筋ジス患者が視線でドローンを操作 Switchの障害者用コントローラ技術をドローンに応用 メディア向けテストフライト開催へ

障害者向けサービス研究開発を行う株式会社シアンと、肢体不自由者向け入力機器の企画・開発・販売を行うテクノツール株式会社、筋ジストロフィー患者である梶山紘平氏は、合同で、電動車いす上から、右頬に設置したスイッチと視線入力による操縦で200g以上の機体の飛行を行う「ドローン アクセシビリティ プロジェクト」を実施し、成功した。

Nintendo Switch公式の障害者向けコントローラー「Flex Controller」の開発監修を担当したテクノツールが長年培ってきた入力に関するノウハウを活用しドローンのコントロールシステムに応用、技術連携している。

2022年5月19日(木)にメディアおよびドローンメーカー関係者を対象とした公開テストフライトを開催することを同年4月19日に発表した。(4月19日現在、ドローンのなかでも200g以上の機体は「無人航空機」に該当し、航空法が適用される。)

同プロジェクトではいわゆる「寝たきり」の状態にある、重度肢体不自由を抱える梶山氏が操縦することで、ドローンがもたらす新たな可能性を発信し、将来的には重度肢体不自由者が一人ひとりに適した方法で安全にドローンを飛ばして楽しむことはもちろん、インフラ点検や配達といった業務に従事できるようにすることを目指している。

なお、同プロジェクトチームは2024年の事業化に向けて、実用化開発への協力に関心のあるドローンメーカーや希少疾患に関連するヘルスケア企業等を募集している。


■【動画】【ドローン・アクセシビリティプロジェクト】




テストフライトの詳細

同テストフライトで使用する視線入力機器での飛行は、ドローンを係留して十分な安全対策を施した上で実施。テクノツールが四半世紀にわたり積み重ねてきた難病患者等に対する入力支援技術を用いて、筋ジストロフィーにより身体機能に大きな制限を抱える梶山紘平氏が、わずかに動かせる頬や目(眼球運動)を使って200g以上の機体を飛ばす様子を見ることができる。
現場の安全管理、運用はこれまでドローンによるバーチャルツアー等を運用してきたシアンが担当し、シアン湘南研究所(湘南アイパーク敷地内)を使用。テストフライト後には3名の車いすユーザーを含む関係者によるインタビューセッションを行い、同プロジェクトの目的や今後の展望について話す予定だ。
なお、公開テストフライトの参加者はメディアおよびドローンメーカーの関係者に限定となっている。また、会場の湘南ヘルスイノベーションパーク(通称:湘南アイパーク)では事前の入場登録が必要となり、来場希望者は下記フォームより申込みを行う必要がある。


テストフライト実施概要
開催日 2022年5月19日(木) ※荒天の場合は5月26日(木)に実施。
会場名 湘南ヘルスイノベーションパーク(通称:湘南アイパーク)
アクセス 〒251-8555 神奈川県藤沢市村岡東二丁目26番地1
JR大船駅よりバスで約15分、JR藤沢駅よりバスで約15分
申し込み方法 申込みフォームより5月17日(火)までに申込みが必要。
※参加者はメディアおよびドローンメーカーの関係者に限定されている。
タイムテーブル ■13:30~14:00:受付開始 (場所:屋外)
■14:00~14:30:テストフライト (場所:屋外)/内容:梶山氏がドローンを飛ばす様子、使用するコントロールシステム(試作品)をご覧いただけます。2回自実施予定。
■14:30~15:00:休憩(移動) (場所:会議室)
■15:00~15:30:インタビューセッション (場所:会議室)/内容:3名の車椅子ユーザーを含むプロジェクトメンバーが、目的や経緯、今後の展望などをお話します。
■15:30:終了 ※質疑応答の進行次第で延長いたします。



インタビューセッション登壇者

▼本間 一秀 氏(テクノツール株式会社 ソフト開発部)

特別支援学校を卒業後、独学でプログラミングを習得し、1999年にテクノツールに入社。以来さまざまな商品の開発に携わる。同プロジェクトではドローンコントロールシステムの開発を担当。

▼中野 政勝 氏(株式会社シアン 社会貢献担当)

シアンソーシャルグッドマネージャーとして車椅子ユーザーの視点を活かし社会貢献度の高い業務に従事している。シアンには副業として勤務してお勤め、障害者の新しい働き方も提言している。

▼梶山紘平 氏(テクノツール株式会社 ソフト開発部)

筋ジストロフィーを患いながら、東京都で介護制度などの社会資源を活用し、在宅にて一人暮らしを10年継続中。介護者の日程調整や余暇活動などコミュニケーションはすべて視線入力で行う。



プロジェクトチームの紹介
株式会社シアン 株式会社シアンは2018年創業以来、一貫して障害者/高齢者向けのQOL向上バーチャルツアーを提供してきました。近年では認知症患者様のQOL向上を目指したバーチャルツアーの開発にも携わっています。その活動の中で「障害者がバーチャルツアーを提供する側に」といったコンセプトを2019年から温めてまいりました。今回これまで弊社が現場で培ってきた知見を活かし障害者テクノロジーを活用し社会参加できる未来を目指して本プロジェクトを推進しています。
テクノツール株式会社 テクノツール株式会社は1994年創業以来、PCやスマートフォン等への入力操作をアシストすることにより、肢体不自由者の働く、学ぶ、遊ぶなど様々な場面における自己実現や社会参加を後押してきました。近年ではテレビゲームの操作支援も手掛けており、Nintendo Switch公式の障害者向けコントローラー「Flex Controller」の開発監修および販売も担当しています。長年培ってきた入力に関するノウハウを活用しドローンのコントロールシステムを開発しています。
梶山紘平 氏 ※インタビューセッション登壇者の紹介欄参照


【湘南アイパークとは】
同施設は、2018年4月、武田薬品工業株式会社が湘南研究所を開放することにより設立された、企業発のサイエンスパークだ。製薬企業のみならず、次世代医療、AI、ベンチャーキャピタル、行政など、幅広い業種や規模の産官学が結集し、エコシステムを形成することで、ヘルスイノベーションを加速する場となることを目指している施設となっている。
湘南ヘルスイノベーションパーク:https://www.shonan-health-innovation-park.com/

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ロボスタ編集部

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