AIロボット協会 ロボティクス分野の生成AI基盤モデル開発に向けたデータプラットフォームの研究開発へ

一般社団法人AIロボット協会(AI Robot Association 以下、AIRoA)は、経済産業省及びNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野の生成AI基盤モデルの開発に向けたデータプラットフォームに係る開発」採択事業者に決定したと発表した。

 

産業界連携による生成AI基盤モデル開発

本事業では、データ収集・基盤モデル開発・実証を通じて、ロボティクス分野の生成AI基盤モデルに不可欠なデータプラットフォームの研究開発に取り組む。成果は最大限オープンにし、ロボティクス分野の生成AI基盤モデルの開発に広く還元することを目指している。

本事業の特徴は、生成AIに関する最先端の知見と技術力を有する企業・研究機関が集結して推進する点である。各社が保有する大規模学習・マルチモーダルデータ処理・ロボットシステムに関する技術などを統合し、国際的競争力の高いプラットフォームの構築を目指す。

産業界の協力を得て、AI基盤モデルの産業分野への展開を目指すことが最も重要な特徴として挙げられる。今後ロボットのAI化が最も求められている領域として、小売業、製造業、物流業等を対象として選定しており、この領域から着手し、産業界で実際に活用されるAI基盤モデルの開発を進めていく。

 

3つの主要目標を設定

本事業では、産業における生成AIモデルを活用したロボットの社会実装の可能性を検証することを主たる目的としており、3つの目標を掲げている。

1つ目は、データプラットフォームの開発に向けて収集するデータだ。実験環境及び実社会環境において、モデル開発に十分量で世界的に競争力のあるデータを取得する高品質データセットを構築する。

2つ目は、データプラットフォームのデータを用いて開発した生成AI基盤モデルである。複数ロボット種・ユースケースにおいて汎用的な知識転移・スキル学習が可能な性能を有する基盤モデルを構築していく。

3つ目は、上記の生成AI基盤モデルの実環境における評価・検証だ。小売、製造、物流業界を中心に、基盤モデルを応用した個別モデルを実環境(またはそれに類似した環境)で社会実装し、その結果を基に商用展開の可能性を検証する。

 

総額205億円の大型プロジェクト

プロジェクト実施予定期間は2025年10月1日(水)から2029年8月31日(土)までの約4年間で、事業予算は205億円となっている。

再委託先には、Telexistence株式会社、株式会社ABEJA、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人東京大学、国立大学法人九州工業大学、清水建設株式会社、大和ハウス工業株式会社、三菱電機株式会社が参画する。

AIRoAは、AIロボットの社会実装を通じて人と技術が共生する未来を切り拓くことを目指しており、社会課題の解決、産業競争力の強化、そして持続可能な社会の実現に向け、産官学の枠を越えた連携を深めながら、イノベーションを世界へ発信している。

 

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杉田 大樹