株式会社エクサウィザーズと、ロイヤルホスト・天丼てんや等の外食事業を展開するロイヤルホールディングス株式会社は「調理AI」の開発で協業することを発表した。AI技術を用いた飲食業における新たな顧客体験創造に向けた協業で、｢食｣×｢ホスピタリティ｣×「テクノロジー」による最初の取り組みとして、まずは天ぷらの調理において、衣の形状や適切な揚げタイミングの判定等を可能にする「調理AI」を開発する。
AIが天ぷらの調理のマスターに挑戦
AIを導入するのは天ぷらの調理工程。天ぷらは、食材の大きさや形によって毎回異なる調理音や油の温度等、複数の要因を瞬時に判断しながら、熟練かつ繊細な技術を要するものだという。そのため、従来のAI・ロボット技術で解析・再現することが難しいと考えられていた。
エクサウィザーズは、AIプラットフォーム「exaBase」を基軸に、年間250件以上のAI/DXプロジェクトを行っているという。AIを用いた熟練技能の可視化・継承支援サービス「exaBase スキルトランスファー」では、これらの取り組みにより得た経験・ノウハウ・技術アセットを活かし、さまざまな熟練技能を解析・再現するためのデータ・プロセスの構想設計から、データ収集および前処理、可視化・自動化までをワンストップで提供する。
ロイヤルホールディングスはこれまで、2021年に創業50周年を迎えたファミリーレストラン「ロイヤルホスト」や、日本の伝統的な食文化である天ぷらの大衆化をコンセプトにした「天丼てんや」など、質の高い“食”＆“ホスピタリティ”を追求したさまざまな飲食事業を展開してきた。
ロイヤルホールディングスは、エクサウィザーズのAIを利活用した課題解決や事業開発における高い技術力と豊富な経験を評価し、質の高い“食”＆“ホスピタリティ”の提供を通じた飲食事業展開において実績のあるロイヤルホールディングスの強みとを掛け合わせることで、顧客がこれまでにない”楽しみ”や”ワクワク感”などの新たな価値を感じることのできる事業開発を行うため、このたび協業に至ったという。
開発の流れ
１.データ収集基盤の構築
天ぷら調理における技術の可視化・自動化に向け必要となるデータ・プロセスを設計し、分析を行う上で必要となるセンサーや取得すべきデータ形式などを定義する。その上で、温度計や指向性マイク、HDカメラを用いて得た天ぷらを揚げる際の複数系統かつ時系列データを扱うための前処理を行いながら明示化されていない作業単位の切り出し等を行うことでデータ収集基盤を構築する。
２.データ解析および調理AIの開発
温度や音声、動画像などのマルチモーダルデータを元に多数のアルゴリズムを用いて、美味しく見た目も良い天ぷら調理を行うために寄与度の高い因子を特定しAIに学習させることで、衣の形状や適切な揚げタイミングの判定等を可能にする調理AIを開発する。
exaBaseのロボット向けAIソリューション「exaBase ロボティクス」ではこれまで、盛り付けという言語化できないデザインセンスをAIに学習させることで、ミシュラン2つ星シェフの熟練技能を再現した世界初のパンケーキ盛り付けAIロボットの開発に成功している。
この取り組みでは、それらの経験・ノウハウ・技術アセットを活かすことで、熟練かつ繊細な技術を要する調理を自動で行うAI調理ロボットの開発なども視野に、AI技術を用いた飲食業における新たな顧客体験創造の実現を目指すとしている。
「exaBase スキルトランスファー」とは
AIプラットフォーム「exaBase」を通じて熟練技能者におけるスキルやノウハウの型式知化・データの可視化に取り組んできた経験・ノウハウを集約した熟練技能の可視化・継承支援サービス。
最終的な熟練作業の可視化や自動化を見据え、必要となるデータやプロセスの構想設計からデータ収集および前処理、可視化までをワンストップで提供する。これにより、評価の仕方や評価指標に対する属人性があった工程の平準化を可能にする。
サイトURL：https://event.exawizards.com/misc/2022108
「exaBase ロボティクス」とは
AIプラットフォーム「exaBase」のロボット向けAIとして、対象物の画像データ、現場機器・ロボット制御データやシミュレータ生成データ等、様々なマルチモーダルデータを活用して工程の自動化・最適化を可能にするロボットAIソリューション。単純作業の代替や熟練者の動作再現等、様々なシーンで活用することができる。
サイトURL：https://exawizards.com/exabase/robotics/
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