AIが来店客にあわせて最適な販促コンテンツを表示 一般的な陳列棚に装着可能なデジタルサイネージ リコーとタナックス共同開発

株式会社TANA-X(以下、タナックス)と株式会社リコーは、複数のシェルフ・サイネージ(店頭の棚向けのデジタルサイネージ)をIoTセンサやAIで統合制御し、来店客の属性に合わせて最適な販促コンテンツを表示するシステム「コネクテッドシェルフ」(Connected Shelf)を共同開発したことを発表した。

ひと言でいえば、商品棚付近にいる来店客の属性(男性・女性、若者・中年・高齢者など)を認識し、それに合わせて、最適なCMコンテンツを画面上に表示できるシステム。

「コネクテッドシェルフ」は店舗内の陳列棚として一般的な「ゴンドラ什器」(システム什器)の棚板などに取り付けることができる。タナックスは今後、実店舗での実証実験を予定していて、2020年12月頃の本格展開を目指す。


年齢や性別など来客の属性に合わせて最適な販促コンテンツを表示

「コネクテッドシェルフ」は、距離センサを利用した来客滞留モジュールと、カメラ、AIが連動する。来客属性モジュールなどのセンサモジュールで取得したデータに基づき、商品棚に設置した複数のシェルフ・サイネージを連動させることで、最適な販促コンテンツをダイナミックに表示する。取得した来客の滞留情報や属性情報、購買行動、閲覧・表示コンテンツ種類などのデータはログとして記録され、マーケティングに活用することができる。また、既存の商品棚に搭載できるため、導入の手間やコストも抑えられる。現時点では来客滞留モジュール、来客属性モジュールが利用可能。


一番上のモニターが「コネクテッドシェルフ」。各陳列棚に取り付けられたのが「コネクテッドシェルフ」と連動する「シェルフ・サイネージ」

左:年齢や性別などの来客の属性に合わせて最適なコンテンツを表示し、ダイナミックに売り場を演出。右:タナックス運営の「DRUG STORE Live」店舗内にて、実証実験を開始。

デジタルサイネージ事業を手掛けるリコーは、クラウド型サイネージ配信サービス「RICOH Digital Signage」(リコーデジタルサイネージ)をベースに、カメラとAIを使った画像認識によるインタラクティブな販促コンテンツ切り替えや、複数のセットトップボックス(映像受信機器)の同期などを統合的に管理するCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)といったシェルフ型サイネージ向け機能を開発・提供している。

【コネクテッドシェルフ紹介動画】 

「コネクテッドシェルフ」はタナックスの京都本社1F「DRUG STORE Live」店舗内および東京支店のショールームに設置され、体験することができる。


2020年12月頃に本格導入を目指す

近年、IoTやAIの最新技術が生活やビジネスに大きな変革をもたらしつつある中、小売店舗においても在庫・発注管理、ダイナミックプライシングなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいる。タナックスは主要事業の1つであるセールスプロモーション(SP)事業において、売り場演出と効果的な陳列棚づくりの追求のために「Smart-SP」をコンセプトに店頭ディスプレイやPOP、消費者の購買行動分析、映像プロモーションなど、従来の販促サービスをデジタル技術により拡張する試みを続けている。その新たな一歩となるのが、「コネクテッドシェルフ」。

新型コロナウイルス感染拡大で国内小売店舗の営業にも深刻な影響を及ぼしている状況だが、「コネクテッドシェルフ」は販売員の対面接客をサイネージで代替できるため、ウイルス感染リスクの軽減も期待できるとする。タナックスは今後、実店舗での実証実験を行い、2020年末頃の本格導入を目指す。


コネクテッドシェルフの主な特徴


1.来客属性や棚前状況に合わせてコンテンツ表示を自動切り替え

カメラやAI等と連動した専用のセンサモジュールを使用することで、商品前の来客の滞留情報、属性情報を取得して、商品棚前の状況に合わせたコンテンツの出し分けを自動化することができる。センサモジュールの種類を増やすことで、さまざまなインタラクティブコンテンツの店頭展開が可能。さらに、センサモジュールで取得した来客の滞留情報や属性情報、購買行動、閲覧・表示コンテンツ種類などのデータをログ記録し、マーケティングに活用できる。(現時点では来客滞留モジュール、来客属性モジュールが利用可能)


2.複数のサイネージを1つの画面として使用するシンクロ・モード

商品棚に設置されたシェルフ・サイネージなどの複数の画面を1つの画面としてコンテンツを表示する「シンクロ・モード」を標準搭載。


3.取得データに対応したきめ細かなコンテンツ配信もCMSで統合管理

リコーのクラウド型サイネージ配信サービス「リコーデジタルサイネージ」をベースに開発した専用のCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)により、コンテンツの一元管理機能に加え、センサモジュールで取得したデータを活用したインタラクティブなコンテンツ出し分け配信機能もCMSに統合。地域・店舗別・時間でデータに基づいたコンテンツ配信を行うことができる。


4.既存什器を利用した取り付けが可能

店舗内の陳列棚として一般的な、ゴンドラ什器(システム什器)の棚板などに取り付け可能。既存の店舗什器を入れ替えることなく利用することができるので、経済的。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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