自動搬送ロボットとエレベータが電話交換機(PBX)で自動連携 ホテルサンルートプラザ新宿がルームサービス提供をDX

相鉄ホテルマネジメントとDFA Roboticsは2025年4月10日、相鉄ホテルマネジメントが運営する「ホテルサンルートプラザ新宿」において、DFA Roboticsが提供する運搬ロボット「KEENON W3」を導入し、“ロボットが階をまたぐ”ルームサービスの提供を開始した。

なお、相鉄ホテルマネジメントが運営するホテルにおいて、運搬ロボットの導入は今回が初となる。

導入の背景


「ホテルサンルートプラザ新宿」は、JR新宿駅南口・バスタ新宿から徒歩3分と観光に便利な立地もあり、外国人旅行客から人気の宿泊施設で、インバウンドの追い風を大きく受け客足は増加傾向にある。一方で、慢性的な人手不足や人件費高騰による採用難という課題に直面していた。そうした背景を受け、同ホテルは少ない人数で効率的にホテル運営を行うために、業務のデジタル化や自動化を推進している。

このたび、相鉄ホテルマネジメントとDFA Roboticsは、「ホテルサンルートプラザ新宿」において、エレベータと電話交換機(PBX)と自動連携を行う最新機種「KEENON W3」を導入し、エレベータの乗り降りが可能な、階をまたいだロボットによるルームサービスを実現した。これにより、従業員の大幅な負担軽減やホテル運営の効率化を実現するとともに、ホテルの利用客に最新テクノロジーを活用した新しいサービスを提供する。

本運用が実現した仕組み

本ルームサービスは、ロボットとエレベータを電話交換機(PBX)で自動連携することで実現。本ソリューションにおけるエレベータとの連携には、相鉄ホテルに導入されているフジテックのエレベータと、相互接続が可能なロボット・建物設備間連携サービス「LCI」を利用し連携している。

「LCI」は、Octa Roboticsが独自に開発する、エレベータ、自動ドア、セキュリティ、ロボットの種類を問わずマルチベンダーでの連携を可能にする通信サービスで、ロボットが建物内を自由に移動できるシステムである。国内の主要エレベータメーカーの制御盤と相互接続が可能な安全性の高い接続方式を採用し、国内でも数多くの実績を誇っている。

またロボットと繋がるCloud経由で電話交換機(PBX)が自動連携しており、ロボットに指示した客室の内線電話での通知が可能となった。

各企業の役割

株式会社DFA Robotics ・全体の取りまとめ
・ロボットの販売および導入サポート
株式会社Octa Robotics ・ロボット、建物設備間連携サービス「LCI」の販売および導入サポート
フジテック株式会社 ・エレベータ改修およびサポート


運用方法

ルームサービス・アメニティ運搬の流れ

1:利用客は客室から運搬依頼
2:1Fのフロント前よりスタッフがKEENON W3に運搬物を入れ、運搬指示
3:KEENON W3はエレベータに自動で乗車
4:指定のフロアでKEENON W3が自動で下車
5:KEENON W3が客室前に到着すると、内線電話でお客さまにお知らせ
6:利用客はKEENON W3から運搬物を受け取り、ディスプレイの「完了」ボタンを押すことでKEENON W3は自動で帰還


今後の展開について

訪日外国人旅行客が過去最高を更新するなか、ホテル業界の人手不足は益々深刻化している。ロボットによる運搬や清掃の自動化が求められる一方で、エレベータとの通信の複雑さや既存設備の制約により、階をまたぐ移動がロボットの導入の障壁となっている。

DFA Roboticsは、ロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)にて、ロボットと建物設備の連携における標準ルールを策定する企業Octa Roboticsのサービスを活用することで、ロボットとエレベータのスムーズな連携を実現。

DFA Roboticsは、飲食店や病院、またホテルなど様々な業態へのロボティクスソリューションの提供ノウハウを通じて、企業の効率化を支援しています。今回のエレベータと相互接続したソリューション提供により、今後は、物流など新たな領域での事業展開を検討するとともに、Octa Roboticsをはじめとするロボットの社会実装を目指すパートナー企業と協業し、各業界の抱える人手不足の解消や効率化の課題解決に取り組んでいくとしている。

導入施設の声

ホテルサンルートプラザ新宿 菊池健一郎 氏

ホテルサンルートプラザ新宿は、訪日ゲストは95.2%を占め、624室を有するホテルです。ロボットは労働力不足の緩和と労働の最適化が出来ると思い、新たな取り組みとして導入しました。

導入のきっかけは、ホテル運営をしていく中で客室へのデリバリーサービスを求める声が多く、且つ、要望は多岐にわたり時間帯別では22時以降に集中し、一日に数十件のデリバリーサービスの需要が増加傾向の背景があり、また、オーダーが多くなればなるほどに業務が過密になることでスピード性を失いお叱りを受ける場面も増え、顧客満足度の低下につながる状況となっていたことです。

そこで、迅速な配達と効率化を兼ね備えたロボットを導入し、24時間稼働させることでお客様への利便性向上と手薄な時間帯による作業、また、巡回モードを搭載させて夜間時の防犯強化と総合的に活用を考えました。

また、近況ではお客様にもご理解いただけたようで、エレベータで一緒になることもあり、微笑ましい光景が見られるようになるまでになりました。単純作業をロボットに置き換えることで、効率性の向上、コストの削減、サービスの質の向上など、多面的なメリットが生まれ、ホテルの品質向上につながっていると実感しています。スタッフ一同、DX化の推進に取り組んでいきたいと感じております。


KEENON W3について


DFA Roboticsが取り扱う搬送ロボット「KEENON W3」は、1度に最大4部屋まで運搬が可能なロボット。エレベータ連携への対応や、客室の内線電話からの到着通知機能を搭載している。

高級感のあるデザインで、ラグジュアリーなホテルの空間との親和性も高く、各国のホテルで導入実績を持つ。

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ロボスタ編集部

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