FRONTEOは、AIを活用して企業の知見や技能の伝承を支援するAIシステム「匠KIBIT零」の提供を開始した。
匠KIBIT零は、製造業、建設業、研究・開発系企業などの固有の知識や知見、匠=熟練技術者の持つ技能やノウハウを蓄積し、独自のデータベースとして活用可能とする、ナレッジシェアAIシステム。現場スタッフなどが、業務に関わる技術や知見などについて質問を入力すると、AIがデータベースから適切な対処方法や知識を迅速に抽出・回答する。さらに、問題解決に該当する適切な内容がデータベースに存在しない場合は、AIが有識者を選定して回答を依頼し、回答作成後、データベースへの情報追加と質問者への通知を行う。
運用イメージ
匠KIBIT零はFRONTEOの自社開発AI「KIBIT」独自の自然言語処理アルゴリズムにより、時代や部署によって形式の異なる非構造化(未整理)データを解析できることに加え、概念検索(自然言語処理において、情報を内容の類似性・関連性に基づき検索する手法)を用いて、類似性・関連性の高い内容を的確に検出する。
また、RAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成機能)によって、生成AIを搭載したQ&Aシステムで課題とされるハルシネーションのリスクを回避し、信頼性のある最適解を導く。
匠KIBIT零の特徴
1:大量のデータに対応可能。独自のアルゴリズムを用いた概念検索で迅速に最適解を提示
独自の自然言語処理アルゴリズムにより、非構造化データの取り扱いやドキュメント検索が可能。優れた処理性能により、企業の蓄積する数十万件の大量データや数十年分の情報もカバー可能。一方、データが少ない場合でも、概念検索により、類似性・関連性の高い内容を的確に検出する。
2:クローズド環境で門外不出の機密情報を守る、安心のオンプレミス対応
KIBITの概念検索機能は、オンプレミスのクローズド環境での利用が可能。機密・機微情報の漏洩リスクを低減します。ユーザー企業の社内システムとAPIで連携し、自社で契約をしている生成AIの機能を活用することも可能(オンプレミスからアクセス可能な場合)。
3:各業界のデータ構成の特性を熟知したスタッフが伴走し、運用をサポート
各業界の保有データの特性を熟知したスタッフが、ユーザー企業ごとの状況を踏まえプランニングから導入後の活用まで伴走してサポート。これまで有効利用できていなかった社内の未整理データ(非構造化データ)を、知の共有財として活用できるよう支援を行う。
事業の永続性に確保に貢献
厚生労働省「令和4年度 能力開発基本調査」では、国内の企業・事業所と労働者の能力開発の実態について、「能力開発や人材育成に関する問題がある」と回答する事業所が80.2%に上っている。問題点の内訳(複数回答)としては、「指導する人材が不足している」が58.5%で最多、次いで「人材育成しても辞めてしまう」50.8%、「人材育成を行う時間がない」45.3%、などの回答が多く、効果的な知見・技術の伝承に苦慮している実情がうかがえる。
匠KIBIT零は、熟練者個人の暗黙知や属人化されているナレッジを、企業の財産として蓄積共有し、生産性向上や事業永続性の確保に貢献するとしている。