5G帯域の電波を選択的に吸収する薄型・軽量の「電波吸収シート」 ​​大日本印刷が開発 2023年までに製品化

大日本印刷株式会社(以下、​DNP)は第5世代移動通信システム(5G)の周波数帯であるミリ波帯(28GHz帯)やSub6帯(3.7GHz帯、4.5GHz帯)で、特定の周波数の電波のみを選択的に吸収し、漏洩や干渉を防止する薄型・軽量の「電波吸収シート」を開発したことを発表した。

同製品は​DNP独自のEB(電子線:Electron Beam)コーティング技術の活用により屋外利用も可能な高い耐候性を有している。また、環境・景観等に合わせて意匠を施すことも可能。同製品は2022年6月29日(水)~7月1日(金)に東京ビッグサイトで開催される「第5回 5G通信技術展」のDNPブース(会場内6-14の位置)にて紹介される。


「電波吸収シート」の開発について

5Gの普及によって超高速・超低遅延・多数同時接続の通信が期待されるなか、電波同士の干渉や、通信エリアからの電波の漏洩を抑えるため特定の周波数の電波のみを選択的に吸収したいというニーズが高まっている。こうした電波の干渉や漏洩の防止に用いられる電波吸収シートは重量やサイズ等の制約により設置箇所が限られてしまうという課題があった。また周囲の景観に調和可能な意匠性に関するニーズも高まっていた。

これらの課題解決に向けて​DNPは5G周波数帯であるミリ波帯とSub6帯で、特定の周波数の電波のみを選択的に吸収する「電波吸収シート」を開発。材料や設計の工夫により、従来品と比べて大幅な薄型化・軽量化を達成するとともに、DNP独自のEBコーティング技術を活用することによって、屋外でも利用可能な耐候性や耐傷性を達成した。意匠を施すことにより、特に屋内で求められる高い環境調和性を有している。

木目調の建具用シートを貼り合わせた電波吸収シート ミリ波帯用

木目調の建具用シートを貼り合わせた電波吸収シート Sub6帯用


DNPが開発した「電波吸収シート」の特長

1.5G周波数帯の電波を選択的に吸収
5Gの帯域であるミリ波帯とSub6帯において、特定の周波数の電波に対して、-15dB以下の吸収量を有する製品。顧客企業や自治体等の要望や用途に応じて、吸収する電波の周波数帯を調整した製品を開発・提供することができる。

2.薄型・軽量
従来のシートと比較して、非常に薄く、軽量な製品。ミリ波帯対応シートは厚さ0.3mm、重さ0.5kg/m2、Sub6帯対応シートは厚さ1.6mm、重さ3kg/m2。薄型で軽量であるため、多様な場所に簡便に施工・設置することができる。

3.環境調和性
木目調をはじめ、さまざまな意匠が施されたDNP製の建具用シート等と併用することで、空間デザインを損なうことなく設置できる。

建具用シートとの併用イメージ


今後の展開

DNPは「電波吸収シート」の実証実験を進め、2023年までに製品化を目指す。また、「フィルム型アンテナ」や「リフレクトアレイ」等の5G向け電波制御部材、DNPが保有する建装材との組合せにより、景観を損なわず最適な5G通信用の電波環境を構築できるソリューションを提供していく。さらに、5Gの普及を見据え、リアルとバーチャルの両方の空間で生活者に体験価値を提供する「XRコミュニケーション事業」や、4K・8Kの高精細な映像の配信、安全な自動運転や遠隔医療等の事業にも、引き続き取り組んでいく。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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