ANA空港ラウンジで下膳ロボットを本格運用開始 年間約684万円のコスト削減、約7割のスタッフが「負荷が軽減された」

チェンジホールディングスの子会社であるDFA Roboticsは、全日本空輸が運営する羽田空港および成田空港の「ANA SUITE LOUNGE/ANA LOUNGE」において、下げ膳ロボット「HolaBot(ホラボット)」の提供を開始したと発表した。

2024年6月の実証実験開始以降、安全性・静粛性・操作性に加え、充実したアフターサポート体制が高く評価され、国際線ラウンジでの正式運用に至った。



下げ膳作業の負担と美観が課題

ANAラウンジでは、広大なラウンジと洗い場を台車で往復する下げ膳作業がスタッフの負担となっていた。ピーク時には一度に大量の食器が回収されるため洗い場でも業務が集中し、台車走行時の騒音が静かなラウンジ空間の美観を損なうという課題があった。こうした問題を解決するため、羽田空港第2・第3ターミナルおよび成田空港国際線ラウンジにおいて、HolaBotの導入が決定された。


7割のスタッフが身体的負荷軽減を実感、年間約684万円のコスト削減効果も

導入により複数の効果が確認されている。スタッフ約70名へのアンケートでは約70%が「身体的負荷が軽減された」と回答した。業務効率面では、1日当たり平均255回の下げ膳を代替し、仮に時給1,500円として試算した場合、年間約684万円のコスト削減効果を見込んでいる。

騒音を生まない走行と、食器が見えにくい構造により、上質なラウンジ空間を維持できている。また、一定ペースで食器が届くため、洗い場の作業量の波が緩和され、業務の平準化も実現した。



業務改善や美観維持に寄与

全日本空輸CX推進室の稲井氏は「ラウンジという特別な空間内で、ロボットが雰囲気を損ねないかも懸念点としてありました。しかし、スタッフの身体的負荷の軽減、下げ膳という単純作業の効率化という課題解決のため、ロボット導入を検討することに決めました」とコメント。DFA Roboticsの充実したアフターサポート体制が導入の決め手となったと評価している。

ANAエアポートサービスの佐野氏は「ロボットではこまめに運搬できるため汚れた食器がラウンジ内に滞留しない点も美観維持に寄与しています」と述べた上で、洗い場スタッフの業務効率改善効果も強調した。

DFA Roboticsは今後も、空港ラウンジを皮切りに、ホテル、病院、商業施設など「重く・単調・往復が多い」業務の自動化を推進することで、導入企業や団体における人ならではの高付加価値サービス創出を支援する方針である。


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ロボスタ

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