ソフトバンクが法人向け事業戦略を発表 IoT/5G、データ、AIの精鋭部隊「DX本部」が成果を出す
ソフトバンク株式会社は、2019年7月2日に都内で報道関係者向けに法人事業戦略説明会を開催した。同社はこの説明会で「Beyond Carrier」(通信事業者を超えて)という事業戦略を示した。これは通信事業者の枠を超えてAI(人工知能)やIoT、5Gをはじめとした最先端テクノロジーを活用したサービスを提供することで事業の拡大を目指すことを示している。説明会では、この戦略をけん引する法人事業のミッション、同社の強み、成長戦略、最新事例等が説明された。
説明会の冒頭に登壇した同社CEOの宮内氏は「従来、法人事業についてメディアに報告する機会をあまり持ってこなかったが、これからは年に二回程度のペースで持っていきたい。法人事業は成長の原動力だと考えている」と語った。
現在、ソフトバンクが注力している市場の規模や今後の予測についても触れた。
キーテクノロジーとしては、IoT/5G、データ、AIの3つを上げた。従来はロボットも含まれていたが、この日のテーマとしては含まれなかった。
最初に触れたのはIoT。armとのやりとりから、世界のIoTデバイスは2035年には1兆個に達するだろうと予測。また、20年間でIoT機器がやりとりするデータ量は2,450倍の、2.3ZB(ゼタバイト)に膨れ上がるとした。
IoT関連はデバイスだけでなくソリューションも増加し、市場規模は1534兆円を見込む。
次に触れたのは「AI」。2025年のAI市場は318兆円へと拡大するとした。また、データの活用ビジネスの市場規模は2023年には40兆円規模になると予測した。
これらの技術が組み合わされて、あらゆる産業が再定義されるが、同社は社会課題の解決を企業とともに推進していくとした。また、同社の売上を「数年で営業利益を倍増、もしくはそれ以上にできるのではないか」と意気込んだ。
BtoBtoCのビジネスモデルが主流に
続いて、COOの今井氏が「法人事業の戦略について」を解説した。
今井氏はこれまでのソフトバンクの事業の変遷を説明しつつ、通信事業を軸足に新領域を開拓することを表明した。
ソリューションは、ロボット、AI、RPA、セキュリティ、デジタルマーケティング、クラウド、IoTなどを例にあげ、それぞれソリョーションごとのプロダクトやパートナーも示した。
売上や収益が順調に向上していることも紹介した。同社の昨年度の営業利益735億円、増収増益を達成している。
こうしたことを背景に、今後は社会課題にICTで挑み、ソリューション提供によって企業の労働生産性の向上に注力していくとした。「今後は、ものを売るビジネスモデルからサブスクモデルが注目されていき、BtoBtoCのビジネスモデルが主流になっていくだろう」とした。
また、ソフトバンクグループには、Yahoo! Japanがあり、Yahoo! Japanが今後のグルーブ発展のキーとなっていくことも示唆した。
精鋭部隊DX本部が成果を出し始める
ソフトバンクは社内に約三千人の営業メンバーがいるが、その中から120名を選抜して精鋭チームを結成していることを発表した。名称は「デジタルトランスフォーメーション本部」(DX本部)とし、社会の課題解決に向けた専門組織であり、ソフトバンクの次の柱になっていくという。
DX本部では、新規事業に向けたスキル教育が行われ、新規事業アイディアを450件出した。そのうちの35件の案件が既に進行中だという。これは2年間掛けて育成してきた成果であり、17件が今まさにマネタイズの時期を迎えているとした。
マネタイズの時期を迎えている案件を業種別にみると、小売・流通、不動産・建設、サービス・観光、が3つ、ヘルスケアが2つ(あとはその他)。どの案件にも、AIとIoTのテクノロジーが関わっているという。
また、具体的な案件として、本日発表となった「イオン九州とソフトバンク、ラストワンマイルの物流効率化を目指して協業」を紹介した。
この事案については別途記事「イオン九州とソフトバンクが物流で協業 AIを駆使した配送マッチングサービスの実証実験」にて紹介する。
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