インバウンド対応をする存在として、高齢者を楽しませる存在として、人間の新たなコミュニケーションパートナーとして、世界中で数多くのロボットが発表されている。特に日本では、2014年にソフトバンクから発表されたPepperを皮切りに、名だたる大手企業が一挙に参入しているのが特徴だ。
スタートアップがクラウドファンディングを活用して新たなコンセプトのロボットを生み出す一方で、大手各社は研究所で培ってきた成果をもとに、あるいは買収を通じ、他社に勝るロボットを作り出そうと動いている。家電や自動車のメーカーが参入しているだけでなく、通信大手3社が参入をしているのも興味深い。
ソニーが2018年春よりAIBO事業に再参入をするといった報道が出るなど、この活況はまだしばらく続きそうだ。今回の記事では、日本の大手企業計20社のロボットに関する動きを紹介していく。なお、ここでは安川電機やファナック、デンソーなど、ロボット業界の既存の大手プレイヤーについては触れていない。
トヨタ自動車株式会社

これまで生活支援ロボット「HSR」などを開発してきたトヨタ。シリコンバレーに拠点を置く同社の研究所「TRI(Toyota Research Institute)」がロボットやAI関連企業への投資を加速しており、急速にロボット・人工知能領域での存在感を増している。TRIの所長には、DARPAロボティクス・チャレンジのプロジェクトマネージャーを務めたギルプラット氏が就任するなど、優秀な研究者・技術者の囲い込みを世界規模で行っている。
トヨタのHSRは、高齢者の方や障害者の方が、家の中で自立した生活ができるように支援するロボット。最大速度は時速0.8km、重量は37kgで、高さは100.5cm~135cmに可変できる。遠くにあるものを拾ってきたり、遠隔操縦でカーテンの開け閉めをしたり、家の中の様子を確認することが可能だ。持てるものは重さ1.2kg、幅13cm以下のもので、ゴミを拾ったり、棚から物を持ってきたりすることもできる。HSRは、ロボットの競技大会「ロボカップ」のホームリーグにて公式のロボットとして採用されている他、2020年に向けて着々と準備が進められている「World Robot Summit」でも標準ロボットとして採用される。
またトヨタは、コミュニケーションロボット「KIROBO mini」を発表。全国販売に先立ち、東京都・愛知県の一部販売店で先行販売を行なっている。
専用アプリをインストールしたスマートフォンとBluetooth経由で接続することで立ち上がる。本体価格は39,800円で、アプリ利用料として月額300円がかかる。胸にはトヨタのロゴがでかでかと入っている。この分野を推し進めていく力の入れ具合を感じる。
このように、数々のロボットの開発を進めてきたトヨタ。本業の方でも、大学や企業と自動運転に関する研究を幅広く進めるなど、世界での存在感を示している。今後のロボット・自動運転での展開に世界中から注目が集まっている。
ソフトバンク

今回の第3次ロボットブームの火付け役にもなったコミュニケーションロボット「Pepper」を開発・販売するソフトバンクグループ。Pepperに関わってきた人たちにとっては、開発会社のソフトバンクロボティクスに馴染みが強いが、その他にもソフトバンクC&Sがロボットの流通部門の事業化を推し進めるなど、グループ全体でロボットやIoTへの取り組みを行っている。
ソフトバンクは昨年、半導体大手のARMの買収をおこなったことが話題になったが、同グループ代表の孫正義氏によれば、ARMが世界中のIoT機器のセキュリティ対策の”鍵”を握る存在になるという。3.3兆円という買収も、今後を見据えると、お得な買い物だったという印象を持っているようだ。
また、今年はなんと、あのボストン・ダイナミクス、そしてシャフトの買収と立て続けにロボット会社の買収を行なってきている。同社が立ち上げた「SoftBank Vision Fund」は、10兆円もの出資コミットメントを取得しており、以降も様々なロボット企業への出資を続けている。次のSoftBank Robot Worldでは、その一端を見ることができるだろう。
肝心のPepperは、法人向けの販売に力を入れている。法人向けモデルである「Pepper for Biz」には、店舗や受付など業務内容に応じてすぐに活躍ができるように、充実したロボアプリパックが整えられている。また、台湾や中国などに向けた世界展開もスタートしている。アメリカでも少しずつ、実証実験などを進めながら展開されているようだ。ロボットやIoTの話題では、今後もソフトバンクが中心になることだろう。個人的には、ボストン・ダイナミクスのロボットのビジネス展開が気になる。
NTT

