NECとトヨタTDC 工場内で自動車やロボット、モビリティなど移動体と安定的に通信する無線制御システムを開発 WTP 2022にて展示

昨今、製造業において生産性の向上、労働力不足への対応などを目的に、自動化やIoTの活用などDXが進められている。

特に、広いエリアや工程をまたがって使用される搬送機器やロボットなどに適用できる高信頼、低遅延の無線化ニーズが高まっているが、工場や倉庫では生産設備など遮蔽物となるものが多いものの柔軟なライン変更などは難しく、安定した無線通信が課題となっている。

このような中で、日本電気株式会社(NEC)とトヨタテクニカルディベロップメント株式会社(TTDC)は、工場や倉庫内における自動車などの移動体と安定的な無線接続を実現する無線制御システムを開発したことを、2022年5月20日に発表した。

同システムは、無線環境下においても、受信レベルが強く、かつ他の無線機器の干渉が少ない通信経路をリアルタイムに推定しシームレスに切り替えを行うことで、移動体と安定した無線通信を実現するものだ。

(※冒頭の画像:安定的な無線接続を実現する無線制御システムのイメージ)



今回開発したシステムについて

同システムは、「NEC 無線通信安定化ソリューション」(NEDOが運営を支援する内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤」の研究成果および、NICT)の研究成果を活用し、NECが開発)を活用したTTDCの無線通信モジュールを自動車や搬送機器(AGV)などの移動体に搭載することで、移動体との無線通信で問題となるローミング時の切断や干渉による通信不良の発生を防ぎ、安定した通信が可能になる。
これにより、リアルタイムな情報取得や作業指示が可能となり、生産現場の生産性向上・作業効率化に貢献する。なお、先行して同システムをトヨタ自動車元町工場に導入しており、工場内の無線通信を活用した生産性向上に寄与している。両社は、同取り組みの知見を活かし、トヨタ自動車や他の製造業のユーザーにおけるAGV・工作機械・ロボットなどの無線制御や、検査データの収集、プログラム配信を行うシステムの提供を目指すとのことだ。

移動体に搭載する小型無線通信モジュール

車に接続した小型無線通信モジュール

なお、同システムは、5月25日(水)から27日(金)まで東京ビッグサイトにて開催される「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2022」に展示する。



開発したシステムの特長

同システムは、通信品質が良い経路をリアルタイムに推定し、高速に切り替え可能。ネットワーク仮想化技術により、既設アクセスポイントを活用できる。また、小型化したモジュールにより、移動体への搭載を容易にした。


通信品質が良い経路をリアルタイムに推定し、高速に切り替え可能

NECが保有する技術により、アクセスポイントの電波強度だけでなく、帯域の混雑度などを考慮して利用可能な帯域をリアルタイムに推定し、高品質な通信経路・アクセスポイントへシームレスな切り替えを行う。これにより、受信レベルや無線の混雑度が刻々と変化する無線環境でも安定した通信が可能になる。


ネットワーク仮想化技術により、既設アクセスポイントを活用可能

NECが保有する技術により、無線通信区間全体を仮想化し、仮想化されたネットワーク上で通信経路を適切に切り替えることで、アクセスポイントの高度な機能を用いることなく無線接続を安定化でき、既設のアクセスポイント・ネットワーク設備を活用したまま導入することを可能にした。


小型化したモジュールにより、移動体への搭載を容易に

TTDCが保有する技術を活用し、基板サイズ72mm x 44mmという小型化を実現しており、スペースが限られた様々な移動体への搭載が容易になった。

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ロボスタ編集部

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