ソフトバンクは、開発企業などが「5G」(第5世代移動通信システム)の通信環境の実験やテスト、検証を行うためのラボ「5G×IoT Studio」を、東京お台場にオープンする。オープンに先駆けて、本日報道関係者向けに公開した。予約が必要だが無料で利用できる。
株式会社ソフトバンクは、第5世代移動通信システム(5G)やIoTを活用した各種サービスの導入を検討する企業向けに、5G実験機器で技術検証ができるトライアル環境を提供し、さまざまな企業と新たな価値の共創を目指す「5G×IoT Studio」のお台場ラボを、2018年5月18日に東京都江東区のテレコムセンタービルにオープンする。
お台場ラボは、「5G×IoT Studio」の一環として、5G実験機器や周辺機器、エッジコンピューティングを想定した高性能サーバーなどを設置している屋内トライアル環境。法人客は、5Gの通信を介したネットワーク環境と、5G通信と高性能サーバーを組み合わせたサービスやアプリケーションの検証などを実施することができる。
また、今回の同社の発表会で驚いたのは、ソフトバンクは従来のキャリアとしての仕事である「基地局から5G環境の電波を提供する」ということだけでなく、「エッジコンピューティング(MECサーバ)の利用環境(プラットフォーム)の提供サービスも視野に入れて、現在検証中」である点だ。それが実現すれば、企業は自社でエッジコンピュータを設備する必要なく、ソフトバンクのエッジコンピューティング環境を利用した高速化技術を利用できるメリットがある。
5G×IoT Studioの5G設備
このラボは大きく分けて、電波暗室(シールドルーム)、ショールーム、検証ルームで構成されている。
5Gの電波はまだ認可前(2020年に導入をめざす)なので、一般に発信することはできない。そのため、厳重に管理され、外部に電波を漏らさない電波暗室内に5G送信機と受信機(端末)を設置して稼働する。そこから有線でショールームや検証ルームへと繋いでいる。
電波暗室内には5GとMassive MIMOアンテナと受信端末のセットが設置され、スペックとしては、4.74GHz帯、100Mhz幅帯域で送信している。1T2R MIMOを4本で送受信していて、スループット速度はダウンリンクで2Gbps、アップリンクが250Mbpsだと言う。


現在、電波暗室では1ms程度のレスポンスが実現できているが、検証ルームでは5ms程度(往復)までレスポンスは落ちると言う。実質の5Gでも無線区間の通信環境では1ms以下が要求されているが、それ以外の機器を通すことで減速するため、5msは実測として想定されているリリース環境の速度に近いものだ、としている。
ショールーム
ショールームでは例えば、360度カメラで撮影した映像を電波暗室に送り、5Gの送受信を経由して再びショールームに戻し、それをVR画像に生成して、VRゴーグルで体験するというデモ等が行われた。5G通信を使えば、大容量の360度の映像データを少ないタイムラグで送信できることを示すものだ。5Gの大容量送信という特徴を確認できる。


また、既に販売されているソフトバンクのIoTサービスのデモンストレーションや機器を見たり、5GとIoT、カメラを使ったシステムのデモを見学することもできる。
「5G×IoT Studio」は2017年2月の開始以降、これまでに赤坂エリア、芝大門エリア、品川エリア、渋谷エリアの4カ所のフィールドで5Gのトライアル環境を提供しており、今回オープンするお台場ラボは5カ所目となる。
ソフトバンクは、2016年9月から5Gの有力な要素技術の一つである「Massive MIMO」の商用サービスを世界で初めて提供するなど、5Gの導入に向けてさまざまな最新技術のいち早い提供を進めている。