NTTドコモは、後述するタカラトミーとともに、2015年10月にコミュニケーションロボット「OHaNAS」の販売を開始した。オハナスには、NTTドコモが所有するしゃべってコンシェルの技術が搭載されている。オハナス自身に可動部位がなく、機能の多くをスマホアプリ側に持たせているため、価格も約2万円と他のロボットと比較しても安い。しりとりや占いなど、会話を使った遊びを楽しめるほか、クックパッドやぐるなびと連携しているため、これらのサービスを使ってレシピやオススメのレストランを教えてもらうこともできる。
2016年5月には、「おしゃべりロボット for Biz」という形で、法人向けの販売スタートしている。自社の商品等に関わる話題をシナリオとして作成することで、お客に対して商品紹介をさせることもでき、店舗や受付などでの導入を進めていきたい考えだ。
また、NTT東日本では昨年9月から「ロボコネクト」の提供を開始した。ロボコネクトは、ロボットに搭載するクラウドサービス。最初の対応ロボットにヴイストン株式会社の「Sota」を選び、介護施設向けにロボットごと提供していくところから事業をスタートする。
ロボコネクトでは、基本アプリケーションの他に付加アプリケーションが準備されており、役割に応じてSotaをカスタマイズすることができる。将来的には、全国で7万ある介護施設のうち1万施設への導入を目指しており、介護施設を皮切りにロボコネクトを広めていきたい考えだ。
そして、先日開催されたCEATEC JAPAN 2017では、NTTグループ各社が保有するAI技術「corevo(コレボ)」と、トヨタが開発を進めている生活支援ロボット、HSRを活用して、日常生活の様々なシーンにおける行動支援を実現する共同研究を開始したことを発表した。同展示会で行われたデモでは、前述のSotaとHSRが協働による接客サービスを行なった。今後も、corevoを中核とした、ロボットサービスの展開を行なっていくことだろう。
シャープ株式会社

台湾の鴻海グループの傘下に入ったシャープは、2016年5月にロボット携帯電話「RoBoHoN(ロボホン)」を発売した。ロボホンは、身長約19.5cm、重さ約390gの二足歩行ロボット。サーボモーターが13個搭載されており、9軸(加速度3軸、地磁気3軸、ジャイロ3軸)のセンサーの他、照度センサーも搭載されている。ロボホンのデザインはこれまで数多くの人気ロボットを生み出してきたロボットクリエイターの高橋智隆氏。「ココロ、動く電話」というキャッチコピーがつけられている通り、自身が二足歩行で歩くことができるだけでなく、会話やお出かけなど日々の生活を通じて、人のココロを動かすようなロボット携帯電話を目指している。
広島の工場で専用の小型サーボモーターを開発するなど、細部へのこだわりにより、ロボホンは完成度の高いロボットとして市場に投入された。まだまだ販売数が伸び悩む一方で、購入したユーザーの評価は非常に高い。
定期的に行われるアップデートにより、ロボホンは目に見えて賢く進化しており、アップデートのたびに新たなロボホンアプリも追加されている。アプリが充実することでユーザーの評価はさらに上がり、口コミで徐々にロボホンの良さが広まっていくことだろう。
そして、先日廉価版のWi-Fi専用モデルが発表された。これにより、法人での導入も伸ばしていきたい考えだ。アプリデベロッパーへのSDKの提供や、認定デベロッパー制度の取り組みも行われており、今後のアプリの充実が一般向け及び法人向けの導入に繋がっていくことに期待したい。
ソニー株式会社

