株式会社メディカルユアーズロボティクスは、最新式薬局ロボット「RIEDL Phasys(リードル・ファシス)」のオプション機能として、フィジカルAI搭載の次世代完全自動入庫システム「Ultra Phasys(ウルトラ・ファシス)」を発売した。
Ultra Phasysは、従来のプログラム制御型自動入庫装置とは根本的に異なり、物理世界を理解し、自律的に判断・学習するフィジカルAIを中核に据えた入庫システムとなっている。
自動化から自律化へ
従来の入庫装置は、あらかじめ定義された条件下でのみ安定動作する自動化装置だった。しかし実際の薬局現場では、箱の歪み、印刷面の光反射、微細な寸法差、製品同士の密集・重なりといった個体差や製品の滞留が常時発生する。
Ultra Phasysはこれらをリアルタイムに検知し、状況に応じて動作を最適化。固定アルゴリズムではなく、状況適応型の自律制御を実現した。
フィジカルAIの中核技術
Ultra Phasysの中核技術は大きく2つある。
①3Dビジョンによる個体差認識
箱の歪み・角変形を三次元解析し、表面反射の補正処理を行い、把持位置をリアルタイムで再計算する。これにより、不安定要素を前提とした把持制御が可能になる。
②予測型単品分離(Predictive Item Singulation)
ホッパー部では、AIと人工視覚モジュールが連動し、製品流量を常時解析。従来の振動式・連続搬送方式とは異なり、画像駆動型・間欠制御(Stop & Go制御)を採用している。
AIが製品密度をリアルタイム解析し、密集・クラスタを検出。適切な間隔が確保された場合のみ搬送し、過密時は微小加減速パルスを発生させる。慣性と重力を利用し自然分離を促進し、過密状態を検知した場合は即時停止し、十分なスペース確保後に再開する。これは単なる搬送制御ではなく、物理挙動を理解したAI制御となっている。
機械学習による入庫成功率向上
Ultra Phasysは、把持成功・失敗データを継続蓄積し、誤差要因を解析してアルゴリズムを自己最適化する。これにより、従来型装置と比較して入庫成功率を大幅に向上。単なる全自動ではなく、学習し続ける入庫ロボットへ進化した。
最大360パッケージ/時の処理能力
Ultra Phasysは、円筒形・角形パッケージに対応し、6軸多関節ロボットを採用。ニューラルネットワークによる物体検出と使用期限自動読取機能を備え、最大360パッケージ/時の処理能力を実現した。閉局時間帯での無人連続稼働も可能だ。
対物業務の完全自律化へ
RIEDL Phasysとの統合により、入庫、保管、在庫管理、払い出しを一気通貫で自動化する。さらにフィジカルAIにより、人の経験や勘に依存していた微調整をロボットが自律的に学習。
これにより、作業時間の大幅削減、人為的ミスの低減、機械停止時間の最小化、薬剤師の対人業務への集中を可能にする。
従来型入庫装置との決定的差異
Ultra Phasysの最大の差別化は、AIが物理現象を理解し、制御することにある。箱の歪みを認識し、光反射を補正し、流量を解析し、慣性・重力を活用し、入庫成功率を自己学習する。固定アルゴリズムによる従来型入庫装置とは、設計思想そのものが異なる。
代表取締役の渡部正之氏は「Ultra Phasysは自動化ではなく自律化だ。薬局の対物業務を完全にロボットへ移行させるための技術的ブレークスルーだと考えている。プログラム制御ではなく、物理世界を理解し学習するロボットこそが、次世代薬局の基盤になる」とコメントしている。
今後の展開
Ultra Phasysは順次国内薬局への導入を開始予定だ。メディカルユアーズロボティクスは、日本の計数調剤文化下においても安定稼働可能な入庫システムとして、薬局DXを加速していく方針を示している。


