アビガンの富士フィルム 新型コロナ治療法開発をAI画像診断で支援 病変定量化技術で肺炎の治療効果を判定

富士フイルム株式会社が、AIを用いた新型コロナウイルス肺炎の診断支援技術の開発を開始した。
富士フィルムは2018年から京都大学にて呼吸器内科学を研究する平井豊博教授と間質性肺炎の病変を定量化する技術を共同開発しており、今回はその技術を活用し、新型コロナウイルス肺炎患者の経過の評価、治療効果の判定を支援する技術開発をスタートした形だ。

現在世界中の医療関係者が模索しているさまざまな治療法、治療薬の効果判定に利用できる技術を確立することで、新型コロナウイルス肺炎の治療薬の開発・評価の加速に貢献していくという。
この研究は新型コロナウイルス肺炎の患者を受け入れている国内の医療機関との共同で推進し、直近の動きとしては神奈川県立循環器呼吸器病センターとの共同研究をスタート。今後、共同研究先を複数の国内医療機関に拡大していく予定だ。


CT画像から肺炎を解析

新型コロナウイルスの感染拡大は国内外で深刻な問題となっており、現在、医師がさまざまな治療法を模索しているが、治療が有効であったかどうかの判断基準は未だ明確に示されていない。

新型コロナウイルス肺炎の病変パターンを見極め、肺炎の進行や治療の効果を確認するためには、1患者あたり数百枚にもなるCT画像を読み込んでいく作業が必要となるが、この作業は専門医でも非常に負担が大きい。

それに対して富士フィルムと京都大学が共同開発したAIは、新型コロナウイルス肺炎と同様の画像所見を示す間質性肺炎の病変を自動で分類、測定し、定量化するもので、CT画像から肺の中を自動で分割、各領域内での病変部の容積や割合を表示することが出来るため、これらの作業負担が軽減されることが予想される。


この技術は富士フイルムが開発した間質性肺炎の病変を分類および定量化するAI技術を、京都大学が保有する症例データに適用し、識別性能の評価と改善のフィードバックを繰り返し実施し改良することで、高精度な識別性能を実現したという。

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梅田 正人

大手電機メーカーで生産技術系エンジニアとして勤務後、メディアアーティストのもとでアシスタントワークを続け、プロダクトデザイナーとして独立。その後、アビダルマ株式会社にてデザイナー、コミュニティマネージャー、コンサルタントとして勤務。 ソフトバンクロボティクスでのPepper事業立ち上げ時からコミュニティマネジメント業務のサポートに携わる。今後は活動の範囲をIoT分野にも広げていくにあたりロボットスタートの業務にも合流する。

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