ソニーのロボットといえば、犬型ロボット「AIBO」を思い浮かべる人が多いはずだ。AIBOは、1999年に初号機である「ERS-110」を発売。20分間で3,000台を販売するなど、世の中に大きなインパクトを与えた。その後ERS-7シリーズまで進化を続け、2005年に販売を終了した。多くのユーザーがAIBOに愛情を注いでいたことは、AIBOの葬式まで執り行われたことからも理解が容易い。
ソニーはそのAIBO事業へ、2018年春、再参入を行う。日経新聞が報じたところによれば、「AI技術の深層学習を取り入れ、ネットにつなげて家中の家電製品を操作する機能も持たせる」のだという。
今回のロボット事業は、3年程度での事業化を目指すこと、「脱娯楽」を前提に開発を進めていることを共同通信が以前伝えていた(現在はリンク切れ)。脱娯楽という報道からのAIBOの発表。AIBOをただのペットではなく、役に立つペットにしていくという意味なのだろうか。
また、ソニーは、新規事業創出プログラムとして進められている自社の共創プラットフォーム「First Flight」にて、「ソニーのおもちゃ」と銘打った「toio」を発表した。このtoioは、同社が培ってきたロボット技術が投入されている、新感覚のおもちゃだ。12月1日に発売予定で、価格は基本セットが21,557円(税込)。子供達の想像力を掻き立てる、新世代のおもちゃになる可能性もあるだろう。
ソニーはロボット・AI領域への出資を行う100億規模のファンドも設立している。これまで、AIBO以外にも、世界初の走るヒューマノイドロボット「QRIO」等を開発してきた実績を持つソニーの、これからのロボット事業に期待しているロボットファンは少なくないだろう。
日立

2007年に発表された「EMIEW2」の後継機である「EMIEW3」を2016年4月に発表した日立製作所。同社はEMIEW3の2018年度内の販売を目指し、現在開発を進めている。
90cmの身長のEMIEW3は、いわゆる二足歩行ロボットではなく、足の下についているタイヤで移動するロボット。最大移動速度は6km/h。商業施設や店舗、受付などでの使用が見込まれており、周囲の情報をセンサーでキャッチする「環境認識機能」や複数体の間で情報の共有をするなど「複数台連携制御」を搭載している。また、利用時にEMIEW3自身がアクシデントで転倒してしまう可能性も想定して、自律的に起き上がる機能を持っている。
リモートブレインと呼ばれるクラウド上のロボットIT基盤を活用することで、ネットワーク内のIoT機器とも連携が可能、多言語にも対応していく予定だ。
一方、グループ会社の日立システムズは、ロボットの保守・導入・運用をサポートする事業「ロボティクスサポートサービス」を展開している。全国にいる同社の技術スタッフが、ソフトバンクのPepperの保守を行うなど、縁の下の力持ちのような存在として活躍している。ロボットが広まるにつれて、この分野の競合も増えてくることだろう。
富士通

昨年5月に開催された「富士通フォーラム2016」で発表されたのが、富士通のメディエイタロボット「RoboPin」だ。メディエイタとは、仲裁人を意味する単語。”人と人”、”人とシステム”の間にRoboPinが入ることで、良い関係性を築く手助けをしたいという思いが込められている。
フォーラム当日、RoboPinは、ビーコンなどの外部デバイスを活用し来場客の事前登録情報を把握、そして相手が興味があるブースまでのルートを教える道案内役を担っていた。
富士通は、富士通研究所を通じて1980年代からロボットの研究に取り組んできており、過去には小型ヒューマノイド「HOAP」の開発も行っている。RoboPinは2016年1月に開発がスタートしたばかり。富士通フォーラムを実証実験の場としても活用していたようだ。その後も、各展示会にて、ロボピンの姿を見かける。これら展示会や実証実験でのユーザーからのフィードバックを得て、今後、機能やデザインがどのように変化していくのかに注目していきたい。
タカラトミー

