一般社団法人KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)は、日本のヒューマノイドロボット産業の再興を目指す新団体として、新たに住友重機械工業株式会社、ルネサスエレクトロニクス株式会社、日本航空電子工業株式会社の3社が参画したと発表した。
設立の背景と目的
近年、米国の巨大テック企業や中国のIT・EV・ロボット企業を中心に、ヒューマノイドロボット開発が急速に進展している。日本はかつてのロボット先進国としての存在感を示していかなければならない状況にある。
日本国内では自然災害や労働力不足といった社会課題が深刻化しており、ロボティクス技術への期待が高まっている。特に、人間に近い動作性能を持ち、極限環境下でも活動可能なヒューマノイドロボットは、次世代の機械システムとして注目されている。
しかし、AIやソフトウェアの進化が進む中で、ハードウェア領域における国産開発体制や産業としての統合的な取り組みは未整備の状況だ。こうした課題を打破すべく、モノづくりの都・京都にて、日本の技術力を結集する新たな産業連携の枠組みとしてKyoHAが設立された。
産学連携による推進体制
現在、早稲田大学、テムザック、村田製作所、SREホールディングス、沖縄科学技術大学院大学(OIST)、マブチモーター、カヤバ、NOK、ヒーハイストなどの企業・機関がメンバーとして参画している。今回新たに住友重機械工業、ルネサスエレクトロニクス、日本航空電子工業が加わり、産業界・学術界を横断する「ヒューマノイドのための日本連合」として、今後も広く参画を募っていく。
理事長には早稲田大学創造理工学部総合機械工学科教授の高西淳夫氏が就任。高西氏は早稲田大学ヒューマノイド研究所所長を務め、2足歩行ヒューマノイドをはじめ多くのヒューマノイドの研究開発に従事してきた。元日本ロボット学会会長でもあり、国内外の大学や企業との共同研究も多数、社会実装例も豊富な人物だ。
参画企業の強みと役割
住友重機械工業は、PTC事業部でサイクロ減速機をはじめとした減速機・ギヤモータ・アクチュエータを提供しており、近年ではヒューマノイドロボットに適した減速機・アクチュエータの研究開発を推進している。「動かすを最適化して、社会・顧客の課題解決に貢献する」を事業ミッションとして掲げる。
ルネサスエレクトロニクスは、世界トップクラスのマイコンサプライヤとして、ロボティクス分野に積極的に取り組んでいる。モータ制御用マイコンやビジョンAIプロセッサなど組み込みプロセッサを中心に、モータの位置センサや電源用パワー製品、通信用製品など多彩な半導体を提供。これらを最適に組み合わせたウィニング・コンビネーション・ソリューションを提案することにより、早期開発にも貢献している。
日本航空電子工業は、コネクタ、インターフェース・ソリューション、航機の3つの事業にて、革新的で創造性に富んだ技術・製品を次々と世界に提供し続けている。「Technology to Inspire Innovation」をグローバルスローガンとして、顧客のイノベーション実現を加速する技術開発、ものづくりに注力し、ロボティクス技術やさまざまな市場に向けて価値を創出していく。
今後の展望
KyoHAは、日本が持つ高度な機械技術、電子技術、制御技術を結集し、ヒューマノイドロボットのハードウェア開発における国際競争力の強化を目指す。自然災害対応、建設現場、医療現場など、人手不足や危険作業が課題となる分野での実用化を見据え、産学連携による研究開発と社会実装を加速させる方針だ。
米国や中国企業が先行する中、日本のモノづくりの強みを活かした独自のアプローチで、ヒューマノイドロボット産業の再興を図る。今後も参画企業・機関を拡大し、オールジャパン体制での開発推進が期待される。