微細なキズでも見逃さない。
ディープラーニングで学習したAIと産業用ロボットが連携して、スマートフォンのバンパーのキズを自動で判別する試作機を産業用ロボットの大手、ファナックがコンセプト展示した。ディープラーニングの部分はプリファードネットワークス(Preferred Networks)社が開発した。曲線形状の検査は難しい技術だが、高精度で実現していると言う。
展示したのは12月12日と13日に開催されたNVIDIA主催の「GTC Japan 2017」。NVIDIAのGPUが使われている。
産業用アームロボットがスマートフォン用の外枠(バンパー)をピッキングし、カメラの前に持っていく。ロボットはカメラに全面が写るようにバンパーの向きを変える。この間にカメラは90枚の写真を撮影し、90枚の画像からキズの有無をコンピュータが約22秒間で判別していく。
判別にはクラウドではなく、アームロボットの下に設置したコンピュータで行っている。90枚の高解像度画像をクラウドに送るには送信時間がかかるため、エッジ側で処理する。NVIDIAのGPUボードを活用し、ディープラーニングで機械学習したコンピュータは、高精度でキズの有無を見分ける。人間では気付かないようなキズでも判別できる。
デモなのでバンパーは並べて置いているが、実際の現場ではベルトコンベアなどでラインに流れてくる製品や部品をロボットが次々に検査する、という流れになると想定している。
なお、このロボットは「安全柵不要」をうたう協働ロボット。周囲の人や物に触れた瞬間に停止するしくみが導入されている。
■ファナックが展示したディープラーニングを使ったキズ検査ロボット
ここ数年、産業用ロボットと機械学習の連携が急速に進んでいる。
産業用ロボットの精度技術は日本がリードしているので、頭脳の部分でも今後の進展にますます期待できそうだ。
GTC Japan 2017 特集
ファナック株式会社