近年休止をしていたトイロボットの事業を2014年に再開。犬型ロボット「ハロー!ズーマー」や猫型ロボット「ハロー!ウ~ニャン」、恐竜型ロボット「ハロー!ダイノ」、デアゴスティーニのロビの幼少期をイメージして開発された「ロビジュニア」など、「オムニボットシリーズ」というトイロボットシリーズで低価格帯のロボットを数多く販売している。これらは「おもちゃ会社が作るロボット」というスタンスのため、役に立つことを狙っているものではないが、一方で前述のOHaNASのように対話が可能なコミュニケーションロボットの領域にもドコモと共に参入している。OHaNASは、遊ぶためだけのロボットではなく、天気を教えてくれたりニュースを教えてくれたりするなど、人の役に立つことも一つの目的とされている。
そして9月には、米国で大ヒットを記録したロボット「COZMO」を日本向けに発売した。COZMOは、自律的な動きが魅力的なロボット。ピクサーのアニメーターが参加していることで、可愛らしい動きを実現している。日本発売後も、テレビを中心に様々なメディアに取り上げられるなど、上々のヒットを記録しているようだ。
同社が持つ「簡単には壊れないものを作る技術」「最先端の技術に固執しない “バランス感”」は、おもちゃだけでなくコミュニケーションロボットに求められているものでもある。おもちゃ会社として子供用のトイロボットを作りながらも、「ロボット」という領域でどのような展開をしていくのか。他社とは違った視点でのものづくりにロボット普及の手がかりがあるかもしれない。
パナソニック

パナソニックのロボットということで最近話題に上るのは、先日IFAで発表され、CEATEC JAPAN 2017で国内でも初披露された「cocotto」だろう。移動機構が気になり、ロボスタでもその動向を追ってきたが、幼児の教育向けの展開を進めていきたい考えだという。
また、今年始めにはCES2017にて、タマゴ型のロボット「PICO」も発表している。
パナソニックはこれまでにも、病院内で働く自律搬送ロボット「HOSPi(ホスピー)」の開発を行なってきた。ホスピーは、病院内の地図をあらかじめインプットしておくことで、目的地までの経路を自身で判断し移動することができるロボット。エレベーターでの移動も可能だ。使用目的は、薬や検体などの搬送。20kgまでの搬送を行うことができる。目的地に到達したかどうかの確認や、現在の運行状態が確認出来る他、開錠記録やどのスタッフがいつ搬送させたかなどを記録に残すことができ、トレーサビリティに優れている。国内だけでなく、海外の病院での導入も進められているようだ。
パナソニックは過去に乾電池EVOLTAの性能をプロモーションするロボットとして、EVOLTAロボットをロボットクリエイターの高橋智隆氏と共に開発している。今年の8月には、同ロボットがノルウェーのフィヨルド登頂に挑むチャレンジを行ない、話題になった。またパナソニックの子会社であるアクティブリンク株式会社がアシストスーツを開発するなど、社内でのロボット技術の蓄積は進んでいると見られる。
NEC

NECは、前身となる「PaPeRo」を発表してから約17年後の昨年、「PaPeRo i(パペロ アイ)」と名付けられた後継機を発表した。「PaPeRo i」は、座布団にちょこんとロボットが座ったデザインをしている。実はこの座布団部分が高速ネットワークルーターになっており、他のロボットとは活用法が少し異なる。「PaPeRo i」のアプリケーションの流通は、NECプラットフォームズが提供するマーケットプレイス「コラボマーケットプレイス」上で行われるといい、様々なパートナーと共に、現在このロボットの魅力を高めるようなアプリケーションを拡充している。
そして、同グループのNECフィールディングは、観光、教育、介護、販売店舗でのおもてなしなど、ロボットの活用を広めるためのサポートサービスを展開している。コミュニケーションロボットだけではなく、ドローンや物流支援ロボットなど、あらゆるロボットを活用した法人向けのサポートを行なっていく考えだ。
また、同じくNECグループのNECネッツエスアイは、米国のロボットベンチャー「サヴィオーク」が開発した客室用デリバリーロボット「Relay(リレイ)」の日本展開をサポートしており、先日品川プリンスホテルにも国内初の事例としてRelayが導入された。NECは、グループの様々な会社からロボット事業が生まれてきている印象だ。各社がシナジーを生み出すことができれば、さらに存在感を増すことができるだろう。
KDDI

