日立グループ 現場作業の効率化と心理的負担を軽減する次世代AIエージェントを開発 非熟練者やロボットに情報提供、遂行能力が約3割向上

株式会社日立製作所と株式会社日立プラントサービスは、非熟練者の心理的負担を軽減し、作業の効率化を図ることを目的として、次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy(ナイヴィー)」を共同開発した。
Naivyは、メタバース空間で蓄積・生成される情報と、現場で発生するリアルタイムの事象を統合し、必要な情報を適切なタイミングで、人やロボットに提供するAIエージェントである。

図1 次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy」の活用イメージ(詳細は下記)




非熟練者の業務遂行能力が約3割向上

この新技術は、経験の浅い非熟練者が現場で直面する課題に対し、具体的な作業手順を直感的に可視化することにより、対象機器の特定や操作における迷いを軽減する。たとえば、空調管理に関するトラブルが発生した場合には、装置名や部屋名から対象機器の位置を特定し、関連するワークフローを提示することで迅速な対応を支援する。

図2 非熟練者のつまずき箇所とNaivy×現場拡張メタバースにより実現する現場への誘導 (イメージ)



ルネサス エレクトロニクスの工場現場で行われた検証では、Naivyを活用することで非熟練者の業務遂行能力が約3割向上し、心理的負担の軽減も確認された。これにより熟練者の指導にかかる負荷が軽減され、現場全体の業務効率化にも寄与している。

また、Naivyはリモートコミュニケーション機能を備えており、熟練者と非熟練者のOJTや意思決定を加速させるとともに、現場業務のリモートワーク化を推進している。


施設管理や製造ライン構築に取り組む事業者を対象に展開

今後、日立と日立プラントサービスは、国内外の施設管理や製造ライン構築に取り組む事業者に向けてNaivyを展開し、技能継承や業務効率化を支援していく。ナレッジ管理機能や一部アプリケーションは、2025年内に日立ソリューションズより製品化される予定。

日立は、設計、施工、製造、保守といった各現場における安全性や作業効率の向上、さらには従業員のウェルビーイングを高めることを目指し、多様なAI技術をNaivyに随時搭載していく計画だ。こうした取り組みを通じて、フロントラインワーカーにとって働きやすい環境の実現を目指している。

なお、Naivyは2025年7月17日に大阪で開催される「Hitachi Social Innovation Forum 2025 JAPAN, OSAKA」の展示会場にて紹介される予定だ。

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ロボスタ

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