TISと会津大学が自律移動ロボットによる搬送業務の自動化を実証実験　データモデルの標準化を目指す

労働力不足や高齢化問題といった社会課題の解決には、人の業務の一部を物理的に代行できるサービスロボットの活用が将来的に有益な手段の一つと考えられている。そこで、これまでの業務システムにおいては、人とシステムのインターフェースを中心に業務プロセスが設計されていた。サービスロボットの活用においては、そのシステムの業務プロセスの中に、人とサービスロボットの役割を明確にした設計をすることで、新たな業務サービスの実現が可能となる。

TISインテックグループのTIS株式会社は、サービスロボットを業務システムに組み込む手段として「RoboticBase」の活用を想定し、様々な実証実験を通じた開発を進めているという。この一環として、同社は公立大学法人会津大学と共同で「在庫管理システムと自律移動配送ロボットを連携させた搬送業務の自動化」を目指す実証実験を、2019年11月26日～ 28日に会津大学内のLICTiA（先端ICTラボ）にて実施する。
なお、FIWARE（ファイウェア）を活用しTISが開発を進めている「ロボット間のデータ連携」などを実現するプラットフォーム「RoboticBase」と、会津大学で研究開発している自律移動ロボットを連携する同実証実験では、同社と同大学が共同研究を進める「自律移動する異機種ロボットに関する要素技術の研究」の研究成果を検証することを目的としている。

実証実験の概要

TIS開発の「RoboticBase」および在庫管理システム（EVENや在庫管理サービス）と、会津大学が研究用に開発している自律移動ロボットを使って、搬送業務のラストワンマイルの自動化をユースケースとした実証実験を行う。

実証実験の目的と検証ポイント

1.「RoboticBase」とERPシステムとの連携の容易性の確認
2. 自律移動ロボットの新しい経路計画方式の実現性の確認
3.「RoboticBase」と自律移動ロボット間のインターフェースにおけるデータモデルの確認

今後の展開

TISと会津大学は、今回の実証実験を踏まえ、今後は社会課題解決を目指して福島県会津若松市や南相馬市などのフィールドで社会実装を目指した実証実験を計画しているとのことだ。

会津大学

クラウドロボティックスの概念による情報システムとロボットとが一体となった新しい技術を確立することで、自律移動ロボットのより柔軟な経路設定など、サービスロボットの実用化への貢献を目指すと述べている。

TIS

実証実験を通じて「RoboticBase」のロボットを統合管理する機能（ロボット統合稼働管理機能、ロボット統合業務管理機能、ロボットタスク管理機能、ロボット外部システム連携機能など）の充実を図り、搬送業務やビル管理業務などで、業務システムとサービスロボットを連携したサービス提供を目指すとしている。また、ロボットや業務システムとの接続性を容易に実現するための標準化活動として、今回の実証実験で使用した「RoboticBase」と自律移動ロボットのインターフェースをデータモデルとして定義する。
更に、FIWARE Foundation e.V.(FIWAREの普及を民間主導で推進する非営利団体)内のRobotis分野におけるテクノロジーRoadmapを検討するためのワーキンググループ、「Robotics Tech Roadmap WG」にて、データモデルの精査とFIWARE data modelsへの登録を目指した活動を計画しており、同WGの参加メンバーはTIS以外にFIWARE Foundation、Fraunhofer IML 、Atos、eProsima等となっている。

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