ソフトバンクとイオン九州が深夜配送など物流で協業 AIを駆使した配送マッチングサービスの実証実験

ソフトバンク株式会社には社内に約三千人の営業メンバーがいるが、その中から120名を選抜して精鋭チームを結成していることを発表した。名称は「デジタルトランスフォーメーション本部」(DX本部)
その精鋭部隊が取り組んで実証実験のひとつがイオン九州での物流改革だ。

7月2日、イオン九州とソフトバンクはイオン九州の店舗からの商品配送をICT(情報通信技術)によって効率化することを目指し、物流分野において協業することを発表した。





最初に注力すべきは物流改革

2017年10月に設立した「デジタルトランスフォーメーション本部」は120名の精鋭メンバーからなるという。彼らは労働人口減少という日本の将来に最も影を落とす社会課題に対して、ICTソリューションで解決することに挑んでいる。
注力する分野として小売・流通、不動産・建設、サービス・観光、ヘルスケアの4つの領域に絞り込んで取り組んだものの、その上で大きな課題が見えてきた。それは、まず物流から改革をしなければ、他の分野での改革やその進展が難しいということだった。




イオン九州がソフトバンクのプラットフォームで深夜の配送の効率化を目指す

両社は物流の効率化を目指し、お客の自宅まで商品配送業務(ラストワンマイル配送)の実証実験に取り組んでいる。AIを使ったマッチングや最適な配送ルートの選定などを行い、配送の効率化とコスト削減を行う。


協業の第1段階では、2019年6月から、夜間配送の需要調査としてイオンショッパーズ福岡店(福岡市中央区天神)のネットスーパーの注文品を、夜間22~23時を含む時間帯にお客の自宅へ配送する実験を行った。

第2段階では、ネットスーパーの注文品を注文者の自宅まで配送する業務を、地域の配送ドライバーとマッチングするシステムを活用して実証実験に取り組んでいく。

実証実験の対象としている「マッチング」とは、注文された製品を配送するドライバーをマッチングすること。更には従来はドライバーは配送すれば業務完了で、空荷で帰ってくることになるが、このシステムでは帰りにも荷物を積んで走るマッチングにも応用し、極力、空荷での無駄な走行を減らすことで効率化やコスト削減を行っていくとしている。


ネットスーパーの配送業務も需要の変化に対応へ

共働き世帯の増加や高齢化社会の進行により、買い物の負担を軽減できるネットスーパーはさらなる需要が期待されている。通常の配送時間には家を空けているケースが多く、そのために再配達が増加し、物流の大きな負担となっている。




一方、配達が受け取れないなどの事情がネットスーパーの宅配サービス利用の阻害要因ともなっている。この噛み合わない課題を解決することが重要と考えた。


イオン九州のある九州エリアは、高齢化の影響で、店舗まで日用品を購入しに行くことに不便や苦労を感じる方が増えていることが課題であり、ネットスーパーはその解決手段として高い期待が寄せられている。

一方、ネットスーパーの配送業務においては、お客の荷量が日によって異なるにもかかわらず、常時、配送車両のトラックを一定数確保する必要があり、余分なコストの発生や急な需要の変化に対応できないなどの課題を持つ。このため、即日配送や夜間配送に十分な対応ができず、当日の受け取りニーズが高い生鮮食品などにおいては、ネットスーパーの利用が十分に進んでいない。


実証実験では配送マッチングサービス「PickGo」を活用

両社は、需要に応じた配送車両の手配や配送コストの最適化を実現することで、夜間も含めて、お客のニーズに合わせた配送サービスを行うことを目指している。実証実験では、協業パートナーであるCBcloudの配送マッチングサービス「PickGo」を活用して、荷量に応じて必要な時に、必要な車両数だけを手配し、地域の登録ドライバーとマッチングして配送を行っていく。

これによりこれまで十分に対応できなかった、22時以降の配送需要にも対応し、お客の利便性の向上を図ると共に、両社は、イオンショッパーズ福岡店での実証実験を踏まえ、今後さらに配送対応時間の拡大を目指す。

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ロボスタ編集部

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