金融機関の業務はAIで生産性が上がるのか? 金融庁によるFinTech実験結果を公表!FRONTEO、三菱UFJ、りそな、横浜銀行、SMBC日興証券が参加

株式会社FRONTEOは、金融庁によるFinTech実証実験ハブに選定されたこと、ならびにその実証実験の結果を8月1日に発表した。
調査の内容は、金融機関の業務において「人のみによるチェック」と「人工知能KIBITを活用したチェック」で、どの程度、業務生産性が変わるか、比較試験を行うというもの。
調査の結果、人工知能KIBITを活用した場合、金融機関の業務記録チェック作業では42%の時間短縮、正解検出数は2倍、能力の標準化や高度化にも効果があった。調査報告書は約70ページの詳細にわたるもので、結果とともに「金融庁の見解」や「参加した金融機関の意見や今後の課題」なども公表された(後述)。

同実証実験には金融機関として三菱UFJ銀行、りそな銀行、横浜銀行、SMBC日興証券が参加、2018年5月より取り組んだ。


【金融庁によるFinTech実証実験ハブについて】
金融庁では、フィンテックを活用したイノベーションに向けたチャレンジを加速させる観点から、2017年9月21日、フィンテック企業や金融機関等が、前例のない実証実験を行おうとする際に抱きがちな躊躇・懸念を払拭するため、「FinTech実証実験ハブ」を設置。実証実験は、「実験内容と論点が明らかであること(明確性)」「サービスの実現によって我が国における利用者利便や企業の生産性の向上が見込まれること(社会的意義)」、「実現しようとするサービスに革新性が認められること(革新性)」等が実施要件となっている。


同実証実験の概要

これまで金融機関では、営業員によって日々発生する金融商品販売時の大量の応接記録や、電話で寄せられる顧客からの様々な意見や申し出の膨大な記録を、人のみによるチェックで確認してきた。

同実証実験では、「ランダムに正解があらわれる記録を人のみでチェックした場合」と、「KIBITがスコアリング(点数付け)し、優先順位が付けられた記録を人がチェックする場合」での検出精度や生産性、作業の標準化率などを定量的に比較測定した。

○ 対象業務
【銀行】投資信託などの金融商品販売時の営業応接記録のチェック業務
【証券】通話録音記録からのお客さまのご意見・お申し出のチェック業務

○ 実験内容
応接記録や音声通話記録から決められた時間内で「正解=チェック業務で見つけるべき記録」を何件見つけ出せるか

実証実験のイメージ


比較試験結果

チェックにかかる時間は、KIBITを活用した方が、人のみと比べ、銀行のケースでは38%短く、証券のケースでは55%も短く作業を完了することができた。

KIBITを用いた場合の正解検出率(正解検出件数÷用意された正解数)は、人のみの場合と同等以上であり、KIBITが人の持つ暗黙知を十分に学習できたことを証明。また、人のみの場合と比べ、全ての記録を高速かつ網羅的に内容をチェックでき、作業時間を大幅に短縮しながら、正解の検知が可能なことを証明した。

KIBITを活用して対象となる記録のチェックを実施した場合と、人のみでチェックを行い、規定の時間で作業が途中だったものについては同精度・同速度でチェックを継続、完了したと仮定し、全件終了時を推計した結果を比較したもの

決まった時間(単位時間)あたりでのサンプルチェックを行った場合でも、KIBITを活用した場合の正解検出数は、人のみで行う場合より約2倍となった。

また、チェック業務の実施者に「(業務経験が)豊富」「やや豊富」「短い」という経験の異なる被験者を用意し、時間当りの正解検出件数にどれぐらい分散するかを測定した結果では、KIBITを活用した場合、人のみの場合と比べ、時間当りの正解検出件数のバラツキが少なく、業務経験やスキルに違いがあるスタッフがチェック作業を行っても品質の差が少なくなるという標準化の効果があることが判明。

さらに、検出能力の高度化においても、確認した記録の中に含まれる正解の割合(適合率)や、用意された正解をどれぐらい見つけられるか(再現率)などでも精度が向上することが確認できた。

実証実験全体のまとめ

実験結果:銀行の場合

実験結果:証券の場合


今後の展開について

現在の金融業界では、顧客本位の業務運営が求められる一方で「働き方改革」を実現するために行員、社員の生産性も考慮する必要に迫られており、同実証実験では、実務でのKIBITの活用を通じて、様々な観点でのモデル構築・精度検証等をおこなうことで、金融機関における業務の高度化、効率化といった課題を人工知能で解決できる見通しの1つの成果となった。

今回の実証実験を受け、金融庁は以下の見解を述べている。

【金融庁の見解】
例えば、AIによる判定基準や学習済みモデルの信頼性等に関する検証を合理的な方法・間隔で行う等、適切な運用がなされているのであれば、法令・監督指針上、金融機関による確認業務に関し、AIによる一次確認を介する運用を行うことに特段の問題はないと考えられる。

また、参加金融機関においては「総じて効果が高く、今後のチェック業務において更に活用していきたい」という意向を示すとともに、「チェック業務において、AIによる一次チェック、人による二次チェックを行う運用問題があるか。」「各金融機関にて、AIによる判定基準を独自に設定し運用することに問題があるか。」「各金融機関にて、AIの学習済みモデルの信頼性を確認する周期を独自に設定することは問題があるか。」といった今後解決すべき懸念点もでてきた。

今回の実証実験の成果ならびに金融庁の見解を踏まえ、FRONTEOと参加金融機関では、今後もチェック業務におけるKIBITの利用を通じた、業務生産性の向上と「お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」の実現の両立を目指していくと述べている。


同実証実験の詳細な報告書: “FRONTEO FinTech実証実験ハブ最終報告書”
http://www.kibit-platform.com/files/FRONTEO_FinTech_Report_20180801s.pdf
関連サイト
株式会社FRONTEO

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