TechShare株式会社は、2025年12月16日(火)から18日(木)までの3日間、東京・秋葉原で「Robot Innovation Week 2025」を開催している。今回で3回目の開催となる。


会場では、話題のヒューマノイド「Unitree G1」や「R1」を展示。Unitree社やDobot社、AgileX社の製品紹介や開発環境の解説に加え、シミュレーションやSim2Real、模倣学習、強化学習といった最新ロボティクス技術をテーマにした講演が行われた。また、イベント終了後には軽食やドリンクが用意された技術交流会も実施された。



イベントは、以下の4つのカンファレンスで構成されている。
・Unitree Developer Conference 2025
(四足歩行ロボット・ヒューマノイドに関するカンファレンス)
・DOBOT User Conference 2025
(ロボットアームに関するユーザーカンファレンス)
・Learning Robot Conference 2025
(深層強化学習・模倣学習に関するユーザーカンファレンス)
・AMR/UGV Conference 2025
(自動搬送ロボットと移動ロボットに関するユーザーカンファレンス)
今回は、この中でも特に注目度の高い「Unitree Developer Conference 2025」の初日をレポートする。
Unitree Developer Conference 2025 概要
日程:2025年12月16日(火)~17日(水)(2日間)
主催:Unitree Robotics社、TechShare株式会社
主な講演テーマは以下の通り。
・Unitree社の最新ヒューマノイドロボット
・深層強化学習・模倣学習によるヒューマノイドロボット開発
・ヒューマノイドのテレオペレーションとデータ収集技術
・Motion Capture Device/Hand Captureによるテレオペレーション
・基盤モデル開発の取り組み
・Unitree社の最新四足歩行ロボット
・四足歩行ロボットによる定時巡回システムと実証実験事例
・自動巡視向け関連ソリューション
・モーションキャプチャとテレオペレーションを活用した模倣学習
■展示会場にはヒューマノイドがいっぱい
TechShareは、中国のヒューマノイド開発・製造企業であるUnitree Robotics社の総代理店として知られている。会場には数多くのUnitree製ヒューマノイドが静態・稼働の両方で展示され、来場者の注目を集めていた。

エントランス付近では、新型モデルで身長180cmの「Unitree H1(H1-2)」が静態展示され、来場者を出迎えていた。その堂々とした佇まいは、独特の存在感を放っていた。

高い身体能力を獲得したヒューマノイドにとって、次の課題はハンドと指の機能だ。産業用途で実際に役立つかどうかは、ハンド機能の性能やスキル向上に大きく左右される。

新型モデルの「Unitree R1」(身長約120cm、重量約25kg)は稼働展示が行われた。スポーツ用途向けに設計されたモデルで、側転やシャドーボクシングなど、高い運動性能を披露した。
R1は教育・研究(R&D)分野での利用も想定されており、高度な開発環境と拡張性を備えている。R&Dモデルでは専用のソフトウェア開発キット(SDK)も提供される。


画像や動画で見るとヒーロー的で格好いいデザインのため、大人サイズの身長だと勝手に感じていますが、実際に目にすると意外とコンパクトだ。しかし、その機敏な動きを目の前で見ると、性能と迫力に圧倒される。

なお、「Unitree R1」の本格的な販売は2026年を予定している。
お馴染みの「Unitree G1」(身長約130cm)も展示された。カンフーやキックボクシングなど、驚異的な運動性能で世界を驚かせたヒューマノイドだ。

横から押しても倒れない。身体性能は日に日に進化している。

遠隔操作でパフォーマンスを行うエンタメ向け・R&D向けモデルに加え、産業用途に対応可能な二次開発向けモデルが用意されている。
今後は、ヒューマノイドの汎化性能の向上ため、ハンドや指のさらなる高性能化に期待がかかる。
上半身と下半身は別々のデータでそれぞれ学習する手法があるという。この機体は上半身の機械学習用。ハンドはセンサー付きグローブでデータをとる


身体の向きを変えたり、前後左右に移動するのはフットペダルでデータ収集する。

RoboCupなどのロボット競技や先端研究用途に特化した次世代モデル「Unitree G1-Comp」という機体もラインアップがされている(発売時期等は未定)。
会場では、四足歩行ロボットも来場者の注目を集めていた。特に、人懐っこく歩き回る様子が印象的だ。四足歩行ロボットはシリーズ展開が豊富で、用途や目的、予算に応じたモデルが用意されている。



連携パートナーによる展示ブースも多数出展
ソニーは、開発向けボード「SPRESENSE(スプレッセンス)」を展示。IoTやエッジAI向けの高機能・低消費電力ボードコンピュータで、組込み機器やセンサー機器、エッジ処理デバイスの開発に活用できる。マルチコアCPUやGNSS内蔵といった点が特徴だ。
ブースでは、自律移動する小型ホイール移動型ロボットの展示も行われていた。


人の身体動作や筋肉の動きをデジタル化し、ロボットやアバターに伝える技術を開発するスタートアップ企業のH2Lは、カプセルインタフェースとヒューマノイドを接続したデモを展示。ヒューマノイドの視界をカプセルのコクピットにリアルタイムで映し出し、操縦者の手の動きに合わせてヒューマノイドの腕が動く様子を披露した。将来的には、ヒューマノイドからの力覚フィードバックにも対応する予定だ。

■最新フィジカルAIの開発者向けセミナー
イベントのもうひとつの見どころが、開発者向けセミナーだ。Unitree社CEOによる講演(英語)のほか、TechShareの重光貴明社長がUnitree製品や開発環境について解説する講座など、複数のセッションが用意された。

連携企業や大学研究者によるヒューマノイド開発事例、機械学習を活用した開発手法やトレンドも紹介され、ヒューマノイド開発を検討する企業や研究者にとって、情報収集の場として最適なイベントとなっていた。

印象的だったのは、「ヒューマノイドを遠隔操作して建機を操作する」という研究事例が偶然、2件発表されたことだ。建機オペレーターの高齢化が進み、すべての建機を自動運転化するにはコストがかかる中、汎用的に対応できるヒューマノイドを活用するというアプローチに、具体的なニーズがあることが示された。
■交流会も開催
一日のプログラム終了後には、軽食やドリンクが用意された技術交流会が開催された。講演者や開発元メーカー、協賛パートナーとの交流や情報交換が行われ、会場は賑わいを見せた。

ヒューマノイドのパフォーマンスを披露する余興イベントも行われ、イベントを締めくくった。







