ロボット「こくり」と過ごしたらどんな変化があるか  NCTが特別支援学級を対象に効果検証を実施

日販コンピュータテクノロジイ(NCT)は、立上神明小学校(東京都品川区)の協力のもと、特別支援学級を対象とした効果検証を開始したことを発表した。児童たちがロボット「こくり」と一緒に過ごしたら、どんな変化や反応があるのかという検証を行なうことを目的としている。

こくりは、NCTが独自に開発したタブレット連動型のプログラミング教育向けロボット。専用のプログラミングソフト上で視覚的にプログラミングをすることで、こくりをしゃべらせたり動かしたりすることができる。こくりが何をすれば児童が興味を持つかを現場の教員から意見を集め、特別支援学級用アプリケーションを開発した。東京都プログラミング教育推進校に指定されている小学校でも利用されており、楽しみながら自然とプログラミング的思考の基礎である順列や並列の考え方を学習し、論理的思考力を養うことができる。

アプリケーションは、児童が「おはよう」「さようなら」と話しかけると返事をする「挨拶アプリケーション」、こくりがクイズを出して児童が答える「クイズアプリケーション」、こくりが「静かにしよう」「席に着いてね」など児童に適切な声掛けをする「声掛けアプリケーション」、こくりがランダムにヨガのポーズをタブレットに表示し児童が真似をして体幹を鍛える「体幹アプリケーション」の4つ。これらのアプリケーションは、簡単な設定でクイズの内容、言葉やタブレット表示内容などを変更することが可能。

検証を開始すると、児童たちが挨拶アプリケーションを利用し自発的にこくりに話しかけたり、熱心に耳を傾けクイズに答えたり、こくりが表示する体幹ポーズを真似したりする様子が目立ったという。また帰宅後は親子の会話の中でこくりが話題となり、児童たちにとって予想以上にこくりと過ごした時間が楽しかったという結果を出すことができたとNCTは述べている。

担当教員は今回の検証を受け、以下の感想を述べた。

担当教員の感想
「児童はこくりをとても気に入り、休み時間などにも積極的に自分から話しかけてあいさつしたり、クイズをしたりしていました。中にはすぐに操作方法を覚え、あっという間にひとりで扱えるようになった児童もいました。やはり支援学級の児童には、機器の見た目や扱いやすさが肝であると感じました。アプリの内容等については、児童の発達段階や個別の課題に合わせて柔軟な設定が可能であり、教師側の意図で各教科、領域について様々な工夫ができそうです。また発達段階の進んでいる児童は、自分でプログラミングを行うことも十分可能ではないかと思います。」

NCTは、今回の検証結果と教員からの感想を受け、現在のアプリケーションをより使いやすく改善していくとともに、特別支援学級で実用的な利用ができるロボットアプリケーションの開発を進め、引き続き上神明小学校の協力のもと効果検証を行っていく。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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