KDDIは、2014年7月に発表され、世界中から注目を集めているコミュニケーションロボット「Jibo」を開発する「Jibo,inc.」にコーポレート・ベンチャー・ファンド「KDDI Open Innovation Fund」を通じて出資をしている。
Jiboは、クラウドファンディングサイト「Indiegogo」を通じて発表されたロボットで、MITのシンシア・ブリジール准教授が開発を行ったことで知られている。ファミリー向け知能ロボットとも呼ばれる通り、まるで家族の一員のように一家団欒をサポートするコンセプトムービーは、その未来感が世界中から期待を集め、クラウドファンディング達成率「2288%」という大きな成果を残した。Jiboは、その後のクラウドファンディングで発表されるロボットが目標とする存在にもなっており、特にコンセプトムービーはJiboのムービーと同じテンプレートを使用したかのように似たような映像が作られている。
KDDIはその他にも、株式会社ispaceが運営する日本初の民間月面探査チーム「HAKUTO (ハクト)」のオフィシャルパートナーとなり、HAKUTOの月面探査ロボットの通信システムの共同開発に取り組んでいる。ソフトバンクとの違いは、ロボット会社を買収して自社でロボット開発をしていくのではなく、出資や技術提供を通じて支援していくというスタンスを取っていることだろう。リスクも低いが、その分ロボット事業を行っているという世間の認識も低い。ただし、Jiboの日本語対応版も販売されることがJibo社より発表されており、この日本語版Jiboが発売されて以降は、よりロボット事業に力を注いでいくことが想定される。auショップでは、現在スマートスピーカー「Google Home」の取り扱いも始めている。近いうちに「Jibo」もauショップに並んでいくことだろう。
講談社

講談社がロボット? と疑問に思う人も多いかもしれない。同社は、この春より、株式会社手塚プロダクション、株式会社NTTドコモ、富士ソフト株式会社、VAIO株式会社の4社と協力し、日本を代表するロボット・キャラクター「鉄腕アトム」を目指し、「ATOMプロジェクト」を開始した。その第一弾となったのが、「コミュニケーション・ロボット 鉄腕アトムを作ろう!」というパートワークの創刊である。これは、デアゴスティーニのロビと同じく、毎週届くパーツを組み立てていくことで、鉄腕アトムをもとにモデリングを行ったロボット=「ATOM」が完成するというものだ。「家族の一員」として、家族や友達の顔を認識して12人まで名前を覚え、会話を重ねることで成長していくといった機能を備えている。
4月4日に創刊されたこのパートワーク。特に年配のアトム世代は、自分でアトムを組み立てていることに喜びを覚えていることだろう。
バンダイ

株式会社バンダイは、バンダイナムコグループが取り組むIT エンターテインメントサービスブランド「BN Bot PROJECT」の第1弾商品として、「ガンシェルジュ ハロ」
を、2018年に発売するとの発表を行なった。「ガンシェルジュ ハロ」はアニメ『機動戦士ガンダム』の話題を語り合うことができる AI(人工知能)搭載の対話型コミュニケーションロボットだ。
この「機動戦士ガンダム」の内容に特化した会話AI開発に日本アイ・ビー・エムが、ハロ本体の機構・回路設計及び生産にVAIOが協力している。
本体サイズは直径約 19cm で、Wi-Fi を使いネットワークに接続することで会話をする。アニメ『機動戦士ガンダム』に関する質問やうんちく、クイズなどさまざまな会話が楽しめるという。
バンダイは過去にもハロをロボットとして発売してきた。ここに最新の対話技術が投入されて出来上がったのが、この「ガンシェルジュ ハロ」だ。バンダイは、「BN Bot PROJECT」を通じて、今後も新たなロボットを開発していくようだ。
東芝

東芝はロボット「Apripetit(アプリプチ)」の開発・事業化を進めている。アプリプチは「片手で持ち運び可能なサイズのインタフェースロボット」。見守り・注意喚起をおこなう目的で開発されたため、どこでも役割を果たすことができるようにと、小型化(105mm × 100mm × 150mm)とバッテリー駆動を実現しているのが特徴の一つ。
「今後は、家庭での高齢者や子どもの見守り、家電機器とのインタフェース、及び公共施設や店舗での案内や監視などの応用を考え、実用化を進めます」と2013年にサイト内で説明しているが、販売情報が大手新聞に取り上げられたこともあり、近々発表される可能性も高い。
LINE

