
採卵鶏舎内は多層式飼育の為、くるぶしから頭上まで目視の確認が困難な場合が多くある。目視で死亡鶏を確認するには時間もかかり、また薄暗く臭気があり羽埃の舞う作業環境であるため日々必要である巡回点検の障害となっている。この監視が疎かになり、発見が遅れてしまうと、「疫病の蔓延」「腐敗卵の流出」(死亡鶏により自動採卵が妨げられ腐敗)につながる可能性が高くなる。
設備点検・災害対策・警備監視の領域を中心とする社会インフラDXのリーディングカンパニーを目指す株式会社センシンロボティクスは、大豊産業株式会社と共同で自律走行型ケージ監視システムを開発したことを発表した。
自律走行型ケージ監視システムは、鶏舎を自動巡回するロボットが採卵鶏舎内を自律走行巡回し、可視光カメラとサーモカメラによるAI解析で死亡鶏を早期発見し採卵効率(腐敗卵流出防止)を向上させる。AIによる画像の1次判定に加え、サーモカメラによる2次判定を実施し、高い検出精度を実現する(センシンロボティクスは死亡鶏を検知するAI解析の技術提供を行っている)。
赤外線カメラ
可視光カメラ
実証テストでの実績値
検出率:93%(検出した死亡鶏/全死亡鶏)
誤検出率:0.3%(生きていた鶏/死亡鶏と判定した鶏)
検出率:93%(検出した死亡鶏/全死亡鶏)
誤検出率:0.3%(生きていた鶏/死亡鶏と判定した鶏)
【動画】
同システムの導入により、死亡鶏発見のための巡回が不要となり、通知のあった死亡鶏の除去作業のみとなるため、ケージ内異常を早期に発見、衛生面・防疫面を向上させ、労力を大幅軽減することが可能になる。今後は死亡鶏の検知以外にも、鶏の健康管理を行うシステムの開発を目指し、省力・省人化だけでなく、作業現場の業務効率化を目指すとしている。
導入企業である株式会社横浜ファーム 君津農場からの声
鶏舎のケージ内における鶏の健康の把握・管理作業は重要です。その中でもケージ内の死亡鶏の見逃しは、腐敗卵の流出などの重大な品質問題を引き起こす可能性があります。検知作業は目視で行っていますが、作業員の負荷が非常に高くなっています。この自律走行型ケージ監視システムの導入により巡回作業の頻度を削減することができました。これを契機として、今後も様々な作業分野でのロボティクス技術の活用が進むことを期待しています。
この記事を読んだ人におすすめ
-
愛知県初のAI・IoT・ロボット、ゲーム・CG分野の専門職大学 文部科学大臣が認可 名古屋国際工科専門職大学2021年4月に開学へ
-
「NVIDIA A100」GPUがベンチマークの最速記録を更新 CPUより最大237倍も高速なAI推論を達成 「MLPerf」6応用分野で圧勝
-
ついに「手術支援ロボット×AI」を開発 「hinotori」のデータをAIが解析する「MINS」を共同開発 オプティム×メディカロイド、シスメックス
-
プログラミング競技大会「PG BATTLE 2020」優勝はIndeed(J)、東工大、灘中!459チームが参加、大学最多は東大で24チーム出場
-
ドコモの5G戦略は3つの周波数帯域による「瞬速5G」キャリアアグリゲーションで国内最速「4.2Gbps」へ 来春500都市に展開
-
【国内認定第1号!】NVIDIAの新しいAI認定制度「Jetson AI Specialist」認証を取得してみた!「Jetson Nano 2GB開発者キット」実機レビュー 2
-
【国内初】5Gとクラウドで大容量の手術データをAIが解析する実証実験へ ドコモ(5G)、はこだて未来大(AI)、東京女子医科大(SCOT)
-
東大発AIベンチャーのTRUST SMITHが次世代ロボティクス・バイオニクス研究所を設立 最先端ロボティクス技術を社会へ実装
-
マクニカが脳波を活用する技術「BrainTech」を発表 InnerEye社のソリューションを販売へ AIの機械学習を高速化、社会実装を加速
ABOUT THE AUTHOR /
山田 航也
横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。