菱洋エレクトロ、うるさい騒音や雑音があっても音声認識できる「高雑音耐力音声認識システム」を開発 工場や工事現場で活用

近年、建設工事やインフラ整備などの作業現場では、作業員の業務報告や機器制御において利便性向上を目的とした音声認識の活用ケースが増えている。
しかし、多くの機械が稼働し90dB程度の雑音や騒音が発生する作業現場の場合は通常の会話すら困難となり、一般的な家庭環境(環境ノイズ音圧50dB前後)での使用を想定した従来の音声認識システムでは対応できない状況だ。

また、多くの音声認識システムはクラウドサービスを利用しており、ネットワーク環境が整っていない作業現場ではシステムを利用できない可能性がある。

エレクトロニクス商社の菱洋エレクトロ株式会社は、これらの課題に対してハードウェアとソフトウェアの両面からアプローチを行い、機械が稼働する工場や工事現場などの高雑音(大きな雑音や騒音)が発生する環境下でも、ネットワークを介さずに、95%と高い認識率を実現する「高雑音耐力音声認識システム」を開発した。「ATRオープンハウス2022」にて、その成果を展示する。
(冒頭の画像:高雑音耐力音声認識システムの構成図)

音声認識率特性の比較


同社の音声認識システムの特長

従来の音声認識装置は、一般的な家庭環境での使用を想定して作られているため、ノイズ音圧が発話音圧を上回る環境では認識率が著しく低下するが、同社の音声認識システムでは、発話音圧70dB、環境ノイズ音圧90dBという高雑音の環境下でも、音声認識率95%を達成した。同システムの音声認識エンジンは、基本構成である「音響モデル」(単語を構成する音と音の繋がりをモデル化したもの)、単語と単語の繋がりをモデル化した「言語モデル」、両モデルを用いて該当する単語を導く「ワード辞書」に加えて、ノイズモデルとそれを用いてノイズを除去する環境ノイズ統合認識機能を搭載(特許出願中)しているのが特長だ。なお、音圧は全周波数帯にノイズがかかるホワイトノイズで検証している。



「ATRオープンハウス2022」にて同技術を展示

同社は、2022年10月6日より開催される、事業紹介イベント「ATRオープンハウス2022」にて、その成果を展示する。また、2022年10月6日、7日の2日間で開催される株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)主催の展示会において、同技術に関する成果を展示する。なお、展示会は産学官連携の研究・事業発表の場であり、世界最先端の研究成果が展示される。


▼ATRオープンハウス2022 出展概要

日時 2022年10月6日(木)-7日(金) 10時-17時 ※7日の展示は16時終了
会場 ATR(京都府相楽郡精華町光台2-2-2)
備考 記載されている情報は発表日現在のものであるため、時間の経過あるいは後発的なさまざまな事象によって内容に変更が生じる可能性があることを、あらかじめご了承ください。
ATRオープンハウス2022:https://expo2022.atr.jp/

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ロボスタ編集部

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