カラクリ株式会社と株式会社Highlandersは、観客のお題からAIが即興ラップを生成し、ヒューマノイド「N」が実演するパフォーマンス「AI大道芸人」を共同開発したと発表した。
2026年10月31日(土)・11月1日(日)に静岡市で開催される「大道芸ワールドカップin静岡2026」で、国内外のプロパフォーマーと同じ舞台で披露する。
屋外・騒音・一発勝負のストリートで実証
カラクリはこれまで、カスタマーサポート領域のバーティカルAIを開発してきた。2026年からは電話応対を担う音声AIの提供も始めている。一方のHighlandersは、工場などの産業現場に向けた国産ヒューマノイドを開発している。まったく異なる領域で進化してきた両社の技術が、今回初めて組み合わさった。
舞台となるのは、「屋外」「騒音」「やり直しがきかない」という難易度の高いストリート環境だ。お題の入力からアウトプットまでを数十秒で完結させることで、フィジカルAIの新たな可能性を実証するとしている。
観客参加型のAIラップとヒューマノイドの動き
「AI大道芸人」は、観客から受け取った「お題(ワード)」をもとに、その場でパフォーマンスを組み立てる参加型のステージである。AIがお題をリアルタイムに解析し、連想される言葉をつなぎながら、韻を踏んだ歌詞を生成する。予想外のストーリーが展開するフリースタイルラップを、ビートに乗せて歌い上げる。
ステージに立つヒューマノイドは、音楽のビートに合わせて体を揺らし、手を振るなど、ダイナミックな動きで会場を盛り上げる。演者は、Highlandersが開発した国産ヒューマノイド「N」と、カラクリが開発した音声AIラッパーの組み合わせとなる。
カラクリ:お題から歌声までの音声AIパイプラインを設計
カラクリが担うのは、観客からお題を受け取ってから、歌声が会場に流れるまでの音声AIパイプライン全体の設計である。カスタマーサポート向けAIで培った「正確な日本語の読み上げ」「聞き取りやすさ」、企業の窓口に欠かせない「不適切な発言の防止(ブランドセーフティ)」の知見を、より制約の厳しい日本語ラップに適用した。意味の通る文脈、韻律、ビートに収まる拍数、発音という複数の条件を同時に満たす即興生成を実現したという。
お題からラップまでは、次の5ステップを数十秒で実行する。
聞く:観客のお題を取得する
考える:お題を起点に、韻・拍数・文脈の整合性を満たす歌詞を即興で生成する
選ぶ:複数の歌詞候補を並列で生成し、AIが韻や文脈を採点して最適な1つを採用する。同時に出力ガードレールが不適切な表現をブロックする
歌わせる:採用された歌詞を歌唱指示に変換し、ラップの歌声を合成する
乗せる:指定のテンポ(BPM)と小節構成のビートに歌声を重ね、歌詞字幕とともに会場へ届ける
Highlanders:ビートと同期するフィジカルAIの全身制御
Highlandersは東京大学発のスタートアップで、汎用ヒューマノイド「N」を開発している。全身31自由度をフィジカルAIが統合的に制御し、カラクリのAIが生成したビートや楽曲の周期(4小節単位)にリアルタイムで同期しながら、体を揺らす、観客を煽るといったモーションを生み出す。演奏の途中で生じるわずかなズレも、自律的に補正するという。
同社は本取り組みで、ヒューマノイドの提供、ビートに同期した動作の設計・実装、安全設計、当日の現地オペレーションを担う。ここで得た知見は、ヒューマノイド向けAIモデル「Kepler」の開発に生かす考えだ。
出演概要
演目名 | AI大道芸人 |
|---|---|
出演日 | 2026年10月31日(土)、11月1日(日) |
上演時間 | 10月31日(土)13時~13時20分/15時~15時20分 |
会場 | 青葉パークポイント(静岡市葵区)「未来のおまつりLAB」内(リリース上は「要確認」の注記あり) |
演者 | 国産ヒューマノイド「N」(Highlanders開発)×音声AIラッパー(カラクリ開発) |
観覧 | 無料・予約不要 |
天候や会場の状況により、内容や時間が変更となる場合がある。
「大道芸ワールドカップin静岡」は1992年に始まり、毎年秋に静岡市で開催されている。2026年は10月31日から11月3日までの4日間、市内31カ所を舞台に、国内外から78組121人のアーティストが参加予定だ。2023年の来場者は118万人を記録した。
ロボスタオンラインセミナー情報
ロボスタでは、国産のヒューマノイドや四足歩行ロボットの開発・量産を目指すHighlandersの増岡宏哉CEOをお招きし、オンラインセミナー「国産ヒューマノイド『N』量産と知能化への挑戦 Highlandersが描くフィジカルAIと実世界データ戦略」を10月22日(木)に開催します。

Highlandersは、三菱自動車の工場で活用するヒューマノイドロボットの共同開発と、京都製作所京都工場におけるHighlanders製品の量産化について協議を進め、2027年の早い時期の生産開始を検討しています。
また、ロボットを製造、物流、インフラなどの現場で稼働させ、視覚、力覚、触覚、遠隔操作などの実世界データを蓄積。そのデータを独自のフィジカルAI基盤モデルの学習に活用し、進化したAIを再びロボットへ展開する「データフライホイール」の構築を掲げています。
セミナーでは、国産ヒューマノイドの社会実装と量産、日本発のフィジカルAI産業の可能性などについて深掘りしていきます。ぜひご参加ください。
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■自民党ロボット議連・山田太郎事務局長が語る『日本のフィジカルAI開発戦略』
日本はフィジカルAIでどう勝つのか。ロボット基盤モデル、VLA、実世界データなどの技術動向から、国家戦略の実行ロードマップまで。技術と政策の両面から読み解く85分間。
ロボスタでは、米PTCでの勤務や製造業向け企業の経営経験を持ち、現在はロボット議員連盟の事務局長としてAIロボティクス政策を推進する参議院議員・山田太郎氏をお招きして、オンラインセミナー「日本はフィジカルAIでどう勝つのか ~ロボット議連・山田太郎事務局長が語る「AIロボティクス戦略」実行フェーズ~」を11月13日(金)に開催します。

日本が強みを持つ産業用ロボットや製造業、部品・制御技術を、ロボット基盤モデルの開発や実世界データの収集・活用にどう結びつけ、国際競争力を高めていくのか。
政府が掲げる「AIロボティクス戦略」、経済産業省の「GENIAC」、国産マルチモーダル基盤モデル開発プロジェクト「FRONTia」などについても掘り下げます。
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■Honda「P2」「ASIMO」の開発者、竹中氏が登壇
日本では約30年前から、人と共存するヒューマノイドの研究開発が進められてきました。その象徴的な存在が、Hondaの「P2」と「ASIMO」です。2026年4月には、その歴史的な技術的功績が評価され、「P2」が「IEEEマイルストーン」に認定されました。
ロボスタでは、Honda「P2」「ASIMO」の開発を中核で担った竹中透氏をお招きし、オンラインセミナー「Honda「P2」「ASIMO」が残した軌跡 開発者・竹中透氏が語るヒューマノイドの原点とフィジカルAI時代の未来」を2026年11月25日(水)に開催します。

当時のヒューマノイド開発の舞台裏と、そこから生まれた技術や開発思想、試行錯誤やブレークスルーについてお話しいただきます。
また、フィジカルAIによってヒューマノイドが再び世界的な注目を集める中、今後の技術進化や未来展望についても議論します。
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