
ソフトバンクの最大規模となる法人向けイベント「SoftBank World 2025」が開幕した(オンデマンドで8月29日まで配信中)。
特別講演にはソフトバンクグループの孫正義会長が登壇、今後は「AIエージェント」が大きく進化し、普及していくことを強調した。また、冒頭でChatGPTで知られるOpenAIのCEO、サム・アルトマン氏がオンラインで参加し、孫氏との対談をおこなった。
AIはクリエイティブ分野にも次々と進出
孫氏は講演の初めに「The Velvet Sundown(ザ・ヴェルベット・サンダウン)」の楽曲を紹介した。これはボーカルも音楽もすべてAIが生成した作品として最近話題になったバンドだ。孫氏は「言われないと、人間が作ったのか、AIが作ったのか判別できないレベルで、感動を呼ぶような内容」と語り、クリエイティブ分野でさえも、人間だけが創作できる聖域ではないことを示唆した。
オンライン対談でサム・アルトマン氏が登場
孫氏は特別講演で「これからソフトバンクグループ総力でAIエージェントを徹底活用する。社員全員が持つのはもちろん、一人が1000のAIエージェントを持つ案を企画するように提案した」と語った。これは将来、10億のAIエージェントが活用される社会を示したもの。
オンライン対談では、孫氏がアルトマン氏に「最近のAIエージェントの動きについてどう思いますか?」と質問すると、「特別講演に呼んでくれてありがとうございます。AIエージェントの最初の目標はどんな質問にも答えられる、というものでした。そして、今はAIが考えや行動を示してくれたり、レポートを書いたり、プログラムを生成したりもできるようになりました」と答えた。
その後、孫氏とアルトマン氏は「スターゲート(Stargate)」構想について考えを共有した。ソフトバンクの「スターゲート」構想は、OpenAI等との超大規模なAIインフラ整備(データセンター構築)プロジェクトで、2025年1月に米ホワイトハウスにおいて、トランプ米大統領の就任直後の記者会見で発表されたことでも注目された。初期段階では1000億ドル(約11兆円)を投入し、その後の4年間で計5000億ドルを予定している。
両氏は「AIエージェント」が自分に寄り添って情報を収集して考えを示し、自分の代わりに行動までしてくれるエージェントのような存在となり、人々とコミュニケーションを取ったり、AIエージェント同士で検討したり、情報を選別したりできるようなものになるという考えで一致した。
超知能ロボットが登場する未来社会
また、両氏は「AGI」や「SGI」についても考えを交わした。アルトマン氏は、5年後にはAGIが登場し、ロボットに搭載されて超知能ロボットになり、モノを動かしたり、生産することができるようになると推測した。また、数百万台の超知能ロボットを作れば、それらが数10億のロボットを作ることができ、10億のロボットがあれば世界中で多くの物資があふれるようになり、超知能によってどんな知的な活動もほぼすべてできるようになるでしょう、更に超知能ロボットによって大量生産からロングテールの生産まで、ほぼすべての作業ができるようになるでしょう、と続けた。
この記事を読んだ人におすすめ
-
ソフトバンクの子会社Gen-AX 生成AIがコンタクトセンターなどの照会応答業務を支援する「X-Boost」を発表
-
ソフトバンクと東京大、脳オルガノイドで「人工脳細胞のプロセッサ」を共同研究、世界初の成果を発表 「脳細胞が次世代コンピュータになる」
-
ソフトバンク 人工脳細胞のプロセッサ「脳オルガノイド」の将来ビジョンが体感できるイベント開催へ トークイベントも Brain Processing Unit
-
アクセンチュア「テクノロジービジョン2025」を発表 『AIに求める最も重要な指標は、そのパフォーマンスに対する信頼』
-
AI基地局の機能はどれくらい向上するのか ソフトバンクが「AI-RAN」効果を発表 NVIDIA、富士通、armらと研究・開発
-
NVIDIAが「GTC 2025」の発表内容とAI最新情報を解説するオンラインセミナー開催 生成AI・LLM・ロボティクス・デジタルツインなど
-
「プログラミング業務が4分の1消滅」 アクセンチュアが語るAIエージェントの衝撃と“マルチエージェント時代”の幕開け
-
【新技術解説】ロボットや自動運転、ライブやVRにも最適な超低遅延「SRv6 MUP」が4Gにも対応 ソフトバンクが新東名高速や浜松合奏ライブで実証
-
ソフトバンクが「首都圏国立大学合同ハッカソン」開催へ 会社の事業を学生が創造する、参加企業募集
-
日立グループ 現場作業の効率化と心理的負担を軽減する次世代AIエージェントを開発 非熟練者やロボットに情報提供、遂行能力が約3割向上
ABOUT THE AUTHOR /
神崎 洋治
神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。