高萩市と茨城交通株式会社は、2022年10月1日より茨城県高萩市内において”呼出型最適経路バス”「MyRideのるる」の本格運行を開始すると発表した。これは、市民代表、交通事業者、関係団体等から構成される高萩市地域公共交通会議(2022年8月2日開催)での合意を受けたもの。
“呼出型最適経路バス”とは、AIを利用して、利用者からのリクエストに合わせ、バスの運行経路とダイヤを最適化して運行するしくみ。バス停は既存のバス停96箇所のほかに、仮想バス停141箇所を設置し、合計237箇所のバス停から乗客は乗降場所を選択することができる。朝と夕方~夜は「定時定路線バス」、日中は「呼出型最適経路バス」に切り替えて運行する予定だ。
「のるる」は、2021年7月に実証運行を開始し、段階的にバス停数及び車両台数の拡大を実施してきた。この1年間の実証運行では、これまで多くの乗客が利用し、「便利になった」との声が寄せられた。
実際、この数カ月では以前の定時定路線バス以上の利用者数となり、利用者数は導入前の1.3倍に達した。こうした実証運行の結果を踏まえ、本格運行へ移行することを決定した。また、高萩市と茨城交通は、本格運行に関する協定を締結し、両者が協力して継続的な利用促進に取り組む。
呼出型最適経路バスとは? 特徴と導入目的
呼出型最適経路バスとは、AI(人工知能技術)を利用して、利用者からのリクエストに合わせてバスの運行経路とダイヤを最適化して運行するもの。既存の標柱バス停に加えて、システムの地図上に数多くの”仮想バス停”(バーチャルバス停=VBS)をきめ細かく設定している(例:バス停は237箇所、既存バス停96箇所、仮想バス停141箇所)。
利用希望者が専用アプリ「MyRideのるる」や電話で希望する出発地と目的地をリクエストすると、他の乗客の予約内容や道路混雑状況等に合わせて、AIが最適な運行経路とスケジュール(ダイヤ)を生成する。
サービス設計の特徴
本サービスにより、利用者は次のメリットを享受することができます。
●多数の仮想バス停を設定することで、既存バス停よりも希望場所に近い場所で乗降ができます。
●運行時間帯(概ね8:30~15:00)内であれば、利用したいときにバスを呼び出せます。
●利用者はアプリ画面で、乗車するバス停までのルート案内や、乗車する車両の現在位置・バス停予定到着時刻、車両情報(ナンバープレート等)を確認できます。
●乗車後は、車両の現在位置と目的地までの経路と予定到着時刻が表示されます。
定時定路線バスと呼出型最適経路バスを併用
従来の定時定路線のバスは、運行経路・乗降場所・ダイヤが決まっているため、通勤や通学等で大勢の利用者が毎日決まった時間に同じ目的地へ移動する需要に適している。一方、呼出型最適経路バスは、出発地と目的地が異なる多様な移動需要に適したサービス。
高萩市では、朝と夕方~夜は定時定路線バス、日中は呼出型最適経路バスに切り替えて運行することで、ユーザーのニーズに即し、利便性を向上させている。
運行事業者としても運転士1日あたりの乗客数が増えることで生産性が向上し、地域路線バスの持続可能性を高めることにもつながるという。
実証運行期間の取り組み
実証運行では、利用者の利便性向上と利用者数の拡大を目的に、高萩市と茨城交通が協力して、各種プロモーションの実施やサービス水準の向上に努めた。
実証運行での成果
実証運行開始以降、サービスの周知と新規利用者の獲得に努めたことにより、登録者数及び利用者数は徐々に増加してきた。また、このサービスの利便性を享受できるアプリの利用方法の周知に努めたことで高齢者のアプリ利用割合も増加傾向にあるという。
その結果として、利用者の外出機会の増加にも寄与するなど、のるるは高萩市内における日中の日常的な交通手段として定着しつつある。
本格運行の内容
本格運行ではこれまでの運行内容を継続する。
●運行開始日:2022年10月1日(土)
●道路運送法上の区分:一般乗合旅客自動車運送事業
●運行エリア:高萩市内 常盤自動車道以東エリア
●バス停: 237箇所(既存バス停96箇所、仮想バス停141箇所)
●車両数:中型バス平日4台・土日祝2台
●運行日:毎日
●運行時間帯:概ね8:30~15:00(土日祝は概ね9:00~14:00)
●予約方法:専用アプリ(スマートフォン)での予約/電話予約
●対象利用者:どなたでもご利用可能
●運賃:1乗車大人300円、小人150円
※高萩市内在住の満65歳以上を対象にした市の運賃半額助成制度あり。
●支払い方法:降車時に現金もしくは「でんてつハイカード」で支払う
※高萩市内の定時定路線定期券(片道定期券を除く)を持つ人は、定期券区間外でも降車時の提示で利用可能