支払い/決済・認証はすべて顔パスで!四角い小型ロボット「PLEN Cube」が描く顔パスとキャッシュレス社会

コーヒーショップでは「支払い・認証は顔パスで!あなたの好みは絶対にわすれません」。
会員制のレジでは「現金はもちろん、会員カードもスマホもいらない。顔をかざすだけ。」。
そんなキャッチコピーが踊る。
「PLEN Cube」は顔認証システムと自動決済システムと連携、顔パスでの支払いを実現しようとしている。


PLEN Roboticsは、AIアシスタント「PLEN Cube」の量産開始と、それに伴って「ビジネス版」と「デベロッパー版」の予約受付を開始。報道関係者向け発表会でデモ展示を行った。(PLEN Cubeのロボット単体売りの予定もあり、それは後日発表)。2019年度に1000台。3年間で1万台の販売を目指す。


「PLEN Cube」はカメラやマイク、スピーカー、サーボ機構等を搭載した、一辺7.4cmの立方体小型ロボット。「ビジネス版」は導入企業のシステムに応じて、顔認証によるドアの開閉を伴う入退館管理や飲食店舗のメニュー紹介及び注文受付など、定型業務の自動化をサポートする。
なお、「PLEN Cube」の顔認識の精度については、誤認識率は1億分の1だと言う(AppleはiPhoneのFaceIDの誤認識率は約100万分の1と公言)。


「デベロッパー版」は開発者向けの製品で、PLEN Cubeを外部のWebサービスと連携させたり、PLEN Cubeの機能をカスタマイズするためのPLEN Cube SDK(ソフトウェア・デベロップメント・キット)を組み込んだもの。ハードウェア的にはバッテリーを搭載し、トップに液晶画面を備えている。


顔認証による自動化&キャッシュレス決済(注文・決済AI化プラン)

このロボットとシステムの最大の特徴のひとつは顔認証技術。顔認識、音声認識、音声合成、他のシステムとの連携によって、ビジネス現場での活用が見込まれている。今回の発表会では「ビジネス版」を活用した3つのシステムがデモで公開された。ビジネス版の料金はハードとシステム基本料金81,000円(税抜)と月額クラウドサービス使用料が800円〜となっている。


カクテル(ドリンク)マシーンとの連携/ キャッシュレス決済

ひとつはキャッシュレス決済。「PLEN Cube」がドリンクサーバ(ドリンクマシーン)と連動したシステム。テーマパークオフィシャルホテル「変なホテル ハウステンボス」隣接の「変なバー」などに展開されているものだ。ただし、今回のデモでは初公開の顔認証による決済システムを加えたものとなっていた。登録済みのユーザは「PLEN Cube」のカメラに顔を見せて認証し、ドリンクを注文するとそのまま決済まで行えるというしくみだ。


■デモ動画


顔パス・チェックイン(入退館AIプラン)

もうひとつは、「PLEN Cube」と顔認証、ドアロック/オープンが連動したシステム。鍵の施錠と解錠、入室/退室の管理を自動化するものだ。個人を顔で認識追尾するフェイストラッキング機能も備える。
コワーキングスペース&ファブラボ「おおたfab」等、12社に導入され入退室管理に使われている。そのうちのひとつ、学びと体験のアフタースクール「ウィズダムアカデミー」では、子ども達が顔認証でドアを開錠するとともに入退室管理を行うシステムとして既に1施設での試験導入が始まっている。このシステムでは子ども達が入室(登園)した際、顔認証のカメラに向けた顔の画像を登園の報告とともに保護者に通知する機能もある。


導入しているウィズダムアカデミーがゲストとして登壇し、保育園での「PLEN Cube」の導入事例を紹介した。従来、ドアセキュリティとしては暗証番号システムを導入していたが、暗証コードが漏れるなどの恐れがあったという。今は顔認証を導入したことでその心配はなくなり、部外者が侵入するリスクが減った。また、顔認証により園児の登園・退園時間がチェック・管理できるだけでなく、今後は保育士やスタッフなども顔認証を行うことで勤怠管理が容易になるだろう、と期待感も語った。


■デモ動画


病院等で説明役として活躍

シャンティが開発した手術内容をロボットが説明する「パラメディS」システムと連携する。手術前の注意事項や前日の過ごし方、食事制限、手術の内容や注意点などを解りやすく「PLEN Cube」が解説してくれる。


■デモ動画




サービス業界の課題を「顔パス」によって解決したい

発表会では同社の代表取締役の赤澤氏が登壇して「PLEN Cube」について解説した。ただ、冒頭は深々と頭を下げて、クラウドファンディングから今日の量産までに2年以上かかってしまい、予定が大幅に遅れたことを謝罪した。遅れの理由は主に「搭載するつもりだったCPUがディスコン(生産/販売中止)になった」ことをあげた。それによって開発途中のものをほぼイチからやり直すことになったと説明した。

