今後、検索の50%は音声にシフトする。その時に考えなければいけないこととは?

AI音声アシスタント搭載スマートスピーカーの普及が欧米で進む中、「検索」という行動も変化してきている。



音声による検索の増加

調査機関によっては、その見通しにブレはあるものの、近い将来、30〜50%の検索は音声を通じて行うものとなるという。

参考

・2016年、消費者の40%が毎日音声で検索している。(comScore

・2020年、検索の30%は音声で行われる。(Gartner

・2020年、検索は50%は音声で行われる。(comScore

単にデバイスが、PC・スマートフォン・タブレットから、スマートスピーカーになるというだけの変化ではない。以下、その検索の変化も見ていく。



音声による検索の変化



検索回数が増える


まずなんでも気軽に検索するようになる。なぜなら検索方法の中で、音声が最速かつ簡単だからだ。例えば、何かを検索したい時に、スマートフォンを手に持って検索ワードを入力するよりも、スマートスピーカーに向かって「ねぇ、◯◯を検索して」という方がはるかに便利なのがわかるだろう。この使い勝手の変化により検索回数は大きく伸びることが予想される。


検索キーワードが増える


また「検索キーワード」が変わってくる。検索窓にキーワードを入れるプロセスに我々は慣れてきている。例えば、「カレー 人気 目黒 ランチ」など複数キーワードでの検索などが一般的な検索方法だろう。ところが音声を使う検索は基本的に自然な会話での検索になる。「目黒でランチやってる美味しいカレー屋さんを教えて。」といった感じだ。


検索エンジンも変化が

Image: WSJ / What’s Next for Tech and Media in 2017

現時点では、AI音声アシスタントの検索エンジンの選択状況が、Bing優勢になっている。Googleを採用しているのはGoogle Assistant搭載のGoogle Homeだけだ。Amazon EchoもApple Siriもその他すべてMicrosoftのBingを採用してる。PCやスマートフォンで圧倒的なGoogleの存在が、音声検索においては圧倒的ではないということになる。

もちろん現時点ではということであって、今後もこれが続くとは限らない。GoogleはiPhoneのデフォルト検索エンジンとなるために、年間3,300億円をAppleに払っているとの報道もある。近い将来、検索の50%が音声になるかもしれない状況において、Googleはこの領域を死守すべくお金を払ってでもシェアを拡大すると予想する。


検索結果が減る。上位でなければ存在感なし。

Image: Google

実際にAI音声アシスタント搭載スマートスピーカーを使うとわかるのだが、音声による入力はとても楽だ。しかし音声で長文を読み上げられると、画面に比べて頭に入りにくい。

つまり、音声での検索で、検索結果を上位から順に何十件も読み上げてくるようなスマートスピーカーは使いづらいのだ。結果的に上位1〜3件程度を読み上げるのが基本になるだろう。そう考えると、WEBのSEOの感覚よりさらに上位表示の必要性が高まることは言うまでもない。読み上げてもらえなければ存在しないのと同じなのだ。

しかも、検索結果の上位表示を有料で購入するリスティング広告も音声の検索結果には対応していない。リスティング広告に依存していた人はなかなか難しい展開となりそうだ。


音声スキルの重要性が高まる方向へ

Image: Amazon / Alexa Skills Store

当然の事だが、今後音声での検索の中で、音声ネイティブなスキルも検索でヒットしていく方向となる。アプリやメディア運営事業者にとっては適切なスキルを準備する重要性は高まっていくことが予想される。

僕はこう思った:

検索を使ったマーケティングや、検索流入を意識する事業者にとっては「音声による検索」の増加は、大きなインパクトがありそうですね。

またスキル開発に関しても諸々コンサルティングを行っていますので興味があればご連絡ください。


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ABOUT THE AUTHOR / 

中橋 義博

1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。

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