クラウドAIプラットフォーム「Clova」を開発し、同社のスマートスピーカーへの導入を進めているLINE。このClovaは、スマートスピーカー「WAVE」や今後発売していく「CHAMP」「FACE」などのラインナップにも導入されていく予定だ。
Clovaは、「Clova Interface」と「Clova Brain」という二つの要素で構成されている。人の耳や目のようにインプットをするのが「Clova Interface」、アウトプットを最適化していく「人間の頭脳」に当たる部分が「Clova Brain」だ。言語処理や言語理解、会話制御を中心とした会話エンジンが投入されており、これらは使えば使うほどシーンに最適化していく。
スマートスピーカーという、Amazon、Google、Appleなどの競合ひしめく分野で、LINEがどのような戦いをしていくのか、ロボット業界のみならず注目されていることだろう。
一方LINEは、このClovaの提供先であるハードウェアを他社との連携により、増やしていく方針だ。ソニーエージェントテクノロジーを搭載したスマートプロダクトを展開するソニーモバイルコミュニケーションズや、スマートトイの分野で市場を牽引するタカラトミーとの提携も発表している。
また、LINEは、バーチャルホームロボット「Gatebox」を展開するGateboxを買収し、傘下に納めた。Gateboxは、好きなキャラクターと一緒に暮らせる世界初のバーチャルホームロボット。最新のプロジェクション技術とセンシング技術を組み合わせることで、キャラクターをボックス内に呼び出してコミュニケーションをとることができる。
初回生産の300台の予約を開始すると、世界各国からの注文が相次ぎ、1ヶ月で予約分が売り切れてしまったという。価格は298,000円で、決して安い買い物ではないにも関わらずだ。このGateboxにもClovaが入っていく。
このように、今後も様々なハードウェアにClovaを導入していくためにLINEは提携を進めていくことだろう。競合ひしめく分野だからこそ、Clovaの成長は想像以上に早いのかもしれない。
デアゴスティーニ

2013年に週刊ロビの創刊号を出版したデアゴスティーニ。その後、ロビは12万台以上も販売され、デアゴスティーニ史上最も大きな売り上げを残す商品となった。ロビの声優は、ピカチューやチョッパーの声優も務める大谷育江さん。ロボットデザインは高橋智隆さん。可愛らしい声と可愛らしいデザインにより、既存のロボットファンだけでなく、女性層にも支持された。
ロビは、中国・シンガポール・イタリアなどへの世界展開も始まっているが、同時にロビのライセンスビジネスも行っている。デザインに熱烈なファンが多いロビは、ロビの幼少期をイメージして作られたロビジュニアや、ロビと共に出かける気分を味わうことができる「ロビスマホ」など、派生商品も広がっているのだ。
そして、今年6月には、ロビの後継機となる「ロビ2」がついに創刊された。ロビ2には、ロビのデザインを引き継ぎながら、新たな技術がいくつも投入されている。パートワークにより、毎号組み立てると完成するというロボットの新しい体験を作り出したデアゴスティーニ。今後はロビ以外のロボットにもチャレンジをしていくことだろう。
富士ソフト

独立系のシステムインテグレーターである富士ソフトは、2010年に二足歩行ロボット「PALRO(パルロ)」を発表。全国の介護施設に導入されている。PALROは特に会話性能の高さやレクリエーションの多さなどが支持を集めている。発表後もアップデートを繰り返しながら、2015年12月には介護施設向けPALROの後継モデルも発表した。後継モデルでは、両手をまたぐ胸筋のような軸が導入されたことにより、腕を使ったより豊かな表現ができるようになった。
また、今年に入り、PALROのコンシューマーモデルを発表している。一般向けにもこのロボットを広めていきたい考えだ。
富士ソフトはロボットの開発だけでなく、ロボット技術者の育成にも力を注いでいる。中でも同社が毎年開催している「ロボット相撲」は、日本のみならず世界中から参加チームを集め、年々その規模を増している。
富士ソフトは今後も「PALRO」のアップデートやラインナップの拡充に力を注いでいくことだろう。他社のロボットも介護施設への導入を進めていくことが予想されるが、同社が培ってきた介護施設向けの知見は大きなアドバンテージになるはずだ。
ヤマハ発動機株式会社

