードレース独特の用語や文章、観光名所や郷土料理名などをあらかじめエンジンに登録することで、海外のサイクリングファンにも満足いただける翻訳字幕を表示します」となっている。

また、会場で使用するマイクから直接音声を取り込むため、発話している人ごとに字幕を表示することも可能としている。

今後は、今回の実証実験の成果に、これまでドコモが音声翻訳アプリ「はなして翻訳」などの翻訳ソリューションで培ってきた音声翻訳のノウハウに加えて、日本語の音声を認識する際に難しいとされる、句読点などの文章を区切るタイミングを高い精度で判別できる技術や、会話の流れや文脈を反映した、より自然な翻訳を表示できる技術を採用して、翻訳のさらなる精度向上をめざしたい考えだ。

ディープラーニングなどの登場によって、翻訳精度が上がり、高精度な字幕などへの応用が加速している。対話技術など、コミュニケーションデバイスでの進化や採用の加速も期待したい。

「バーチャル・ツール・ド・佐伯」
サイクリングが盛んな街として知られる大分県佐伯市主催で、2月23日(水)に開催されたバーチャルロードレースアプリ「ROUVY」を使ったオンラインレースイベント。国内外から参加するレーサーは、実際に撮影した佐伯市の風景を合成したコースを走る。
特設イベント会場では、地元プロチームや人気自転車インフルエンサーがゲストライダーとして集うほか、実況・解説者がイベント形式でレースを盛り上げる。特設会場の模様はインターネットを使って国内のみならず「サイクリング大国」台湾にも中国語(繁体字)の字幕を付けて生配信された。

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ロボスタ編集部

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