日本ロボット学会 論文誌に新カテゴリー「人文社会」分野を創設 浅田会長「科学技術に加えて人文社会の側面も重要」

一般社団法人 日本ロボット学会は、ロボットを社会一般に広げていくため、「ロボット工学」だけでなく「ロボット学」として促進することを改めて発表した上で、新たに「人文社会」分野の査読体制をとることも3月23日の第11回定時総会で発表した。



論文誌のカテゴリーとして「人文社会」分野の創設

これに先立ち、日本ロボット学会は報道関係者に向けた説明会をオンラインで開催、会長の浅田稔氏(大阪大学)が登壇し「人文社会の創設は学会としてはかなり革新的なアクションだと考えています」と語った。


浅田氏は「ロボットの社会進出に伴い、ロボットの法律上の位置づけやロボットの社会的・文化的意義を考察する必要があると考えてきました。今般、新型コロナウイルスによる多大な社会的影響が、この考察を加速させる状況となりました.すなわち、最新ロボット技術を駆使した人工物の導入によるさまざまな社会的・文化的影響を考慮する必要があるということで、通常の科学技術の側面に加え、人文社会の側面も重要な側面であるという認識に至りました。そこで、当学会の論文誌のカテゴリーとして「人文社会」分野の創設を検討してきました」と説明した。

既存の分野は
(1)要素
(2)システム設計・構築
(3)人材育成・社会
(4)実証実験
の4分野で構成されていたが、その中の「(3)人材育成・社会」から「社会」を切り出し、哲学、心理学、倫理学、経済学、法学などの人文科学も含めた分野として「人文社会」分野を5番目の新たな分野として創設する。

【新しい分野構成】
(1)要素
(2)システム設計・構築
(3)人材育成・社会
(4)実証実験
(5)人文社会





以下、プレスリリース(続き)全文


1.趣旨
最先端AIやロボット技術が社会実装されている現代では,技術は人に用いられて利便をもたらすだけではなく、用いる側の人の生活様式や価値観そのものに強い影響を与えることが明らかになりつつあります.ロボット學としても,工学的な側面だけではなく,多様な観点からの考察や提案が必要と考えられます.そこで,ロボットをはじめとした人工物を考察対象とし,産業応用の観点からの経済学も含めた人文社会系の論文を募ることにより,「広く」ロボットと社会との関わりに関する知見を知らしめることとしました.


2.学会論文誌の査読方針
論文は (A) 新規性,(B) 有用性,(C) 提案性 の3つの評価を軸として査読されます.
・新規性:ロボットに関する学術(科学技術/人文社会)の全般を対象とし, 新たな知見などが含まれていること.
・有用性:ロボットをはじめとした人工物を対象として,学術(科学技術/人文社会)全般の問題解決等に有用であること.ただし,実用化以前の萌芽的な内容も評価します.
・提案性:ロボティクスに寄与する新しい学術・技術領域,コンセプト,システム概念などが提起されていること.
論文を (1)要素,(2)システム設計・構築,(3)人材育成,(4)実証実験,(5)人文社会の5分野に分類して評価します.


3.人文社会分野の論文の査読基準
ロボット概念の深化・拡張や、ロボットの健全な普及を目指した社会システムに関する知見は、次のイノベーションを引き起こす核となると考えられます.そこで,人文社会分野では,従来の科学技術分野にとらわれない人や人と社会との関わりを対象とする学術分野との学際的,横断的,また,構成論的な,ロボットに関する深い理解や、ロボットと人間および社会の関わりを扱う研究論文を募集します.たとえば,ロボットの本質を問う原理的考察,ロボットに関する文芸表象や歴史,ロボットとそれに対する人間の振る舞い,人やロボット間の相互作用や認識・受容,非言語的行動を含む知能情報処理に関する新たな概念や基本的理論,ロボットに関する法や政策等を取り扱うものが対象となります.とりわけ、ロボット開発に新たな可能性を切り開いたり,ロボットの実社会への応用可能性を拡張したりすることを促しうるような独創性,先進性が積極的に評価されます.

4.人文社会分野査読小委員会メンバー(2021年3月22日時点)
研究分野委員長:浅田稔(大阪大学)
委員:
松浦和也(東洋大学)
久木田水生(名古屋大学)
上出寛子(名古屋大学)
稲谷龍彦(京都大学)
明和政子(京都大学)
笠木雅史(広島大学)
小山虎(山口大学)
新妻実保子(中央大学)
瀬名秀明(作家)
(敬称略)

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ロボスタ編集部
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