代表取締役 赤澤夏朗氏

PLEN Cubeを世の中に投入する理由を大きく3つあげた。人手不足問題の解決、サービス業界の自動化の遅れ、顔をパスコードとして未来の実現だ。
同社は、顔認証によるキャッシュレス決済、サブスクリプションサービス、医療機関における問診、自動入退館システム、自動ドア制御など、飲食・宿泊・サービス施設の業務効率化に向けた数々の実証実験を行っている。PLEN Cubeは、接客業務において約80%を占める定型業務を「顔パス」に置き換え、サービス業の自動化、効率化に活躍するAIサービスのインターフェイスとなることを目指す、としている。なお、コンスーマ向けのモデルも発売する予定だ(来年予定)。


その上で、製品&サービスとしてビジネス版では「入退館AIプラン」と「注文・決済AI化プラン」を用意したと言う。





開発の幅が広いディベロッパー版

「PLEN Cube」を更にカスタマイズして業務に活用できるように、開発者がシステム開発するためのSDKを同社から提供する。SDKの種類はSenario SDK、User Application SDK、Full Customize SDKの3つ。Senario SDKはNode-Redをベースにしたブロック式のビジュアル・プログラミングツールとなっていて、独自のシナリオを作ることができる。プログラマでなくても作成できる点が特徴だ。オリジナルなモーションも作ることができる。



User Application SDKはベースがROSで、PythonやC/C++などのプログラミング言語によって開発が可能となっている。音声コマンドやウェイクワードのカスタマイズも可能だ。




Full Customize SDKでは独自の音声認識システムと連携したり、周辺機器の制御等など、フルカスタマイズが可能なSDKとなっている。


ディベロッパー版の比較と価格

ディベロッパー版の詳細は公式ホームページ(http://www.plenrobotics.com/developer.html)を参照のこと。導入事例も公開されている。



AIアシスタント「PLEN Cube」特徴 

個人を顔で認識し、追尾可能なカメラ: ハンズフリーでの写真、動画の撮影、ライブストリーミング。
「顔」をパスコードにインターネットに繋がる通信端末:顔認証による各種業務用webサービス(決済、入退館、予約、会員管理)の接続が可能。
外部機器(家電など)のコントローラー: 赤外線やインターネット経由で清掃機器など外部機器の家電操作や制御が可能。
「PLEN Cube」予約販売サイト:URL http://www.plenrobotics.com/

【主な仕様/価格等】
PLEN Cube(ビジネス版,デベロッパー版)

販売日予約販売開始:2019年7月31日 *9月17日より順次発送予定
販売価格
1.ビジネス版 81,000円(税抜), 月額クラウドサービス使用料 800円〜
2.デベロッパー版 98,500円(税抜), SDK 50,000円(税抜)〜
商用ライセンス料及び月額クラウドサービス使用料などは公式サイトをご覧ください。
サイズ幅 74mm×奥行74mm×高さ74mm
主な機能 顔認証(フェイストラッキング、顔認証)、音声認識、撮影機能(写真、動画、パノラマ)、その他(家電及び業務用機器操作、各種Webサービスとの連携)
CPU NXPi.MX6 QuadCore
通信機能 Wifi、Bluetooth
カメラ Full HD(画素数1920×1080)



PLEN Cubeビジネス版

顔認識、音声認識、カメラ撮影などの機能はそのままに、デベロッパー版に搭載している液晶ディスプレイ、モバイルバッテリーなどの機能を取り除いた、店舗や施設向け「PLEN Cube」です。導入企業のシステムに応じて、顔認証によるドアの開閉を伴う入退館管理、飲食店舗のメニュー紹介及び注文受付など、定型業務の自動化を実現。


PLEN Cubeデベロッパー版

PLEN Cubeを外部のWebサービスと連携させたり、PLEN Cubeの機能をカスタマイズするためのPLEN Cubeソフトウェア・デベロップメント・キット(SDK)を組み込んだ製品。PLEN Cubeの動きや会話のカスタマイズのほか、専用機能を持った独自のPLEN Cubeを作ることができる。SDKはカスタマイズ内容に応じて「Senario SDK」「User Application SDK」「Full Customize SDK」の3種。
各SDKの詳細 公式サイト http://www.plenrobotics.com/


「PLEN Cube」予約販売サイト:URL http://www.plenrobotics.com/
予約受付後、9月17日より順次発送予定。ビジネス版は導入店舗に応じたカスタマイズが必要となるためサイトより問い合わせ。デベロッパー版は直接購入できる。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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