モンゴルで「空飛ぶフードデリバリー」成功 エアロネクストが自動運転レベル4のドローンで

株式会社エアロネクストとモンゴルでの展開パートナーのNewcom Group(モンゴル国ウランバートル市)は、Newcom Groupの子会社であるMongolian Smart Drone Delivery LLCが、モンゴル国内最大手のフードデリバリー事業者Tok Tok LLCと連携し、2025年7月25日にモンゴル国内で初となるドローンによるフードデリバリーの試験飛行を行い、成功したことを発表した。

フードを載せウランバートル市内から郊外のサマーハウスに向け飛行するPF4




往復飛行距離は33km、自動航行時間は約46分、配送はフードデリバリー

この試験飛行は、ウランバートル市内の市役所支所駐車場からNewcom Group所有の郊外研修・保養施設「サマーハウス」までの片道約16.5km、高低差約200mのルートを自動航行で配送。日本の「レベル4」飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)に相当する第三者上空での自動航行を実現した。

ドローンで届いた出来立ての料理を食する様子とTokTokラッピングのPF4専用箱(サマーハウス前の広場)

この試験飛行は、すでにウランバートル市内で定常運航している血液製剤配送や、2025年6月に成功した郵便輸送に続く第3のユースケースとして位置づけられている。血液製剤配送は2024年に50回以上実施され、2025年5月からは定常運航を開始し、8月1日までに合計180回の飛行で245人の患者に届けられた。うち168例は緊急対応で、4名の患者には特殊型血液の重要輸送も行われた。

今回の試験飛行では、離陸地点と着陸地点の高低差約200mの地形を考慮し、株式会社NEXT DELIVERYの運航ノウハウを活用。河川上空を飛行ルートに設定し安全性を確保した。これにより都市部の渋滞回避や未整備地域へのアクセスなど、ドローン配送の実用性を証明する重要な一歩となった。


試験飛行の概要

Tok Tokは2023年9月に発足した「モンゴル新スマート物流推進ワーキンググループ」のメンバーであり、約2年の連携を経て本試験飛行を実施した。なお、本プロジェクトは経済産業省の令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択されている。

試験飛行の概要は以下の通り。
実施日は2025年7月25日、往復飛行距離は33km、飛行時間は約46分。配送内容はフードデリバリーアプリ「TOK TOK」で注文されたレストランKIBOの料理6品(総重量2,420g)。使用ドローンは株式会社ACSL製のマルチユースドローン「PF4」で、最大5kgの荷物を最大約40km先まで輸送可能。飛行方式は自動航行による第三者上空の目視外飛行(日本のレベル4相当)である。

ドローンで届いた出来立ての料理を食する様子(サマーハウス前の広場)

このプロジェクトの座組みは、エアロネクスト(日本のドローン技術開発企業)、Mongolian Smart Drone Delivery LLC(Newcom Group傘下のモンゴル初の商用ドローン飛行ライセンス取得事業者)、Tok Tok LLC(モンゴル最大のフードデリバリー運営企業)、およびKIBO(ウランバートル市内の日本食ベース創作料理レストラン)で構成。

今回の試験飛行は、フードデリバリーという新たなユースケースの拡大に加え、都市と郊外を結ぶライフラインとしてのドローン物流の可能性を示すもの。
両社は今後も多様なパートナーと連携し、モンゴルの社会課題やニーズに応じたドローン配送を組み込んだ新たな物流インフラ構築を推進し、社会課題の解決に貢献していく方針だ。

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ロボスタ編集部
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