製造・物流・医療向けにAIを積極展開へ 現場作業者がAIを作成・運用・評価できるアドダイスの「SoLoMoN」 IDATEN Vが出資

IDATEN Venturesは株式会社アドダイスに出資したことを発表した。アドダイスは製造・物流・医療などの業界で熟練作業者の目視検査ノウハウを基に自らAIモデルを作成・評価・運用することができる「自律型AIプラットフォーム」をSaaSとして提供している。

アドダイスのAIは導入先の目視検査工程で既に高精度の結果を出しており、今回の資金調達によってAIを医療向けに展開していく計画。第3波を迎えつつあるコロナウイルスや多くの人が苦しむガンにおいて医師の診断支援を行うAIツール等を中心に、AIの社会実装に使命感を持って取り組んでいく。


急速に注目を集めるAI技術

近年ものづくりや物流といったリアルな現場を持つ業界で、AIが急速に注目を集め始めている。国内最大級のピッチコンテストであるInfinity Ventures Summitでも、2020年度の5位までに入賞した企業のうち3社が製造業や農業向けのAIだった。また、スタートアップだけでなく、大手企業も積極的に異常検知や検品といったものづくりならではの工程向けにAIソリューションを提供している。

しかし、AIをいざ導入しようとしても、見積もり・AIモデルの作成・PoCに時間とコストがかかり、使い始めるまでのハードルが非常に高い、という悩みを現場は抱えている。また、AI専門業者が作ったモデルはブラックボックスになっており、実際に目視検査をする現場の作業者がカスタマイズしたいと思ってもどうすればよいかわからない、という問題点も存在していた。こういった背景もあり、製造業のAI導入率は11.2%と、全業種の中でも未だ低い状態が続いている。

総務省のデータを基にIDATEN Venturesで作成


アドダイスAIが現場のAI導入・運用に関する悩みを解決

目視検査の現場が抱えるAI導入・運用の悩みを解決するのが、アドダイスの開発する自律型AIプラットフォーム「SoLoMoN」シリーズ。SoLoMoNシリーズは現場の作業者によって自主的に作成・運用・評価されるAI作成プラットフォーム。社内にデータサイエンティストがいなくても、現場の作業者がドラッグ&ドロップで簡単に学習・評価・再学習までAIの運用サイクルを回すことができる。



SoLoMoNシリーズのうち、外観・画像・目視検査に特化した「HORUS AI」

SoLoMoNシリーズはブラウザ上で機能し、申込から利用開始までのリードタイムが短いことが特徴。AIインテグレーターが介在しないため、導入コストも抑えることができる。既に半導体検査工程・鉄道施設管理等、さまざまな場面でアドダイスのSaaS型AI作成プラットフォームが活躍している。





なぜアドダイスがやるのか、できるのか

以下、リリースより引用

創業者である伊東CEOは10年以上前にAI研究を始め、今なお第一線でAI研究に関わる研究者兼エンジニアです。ご自身でお子さんを育てるうちに、社会空間の安心・安全を切に願うようになったものの、依然として世の中にはヒューマンエラーを原因とする事故が多発していることに問題意識を覚えたそうです。また、現場仕事に従事されている方の中には単純な反復作業によって心身ともに消耗してしまう人が多いことにも課題を見出します。



自らが研究開発してきたAIを使って、少しでも安心安全な社会を作りたい、人々が人間らしいことに時間を使う余裕を生み出したい。そういった強い想いからアドダイスAIの社会実装を推進されてきました。今回の調達によって、AIのパワーを医療分野にも適用し、一人でも多くの人を救い、支えるという強烈な使命感を背負っています。既に複数の医療機関と実証実験を開始中です。

アドダイス伊東代表からのコメント

「人の自律神経は人体の裏方として粛々と情報を捌いています。人は普段は身体の中のことに煩わされることなく興味のままに生活していますが、それは自律神経が裏方仕事を一手に引き受けて自律制御しているからです。ちょっと反省して欲しい時や危険に気付いて欲しい時にだけ、痛みを発したり心臓のドキドキに気付かせて注意を惹き付けます。

私たちの提供するAIサービスも、普段は24時間365日黙々と全てを隅々までくまなく見守り環境を自律制御し、おやっと思うような予兆がある時は警告を発して人の介入を促します。

私たちは皆さんに代わって皆さんを見守ります、あたかも自律神経のように。私たちは人を縛り付けている反復仕事の煩わしさを一手に引き受けて人類を解放します。夢中になれる次なる課題へと向かうために。

こんなビジョンを実現するために私たちはAIサービスの商品開発と普及に取り組んでいます。製造業と施設管理のためのAIサービスでは実際の日々の業務に組み込んで頂く導入事例ができ始め、医療にも挑戦を始めたところです。

導入実績ができたとはいえ、まだ知る人ぞ知るという存在です。誰もが認める分かりやすい銘柄になる前の前の前の一番前の一番最初の投資家として、最初の外部資金を提供してくださった足立さんの決断を本当にありがたく思います。」

関連サイト
株式会社アドダイス

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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