軍艦島閉山から50年、初のバーチャル写真展『渋谷軍艦島展』開催 写真家 佐藤氏の撮影による高精細3D映像で再現

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  • 軍艦島閉山から50年、初のバーチャル写真展『渋谷軍艦島展』開催 写真家 佐藤氏の撮影による高精細3D映像で再現
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軍艦島(長崎県端島炭鉱跡)が渋谷にやってきた。
昨年、長崎県の軍艦島を訪れた。上陸船の予約をしていたが、残念ながら当日は悪天候。横殴りのみぞれ雪と時化のため、島に近寄ることすらできず、陸地から遠くに見える軍艦島を眺めて帰路についた。

悪天候の先にうっすらと見える軍艦島。上陸は叶わなかった(著者撮影)

軍艦島は長崎港から南西約18kmの海上に浮かぶ無人島だ。年間で29万人が訪れる。しかし、近年では劣化の進行が著しく、文化遺産の保全や修復、観光などへの利活用は地方自治体にとって大きな課題となっている。
しかし、著者のように天候や規制などによって上陸できない人も多い。また、上陸しても島の約9割が立ち入り禁止エリアで、見学することはできない。そんな軍艦島が今までに無い高精細な3Dデータによって再現され、バーチャル軍艦島写真『渋谷軍艦島展』として渋谷道玄坂にやってきた。

元データの写真は写真家 佐藤健寿氏によるもの。展示開催期間は1月15日(月)までと短期間だ。


3Dで再現された軍艦島内。中央奥に見えるのが地獄段

なお、長崎にも「軍艦島デジタルミュージアム」があり、VR体験が可能だが、今回の『渋谷軍艦島展』の3Dデータはより高精細でフォトリアリスティックに仕上がっているという。
■3Dバーチャル写真展『渋谷軍艦島展』開催


世界遺産をはじめとする貴重な自然や文化を3Dデータ化

世界遺産や貴重な自然や文化を3Dデータ化して保存し、さまざまな企業・団体とともにそのデータを活用することで、保全活動に還元していくプロジェクト「HERITAGE DATABANK(ヘリテージ・データバンク)」が始動した。
その第一弾のイベントが、長崎市と連携した実証実験「渋谷軍艦島展実行委員会」(HERITAGE DATABANK / 長崎市)だ。共同制作した軍艦島全土の3Dデータを利用し、写真家・佐藤健寿氏によって撮影された世界初の軍艦島「バーチャル」フォトグラフィー展示を行うのが『渋谷軍艦島展』だ(佐藤氏が撮影した実際の写真の展示はない)。

初日の1月11日にメディア向け内覧会が開催された。左からHERITAGE DATABANKのメンバー小西慶氏、家泉洋平氏、長崎市 世界遺産室長 栗脇善朗氏

HERITAGE DATABANKは、重要な文化財や自然を高精細な3Dデータとして残し、それをエンタメや観光、教育などで活用していくことを目指す。

なお、この展示は、2024年1月11日(木)から「軍艦島閉山50年」を迎える1月15日(月)までの期間限定で、渋谷文化村通りのハビウル渋谷、入場は無料。

『渋谷軍艦島展』 コンテンツ

会場のハビウル渋谷は細長い建物。各階の展示スペースは広くなく限られているが、エレベータがあるので車椅子やベビーカー連れでも見学できそうだ。4階の各階でコンテンツごとに分かれている。

1F プロジェクト概要(展示)

1Fは主にコンセプトの紹介。新しい世界遺産保全を目指す「HERITAGE DATABANK」プロジェクトと渋谷軍艦島展の概要を展示している。



2F 軍艦島建築解剖展(展示)

軍艦島に現存する歴史的な建築群の一棟一棟を、3Dデータならではの表現によってデジタルアーカイブ。日本最古の鉄筋コンクリートアパートをはじめ、劣化が進む軍艦島の「今」を様々な角度から記録したものを展示している。



3F 佐藤健寿氏 バーチャル軍艦島写真展(展示)

写真家・佐藤健寿氏によって撮影された世界初のバーチャル軍艦島写真の展示。バーチャル写真の利点は実施して際のカメラでは撮影できない角度や斜光を使った風景が撮影できること。現実世界では機材が置けない、アングルが切れないなど、撮影不可能なバーチャルならではの軍艦島写真が展示されている。

一見、リアル写真に見えるが、3Dデータから生成した画像を印刷したもの。3D画像ならではのアングルでリアルに再現されている画像もある

撮影した佐藤氏は「過去に何度か上陸した軍艦島に、今回は全く新しい方法で「上陸」した。廃墟となった荘厳なビルの隙間から溢れる光、時間の移ろいで変わる島の独特の陰影。画面を見つめながら島を「歩く」うち、島の記憶がフラッシュバックして、眼前のリアルな光景に没入した。それは懐かしくもあり、同時に新しい、未知の体験だった」とコメントしている。

荘厳な姿を今も残す軍艦島。これも3D再現データだが、海面ギリギリからのアングルでの撮影は実際にはできないという


4F バーチャル軍艦島 撮影・探索コンテンツ(体験)

佐藤健寿氏が撮影したバーチャル軍艦島のコンテンツを活用し、ゲームコントローラを使って、入場禁止区域を含めて、3D軍艦島の中を隅々まで、あらゆる角度で体験できる。

コントローラを使って、3D軍艦島の全域に入る体験ができる。画面は日本最古のコンクリート建築と言われているもの

また、軍艦島の立入禁止区域に足を踏み入れて、自分だけの軍艦島をバーチャル写真でプレントアウトして記録することもできる。


軍艦島(端島)とは
長崎港から南西約18kmの海上に浮かぶ無人島・軍艦島。
かつては海底炭鉱の島として栄え、良質な石炭によって日本の近代化を支えていた。1960年代には5,000人以上もの人々が暮らし、埋め立てによる島の拡張や日本初の鉄筋コンクリート造による高層アパートの建築など、小さな島に当時の先端技術が集められていた。
しかし1974年、炭鉱が閉山をむかえると同時に無人島に。以来、建物は朽ち果て、現在進行形で劣化を続けている。2015年には「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の一つとして端島炭坑が世界文化遺産に登録されたが、地理的・技術的理由からその保全は困難を極めている。
現在、上陸見学ツアーはあるものの、島の9割が立入禁止エリアであり、海上の天候によっては上陸不可な日も多く発生しており、アクセスは容易ではない。


『佐藤健寿氏』 プロフィール
世界各地の“奇妙なもの”を対象に、博物学的・美学的視点から撮影。著書に写真集『奇界遺産』シリーズ、『THE ISLAND – 軍艦島』ほか。TBS系「クレイジージャーニー」ほか出演。写真展は過去長崎グラバー園、ライカギャラリー東京/京都、群馬県立館林美術館などで開催。


『渋谷軍艦島展』イベント概要
■イベント名︓渋谷軍艦島展
■開催場所︓ハビウル渋谷
■イベント期間︓
2024年1月11日(木)16:00~21:00︓一般開放
2024年1月12日(金)~1月15日(月)11:00~21:00︓一般開放
■主催︓渋谷軍艦島展実行委員会(HERITAGE DATABANK / 長崎市 / 一般財団法人産業遺産国民会議)
関連サイト
長崎市
《神崎 洋治》

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神崎 洋治

神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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