ヤマハ発動機は、車両運転ロボット「MOTOBOT」の開発を進めている。世界中でしのぎを削る「自動車の自動運転化」というアプローチではなく、乗り物本体の改造を必要としない「通常の車両を運転するロボット」というアプローチを取っているのが特徴だ。
ヤマハはMOTOBOTで、今年は最高時速200km/h以上のスピードを出してのサーキット走行を目指している。
MOTOBOTは、スピード・エンジン回転数・姿勢などの情報を元に、搭載した6つのアクチュエータ(ステアリング・アクセル・フロントブレーキ・リアブレーキ・クラッチ・シフトペダル)を操作・制御し、自律的な車両の運転操作を行う。
今後は自車位置を認識する技術や機械学習により、サーキットコースの最適ラインやマシン性能の限界をMOTOBOT自らが判断し、走行を重ねることでラップタイムを向上させていくことを目指している。これらにより、車両を操作・運転する人側の情報の可視化、およびそれに対する車両の挙動の関係性を解明し、より感動を与えられる車両開発に生かす狙いだ。
株式会社DMM.com

DMM.comは世界初のロボットキャリア事業「DMM.make ROBOTS」を2015年にスタート。ハードウェアを作るのではなく、各社のハードウェアを扱う「キャリア」としての地位を確立した。
富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi」やユカイ工学の「BOCCO」、MJIの「Tapia」など複数のロボットをDMM.make ROBOTSのサイトで販売しているほか、イオンなどの実店舗を持つ小売業者と連携し販売網拡大を画策している。またDMMは昨年4月、PwCコンサルティングやハウステンボスと連携して年間来場者約310万人を誇るハウステンボスの敷地内でロボットの実証実験を行っていくという発表を行った。ハウステンボスがこの夏開始した「ロボットの王国」内でも、DMM.make ROBOTSのロボットを活用した取り組みを行っており、来場客からの意見を参考にロボットをより良いものへと進化させていきたい考えだ。
今後も、コミュニケーションだけではない、様々なロボットの販売を行っていくことに期待したい。
富士ゼロックス

富士ゼロックスは、新商品開発プラットフォーム「Wemake」を通じて採択されたファシリテートロボット「ROX(ロックス)」の事業化を検討している段階だ。ROXは、会議中のアイディア出しを手助けするというコンセプトのロボットで、アイディアを出しやすい雰囲気作りや情報の提供など、あらゆる角度から会議を助けていく存在になることが期待されている。現在は社内で希望者を募り、部署をまたいだチームによって開発が行われているが、今後事業化を進めていく上では専任部隊が必要になる。事業化のタイミングはまだ不明だ。
ROXは現在、開発の初期段階といったところ。昨年の「Maker Faire Tokyo 2016」でモックアップが展示された。そのメーカーフェアでは、富士ゼロックスだけでなく数社のスタートアップ企業とともにブース出展をしており、ROXの開発を進める際にも、社内だけでなく社外と連携して進めていくことが想定される。
まとめ

ロボットは、現段階では成功が難しい市場の一つと言える。なぜなら未だ誰も成功パターンを知らないからである。しかし、それでも大手企業がこぞってこの市場に参入しているのは、未来の世の中を見据えた上で、データを蓄積するために、知見を蓄積するために、”今”参入することが必要不可欠だと感じているからだろう。
この先9.7兆円まで拡大していくと言われるロボット市場。日本のロボットは特に海外でも注目度が高く、海外のメディアでもしばしば日本のロボットが紹介されているのを見かける。国内の市場だけで争うのではなく、海外市場も含めた展開を、各社に模索していってもらいたい。







