ソフトバンクが「AI倫理ポリシー」を発表 6項目における指針で事業運営やサービス開発へ

ソフトバンク株式会社は、AI(人工知能)の活用や研究開発に関する基本指針を定めた「ソフトバンクAI倫理ポリシー」を策定、2022年7月12日に発表した。AIを活用したサービスを安全・安心に利用できるよう、体制の構築を図るとしている。倫理ポリシーで掲げる6項目の指針をもとにAIのサービス開発や事業運営を行っていく考えです。

ソフトバンクは「Beyond Carrier戦略の下、従来の通信事業者の枠を超え、AIやIoTなどの先端技術を活用し、革新的なサービスの提供やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に取り組んでいる」としている。そして、これらの先端技術のうち、AIは近年あらゆる産業での活用が広がり、今後も活用方法の多様化や技術の高度化が進むことが予想されている。一方で、活用の仕方によっては差別的な評価や選別を導く可能性があるなど、倫理面での配慮や注意が必要な技術であることが指摘されている。

こうしたことを背景に、「ソフトバンクAI倫理ポリシー」を策定。
具体的には「人間中心の原則」「公平性の尊重」「透明性と説明責任の追求」「安全性の確保」「プライバシー保護とセキュリティの確保」「AI人材・リテラシーの育成」の6項目において指針を定め、この指針にのっとった事業運営やサービス開発などを行っていく考えだ。

また、このポリシーをグループ会社でも適用できる体制を整え、2022年7月12日時点で57社が適用を決定した。今後もグループ内で連携しながら体制の整備を一層推し進め、安全・安心なAIの活用を図る。さらに、より具体的なルールを定めたガイドラインの策定や、AIに精通した有識者から成る外部委員会の設置を検討し、体制を強化していく予定。

なお、このポリシーは既に制定されている以下のポリシー類に矛盾することなくAI倫理について補完する形で定めるとしている。

ソフトバンク人権ポリシー
https://www.softbank.jp/corp/aboutus/governance/human-rights/
ソフトバンクのプライバシーポリシー
https://www.softbank.jp/privacy/contact/sb-policy/
情報セキュリティポリシー
https://www.softbank.jp/corp/security/


ソフトバンクAI倫理ポリシー 6項目

1.人間中心の原則
私たちは、人々を幸せにするためにAIは存在し、あくまで社会課題の解決のため利用する人間の意思決定の補助として利活用されるべきだと考えます。AIを利用する一人ひとりが、AIをどのように利用したいかを判断し決定できるよう、私たちは、人間中心の考えを依るべき原則とし、その利用を通じてより一層人々を幸せにするAIを目指します。

2.公平性の尊重
私たち人間が公平な価値観を持たなければ公正なAIは実現しません。私たちは人種、国籍、年齢、宗教、性別等に関わらず、全ての人を尊重し、AIにおいても同様の思想の下、開発・設計・提供・利用するよう務め、一般的に流通するデータには現れにくい、女性、人種マイノリティ、性的マイノリティなどの社会的マイノリティの存在にも留意し、テクノロジーを通じて包摂的社会の実現を目指します。

3.透明性と説明責任の追求
AIと共生し、共に発展するためには、人々がAIに基づく判断結果を理解し、必要に応じてその判断根拠を検証できる環境を整備することが重要です。私たちは、AIの判断結果をどのように利用しているかについて透明性をもって説明できるよう努力するとともに、そのAIの信頼性についての検証可能性や、判断根拠に関する高い説明可能性を持ったAIの開発や利用を目指します。

4.安全性の確保
人々の幸せに寄与するAIは、高い安全性があってこそ実現できると考えます。私たちは、個人の生命・自由・尊厳・財産等を脅かすことのないAIの設計・開発に努めるとともに、全ての人が安全にAIを利用できる世界を目指します。

5.プライバシー保護とセキュリティの確保
AIの設計・開発・利用においてデータは必要不可欠です。AIを教育するための大量で正確なデータがなければ、AIの発展も、これを通じた社会への貢献も実現できません。だからこそ私たちは、人々が安心してAIを利用できるよう、社内規程、関連法令、社会倫理等に従い、パーソナルデータを含む様々なデータを適切に管理・運用し、不正アクセス等の防止に努め、プライバシーの保護に取り組みます。

6.AI人材・リテラシーの育成
私たちは、これまでも最先端のテクノロジーの発展に注力してきました。テクノロジーは飛躍的に発展を遂げていますが、それを活用する人間もまた、常に進化し、テクノロジーを責任もって取り扱うことのできる存在である必要があります。私たちは、AIの恩恵を誰もが最大限享受できる社会を実現するため、AIを開発する側、利用する側双方について、スキル・リテラシーを高めるための教育・育成に積極的に取り組みます。

本ポリシーの見直しについて
私たちは、AIに関する各国・各地域の指針、人々の生活スタイルや環境の変化、業界における事例の蓄積、テクノロジーそのものの発展、また様々なステークホルダーとの対話を踏まえ、必要に応じて本ポリシーを見直し柔軟に対応します。

本AI倫理ポリシー適用 関係会社
本AI倫理ポリシーは、ソフトバンク株式会社および関係会社の全ての役員および従業員がAIの活用や研究開発を行う際の指針を定めています。[注]※ソフトバンク株式会社以外記載、順不同

ALES株式会社
BB Satellite株式会社
BBソフトサービス株式会社
BOLDLY株式会社
Findability Sciences株式会社
GCJG3株式会社
HAPSモバイル株式会社
M-SOLUTIONS株式会社
MICEプラットフォーム株式会社
PayPay株式会社
PayPay証券株式会社
PSコミュニケーションズ株式会社
PSソリューションズ株式会社
SB C&S株式会社
SBアットワーク株式会社
SBイノベンチャー株式会社
SBエンジニアリング株式会社
SBギフト株式会社
SBクリエイティブ株式会社
SBテクノロジー株式会社
SBパワー株式会社
SBプレイヤーズ株式会社
SBフレームワークス株式会社
SBペイメントサービス株式会社
SBメディアホールディングス株式会社
Tabist株式会社
umamill株式会社
Wireless City Planning株式会社
アイ・オーシステムインテグレーション株式会社
アイティクラウド株式会社
アイピーロジック株式会社
エアトラスト株式会社
エス・アンド・アイ株式会社
エンコアードジャパン株式会社
オッズ・パーク株式会社
サイバートラスト株式会社
ツギクル株式会社
ディーコープ株式会社
ニューイング・ソフト株式会社
ビー・ビー・バックボーン株式会社
フォントワークス株式会社
ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
マムズラボ株式会社
リードインクス株式会社
株式会社Aeris Japan
株式会社Agoop
株式会社AXSEED
株式会社IDCフロンティア
株式会社イーエムネットジャパン
株式会社インテグラル・ヴィジョン・グラフィックス
株式会社オファーズ
株式会社さとふる
株式会社たねまき
株式会社たねまき常総
株式会社たびりずむ
日本コンピュータビジョン株式会社
有限会社ネットビジョン

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