NVIDIA、ソフトバンクが生成AIと5G / 6Gに向けた次世代プラットフォームの構築に向けて協業
NVIDIAとソフトバンクは、生成AIと5G(第5世代移動通信システム)/6G(第6世代移動通信システム)に向けた次世代プラットフォームの構築に向けて協業すると発表した。
このプラットフォームはNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipがベースになっており、ソフトバンクが今後構築する日本各地の新しい分散型AIデータセンターへの導入を予定している。
生成AIとワイヤレス通信向けのアプリケーションを提供するデータセンターを構築
生成AIのアプリケーションとサービスの急速かつ世界的な展開を推進するために、ソフトバンクはNVIDIAと協力の下、コスト削減が可能で、エネルギー効率の高いマルチテナントな共通サーバープラットフォームで生成AIとワイヤレス通信向けのアプリケーションを提供するデータセンターを構築する。
このプラットフォームでは、Arm NeoverseのGH200 Superchipをベースにした、新しいNVIDIA MGX リファレンスアーキテクチャーが使用され、アプリケーションのパフォーマンス、スケーラビリティーおよびリソースの利用率の改善が期待されている。
ソフトバンク株式会社の代表取締役社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏は「AIと共存する時代に入り、データ処理と電力の需要が急速に増加しています。ソフトバンクは、日本での超デジタル化社会を支えるために次世代社会インフラを提供します。ソフトバンクとNVIDIAとの協業により、RANの最適化を含め、AIを活用した設備パフォーマンスの向上を実現します。さらには消費電力の削減、さまざまな生成AIアプリの実装、リソースの共有のためのデータセンターの相互接続の実現を目指します」と述べている。
また、NVIDIAの創業者/CEOであるジェンスン フアン氏も「アクセラレーションコンピューティングと生成AIへの需要は、データセンターのアーキテクチャーを根本的に変える原動力となっています。NVIDIA Grace Hopperは、大規模な拡張性を持ち、生成AIの処理のために設計された革新的なコンピューティングプラットフォームです。これまでの先進的な取り組みと同様に、ソフトバンクは、生成AIをホストする通信ネットワークの構築に向け世界をリードしています」と述べている。
新しいデータセンターは、より均等に分散化され、AIと5Gの両方のワークロード処理の実現を目指す。これにより、低遅延でピーク時の運用を実現し、全体のエネルギーコストを大幅に削減することができるとしている。
業界トップクラスのスループットを実現する仮想RAN(vRAN)
NVIDIA Grace HopperとNVIDIA BlueField-3データプロセッシングユニットにより、特注のハードウェアアクセラレーションまたは専用の5G CPUを使わずに、ソフトウェアデファインドの5G vRANと生成AIアプリケーションを加速することができる。さらに、NVIDIA SpectrumイーサーネットスイッチとBlueField-3は、5G向けのきわめて精度の高いタイミングプロトコルを備えている。
このソリューションは、NVIDIAアクセラレーテッド1U MGXベースのサーバーデザインになっており、一般に利用可能なデータのダウンリンクスループットが5Gアクセラレーターで36Gbpsという、業界トップクラスの容量を達成。5G速度の性能限界を打破する。
事業者にとっては、業界標準のサーバーで、このような高さのダウンリンク容量を実現することがこれまでの大きな課題となっていた。
新しいリファレンスアーキテクチャー
NVIDIA MGXは、モジュール型のリファレンスアーキテクチャーであるため、システムメーカーやハイパースケールの顧客は、さまざまなAI、HPCおよびNVIDIA Omniverseアプリケーションに適した、100種類の異なったサーバーを迅速かつコスト効率よく構築することができるプラットフォームを導入することができる。
高性能で、ソフトウェアデファインドな、クラウドネイティブ5Gネットワーク向けのNVIDIA Aerialソフトウェアを組み込むことにより、これらの5G基地局を通じて、通信事業者は、コンピューティングリソースを動的に割り当てることができるようになり、競合他社の製品に比べて電力効率が2.5倍向上することが期待される。
Armの最高経営責任者であるレネ ハース(Rene Haas)氏は、「生成AIの未来は、NVIDIAのArm NeoverseベースGrace Hopper Superchipのようなハイパフォーマンスでエネルギー効率の優れたコンピューティングを必要としています。NVIDIA BlueField DPUとGrace Hopperを組み合わせることで、ソフトバンクは新しい5Gデータセンターで最も要求の厳しいコンピューティングとメモリー集約型のアプリケーションを実行し、ソフトウェアデファインド5GおよびAIに飛躍的な効率向上をもたらします」と述べている。