総務省が推進する「ローカル5G」(キャリー5G)ってなに? 住友商事らが高周波数帯域28GHz帯の実験実験へ
超高速かつ大容量の通信を実現する次世代通信技術「5G」(第5世代移動通信システム)。
IoTの普及や自動運転、遠隔診療の実用化などに必要不可欠な技術としても期待されている。
工場や建設現場、商業施設、学校のキャンパス等、比較的小規模な範囲のために5Gの通信環境を構築し、運用することを「ローカル5G」と呼ぶ。NTTドコモでは可搬型のローカル5G基地局を「キャリー5G」と呼んでいる。地域や産業分野の個別ニーズに合わせたり、地域ごとの課題にきめ細かく対応できるとされている。
住友商事株式会社は、総務省より「5G」の実験試験局免許を取得し、本年から制度化が予定されているローカル5Gを活用した国内初の屋内外実証実験を行うことを6月21日に発表した。
ローカル5Gを総務省が推進
総務省は一般企業も限られたエリアで周波数の割当を受け、5Gを自営無線として利用でき、現時点では4.5GHz帯の200MHz幅(4.6-4.8GHz)と28GHz帯の900MHz幅(28.2-29.1GHz)をローカル5Gで使えるようにすることを計画しており、同社はローカル5Gの普及を見据え、総務省、ケーブルテレビ業界、住友商事グループ会社などの協力のもと、ローカル5Gの導入が予定されている高周波数帯域28GHz帯(28.2GHz~28.3GHz)を利用した実証実験を行うとしている。
なお、同社の今回の取り組みは、住友商事グループの掲げる『社会とともに持続的に成長するための6つのマテリアリティ(重要課題)』を、事業戦略の策定や個々のビジネスの意思決定プロセスにおける重要な要素と位置付け、事業活動を通じて課題を解決することで持続的な成長を図っていくものの一環であり、特に「地域と産業の発展への貢献」「快適で心躍る暮らしの基盤づくり」「多様なアクセスの構築」に資する事業となっている。
4K/8K映像の無線通信伝送実験も予定
実証実験では、通信距離の変化や建物などの障害物の有無、気象環境の変化が無線通信に及ぼす影響を屋内外で検証する。また、ローカル5Gの実際のユースケースを想定した実験として、総務省からの業務請負により、株式会社ジュピターテレコム、株式会社愛媛CATVなどと共同で、ケーブルテレビの既存インフラとローカル5Gシステムを組み合わせた環境での超高精細映像(4K/8K)の無線通信伝送実験を行う。さらに、住友商事マシネックス株式会社などと共同で、工場向けを想定した高精細映像リモート監視や、テレワークでのVR会議など、近未来の5G活用を想定した実証実に取り組む予定だ。
同社は、実証実験を通してローカル5Gの知見・ノウハウを蓄積し、住友商事グループでのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すると同時に、ローカル5Gを活用し、住友商事グループならではの総合力を活かした次世代ビジネスの創出を目指すとともに、地方創生とSociety5.0に寄与する5G基盤の利活用可能性を検証していくと述べている。
一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟、一般社団法人日本ケーブルラボ、株式会社ジュピターテレコム、住友商事マシネックス株式会社、株式会社愛媛CATV、株式会社インターネットイニシアティブ、AGC株式会社、国立研究開発法人情報通信研究機構、サムスン電子ジャパン株式会社、株式会社三技協、株式会社ネクストジェン、株式会社地域ワイヤレスジャパン、伊藤工機株式会社、テレキューブ株式会社、富士通ネットワークソリューションズ株式会社、株式会社ハコスコ
住友商事株式会社
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。